オムニチャネル時代のカスタマーサポート 。 コンタクトセンターの役割と主要KPI

顧客接点の多様化に伴い、オムニチャネル化が進むカスタマーサポート。顧客体験(CX)の重要性が高まるなか、企業における顧客対応部門の位置づけ・役割も変わりつつあります。今回は、オムニチャネル時代のカスタマーサポートに求められる役割と主要なKPIについて解説します。

オムニチャネル時代のカスタマーサポートとは

オムニチャネル時代のカスタマーサポートとは

従来、顧客対応(カスタマーサポート)は電話やメールを中心に行われてきました。しかし、デジタル化の進展によって顧客とのコミュニケーション手段やタッチポイントが多様化するなか、カスタマーサポートもオムニチャネル化が進んでいます。

オムニチャネルの顧客対応で用いられるチャネルには、以下のものが挙げられます。

■電話
■メール
■問合せフォーム
■チャット
■SNS
■ビデオ通話

また、商品・サービスにまつわる疑問点やトラブルを、顧客自身で自己解決できるFAQやチャットボットなどを用意することもカスタマーサポートの一種です。

顧客とのタッチポイントの広がりに伴って、カスタマーサポートの一般的な呼称も「コールセンター」から「コンタクトセンター」に変わりつつあります。

コンタクトセンターの役割

コンタクトセンターは、複数チャネルを統合して顧客とのコミュニケーションを一括で担う総合窓口です。商品・サービスの品質や価格に加え、顧客体験(CX)を重視する顧客が増えるなか、コンタクトセンターが果たすべき役割も大きくなっています。

オムニチャネル時代におけるコンタクトセンターの主な役割は以下の3つです。

均質なサービスの提供

コンタクトセンターは“企業の顔”とも言えるため、サービス品質が均一化・安定していることが重要です。顧客対応の品質はオペレーターの経験値やスキルに依存しがちですが、応対レベルにバラつきがあると企業イメージの低下を招く可能性もあります。

誰が・いつ・どのような方法で問合せをしても、常に安定した品質のサービスを提供することが、オムニチャネル時代のコンタクトセンターの重要な役割です。

顧客体験の向上/顧客との良好な関係性構築

コンタクトセンターは、顧客の体験価値を高めて良好な関係性を築く役割を担っています。多チャネルを横断したシームレスな対応によって、顧客に一貫性のある体験を提供し、自社に対する満足度やエンゲージメント(愛着)を向上させることが求められています。

顧客の声(VOC)の蓄積・分析

マーケティングや営業活動の質を高めるには、「顧客の声(VOC:Voice of Customer)」を活用することが効果的です。コンタクトセンターには、多チャネルの顧客の声を蓄積・分析し、製品開発やサービス改善につなげる役割を担っています。

かつて、顧客対応部門は収益を生まない「コストセンター」と捉えられてきました。しかし、コンタクトセンターへと進化するなかで、自社に利益をもたらす「プロフィットセンター」としての役割を担い始めています。

カスタマーサクセスとの違い

カスタマーサポートはカスタマーサクセスと混同されることがあります。どちらも顧客対応を担うものですが、目標や役割が異なります。

主な違いを以下にまとめました。

カスタマーサポート カスタマーサクセス
ミッション 顧客の課題を解決すること 顧客を成功に導くこと
成功指標 顧客満足度の向上 LTV(顧客生涯価値)の最大化
行動 受動的・短期間 能動的・長期間

一つひとつの問合せに対応して問題を解決するカスタマーサポートと違い、カスタマーサクセスは顧客に伴走しながら事業の成長を後押しします。顧客を成功に導くことによって、アップセル・クロスセルやLTVの最大化につなげるのが主な狙いです。

カスタマーサクセスについて詳しく知りたい場合は、以下の記事を参考にしてください。
カスタマーサクセスとは?その基礎から成功させるポイントまで解説
カスタマーサクセスとLTVの関係とは|計算方法と成功のポイント

カスタマーサポート(コンタクトセンター)の主要なKPI

カスタマーサポート(コンタクトセンター)の主要なKPI

カスタマーサポートの品質を向上させるためには、必要なKPI(重要業績評価指標)を設定することが大切です。
以下に、カスタマーサポートの主なKPIを紹介します。

業務効率に関するKPI

オペレーターの稼働状況を把握するための指標です。

■1時間当たりの対応件数(CPH:Call Per Hour)
■平均通話時間(ATT:Average Talk Time)
■平均後処理時間(ACW:After Call Work)
■平均処理時間(AHT:Average Handling Time)
■稼働率(オペレーターの労働時間において顧客対応にかけた時間の割合)

応対品質に関するKPI

オペレーターの応対品質を測定するための指標で、顧客満足度や解約率に影響を与えます。

■応答率(着信数に対するオペレーターの応答件数の割合)
■サービスレベル(SL:Service Level 設定時間内で応答できた件数の割合)
■平均応答速度(ASA:Average Speed of Answer 応答までの所要時間)

顧客満足度・顧客ロイヤリティ

オペレーターのサービスレベルや応答率が高い場合でも、実際に顧客が対応に満足しているとは限りません。そのため、顧客満足度(C-SAT:Customer Satisfaction)や顧客ロイヤリティも重要なKPIのひとつです。

それらを測定する方法は主に2つです。

■アンケート調査
■NPS(Net Promoter Score)

応対終了後にSMSなどで送付すれば、オペレーターの評価をタイムリーに聞くことができます。また、NPSでは顧客ロイヤリティを簡単に測定できるため、自社や自社製品に対する総合的な満足度を把握したいときにおすすめです。

NPSの詳細については以下の記事を参考にしてください。
NPS®(ネットプロモータースコア)とは?|顧客満足度との違いやメリット・導入事例まで紹介
NPS®(ネットプロモータースコア)とは?その意味と計算・調査方法の解説

コンタクトセンターでは「自己解決率」も重要なKPI

コンタクトセンターでは「自己解決率」も重要なKPI

オムニチャネルで顧客の問題を解決に導くコンタクトセンターでは、上記に加えて自己解決率をKPIに設定することがあります。

自己解決率は、FAQサイトやチャットボットによって顧客自身で疑問やトラブルを解決できた割合のことです。自己解決率が高まれば、オペレーターへの問合せ件数の削減や顧客満足度の向上につながります。

FAQサイトを構築するポイント

FAQサイトは顧客視点で設計することが重要です。特に以下のポイントを意識しましょう。

■FAQにスムーズにたどり着ける導線になっているか
■キーワードで検索しやすいか
■必要な情報が網羅されているか
■回答はわかりやすいか/難解な専門用語や社内用語を使用していないか
■最新情報が記載されているか/古い情報が残っていないか

また、顧客が使いやすいFAQサイトを構築するには、『Zendesk Guide』や『Oracle Service Cloud』などのFAQシステムを活用するのも一案です。

FAQシステムは以下のような機能を備えており、FAQサイトの効率的な運用をサポートします。

■FAQコンテンツ作成機能
■検索機能(キーワード検索、カテゴリー検索、タグ検索など)
■チャットボット連携機能
■FAQサイトの分析・レポーティング機能

コンタクトセンターで良質な顧客体験を提供しよう

コミュニケーションのオムニチャネル化が進むなか、カスタマーサポート(コンタクトセンター)の役割は単なる「問合せやクレームへの対処」にとどまらなくなっています。多チャネルを横断してシームレスに対応することによって、顧客との良好な関係性を構築することが期待されています。

ここで紹介したコンタクトセンターの役割やKPIをふまえ、顧客に良質な体験価値を提供できる体制を整えましょう。

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