顧客インサイトを探るソーシャルリスニングとは|やり方と役立つツール6選

消費者のリアルな声を収集・分析するソーシャルリスニングは、顧客インサイトの発見をはじめ、顧客視点が重要となっている現在のマーケティング活動に様々なメリットをもたらします。本記事ではソーシャルリスニングとは何か、活用例と実施方法、おすすめのツールまで紹介します。

ソーシャルリスニングとは 

ソーシャルリスニングとは、ソーシャルメディアに存在する消費者の声を収集・分析してマーケティングに活かしていく手法のことです。不特定多数の消費者が投稿・閲覧できるメディアが適しており、InstagramやTwitter、FacebookなどのSNSをはじめ、個人ブログ、口コミサイト、掲示板サイトなどが対象範囲に含まれます。

ソーシャルリスニングの大きな特徴は、消費者のリアルな声を集められることです。とくにSNSは利用層・利用時間ともに広がっており、購買行動にまつわる感想・意見・評価など、マーケティングの成果向上に役立つ価値ある情報を収集できるというメリットがあります。

また、口コミ情報が販売数・売上に多大な影響を与えることからわかる通り、自社の商品・サービスについての投稿内容は看過できないものになっています。購買行動に結びついた体験や離反するきっかけとなった体験など、ポジティブな内容もネガティブな内容もスピーディに把握して対策を講じることが重要です。

ソーシャルリスニングでわかること

ソーシャルリスニングでは、次のようなことを明らかにできます。

●投稿におけるキーワードの推移
●自社の商品・サービスを利用している顧客の特性
●自社の商品・サービスに対する感想・意見・評価
●ブランドに対するイメージ
●プロモーション施策に対する感想・意見・評価
●消費者のニーズや興味関心の対象
●商品トレンドなどの動向

これらの情報を活用することで、顧客起点の商品開発やマーケティング、サービス改善などが可能になります。

ソーシャルリスニングの活用例

ソーシャルリスニングはどのような場面で役立つのか、代表的な5つの活用例を見ていきます。

顧客インサイト(消費者インサイト)の発見

ソーシャルメディアでは、購買に至った理由や気に入った要素、実際の使い方など、ユーザーの率直な意見が発信されます。これらの情報を参考にすることで、顧客インサイトの発見につなげることが可能です。新しいソリューションのアイデアが生まれるなど、ヒット商品を生み出すきっかけになることもあります。

プロモーションの効果測定

自社のプロモーション施策に対する反応を知る上で、ソーシャルリスニングはとても相性がよい手法です。広告クリエイティブについての評価や拡散の傾向などから効果測定を行えるほか、マッチするソーシャルメディアの種類を特定することも可能です。より成果を出せるプロモーション施策の検討に役立てることができます。

ブランドイメージの把握

消費者の声から、ブランドイメージを把握することもできます。自社が打ち出しているイメージとユーザーが抱くイメージに乖離があると、マーケティング施策を行っても訴求力を高めることは難しいでしょう。ソーシャルリスリングは、ブランディングの方向性やターゲット・施策の見直しなどの対策を検討する際に役立ちます。

市場動向・トレンドの把握

自社の商品・サービスだけでなく、市場動向やトレンドをキャッチアップしたい場合にもソーシャルリスニングが有効です。

たとえば、キーワードを特定して投稿数の増減を確認すれば、ニーズの変化を読み解くことが可能です。競合他社と自社で消費者の反応がどのように違うのかを比較すれば、次の施策に活かすことができます。また、独自の行動や使い方をしているユーザーからトレンドの兆しを読み取れるケースもあるでしょう。

風評リスクの検知

SNS炎上に代表されるように、消費者が自由に情報を発信する現代では情報があっという間に拡散されるため、風評被害のリスクが高まっています。ソーシャルリスニングによって投稿内容を随時チェックしていれば、リスクが高まる前に検知して適切な対策を取れるようになります。

ソーシャルリスニングのやり方とコツ

ソーシャルリスニングのやり方と実施時のコツを見ていきましょう。

1.調査テーマと対象メディアを決定

ソーシャルメディアには膨大な量の情報が集まるため、調査テーマを定め、どのようなデータが必要かを明確にすることが重要です。「○○における顧客インサイトの発見」「キャンペーンの効果測定」「市場動向・トレンドのモニタリング」などのように、調査テーマを具体的にすることが意義のある情報を効率的に収集するためのポイントです。

調査テーマを決めたら、対象とするメディアを選定します。必要な情報を得られるか、タイムリーな情報を集められるかといった観点から適したメディアを選びます。

2.データ収集

調査テーマに沿ってキーワードを選定し、データを集めます。キーワード選定は、欲しい情報を集められるか否かに大きく影響するため、事前に調査テーマとの関連性の深さなどから精査しておくことが重要です。

データ収集は自前でやることも可能ではありますが、多くの労力を費やすことになるのでソーシャルリスニングツールを活用するのが一般的です。収集したデータに含まれている調査とは無関係なノイズ(広告など)を除くデータクレンジングを行っておくと、効率的に分析を進めることができます。データクレンジング機能を備えたツールも提供されているので、チェックしておくとよいでしょう。

3.分析

調査テーマに沿った分析手法を用いて、データを読み解きます。代表的な分析手法には次のものがあります。

●投稿数の数値分析:投稿数の推移を分析
●センチメント分析:投稿内容のポジティブ・ネガティブの割合を分析
●キーワード分析:キーワードの頻出度や共起語、カテゴリなどを分析
●アカウント分析:影響力の高いアカウントを抽出して分析
●セグメント分析:属性別など詳細にセグメントして分析

ソーシャルリスニングに役立つツール6選

ソーシャルリスニングツールの基本機能は、ソーシャルメディアにある情報の収集と分析です。ベンダーによって収集できるメディアや分析機能に幅があり、それぞれに特徴や強みが異なっているので、自社に適したツールを見極めることが重要です。

ここではおすすめのツールを6つ紹介するので参考にしてください。

Social Insight

主要なSNSに対応しており、基本的な分析機能に加えて自社と競合のSNSアカウントを一括比較できる機能を搭載しています。またSNSアカウントへの予約投稿が可能なほか、SNSを使ったキャンペーンの自動化、アラート機能などSNS運用を効率化できる点に特徴があります。業界動向を把握できるほか、自社のファン層を知りたい場合や反応が良いSNS投稿を見定めたいときにも便利です。

公式サイト:https://sns.userlocal.jp/

BuzzSpreader Powered by クチコミ@係長

キーワードを入力するだけで簡単に口コミ分析ができる簡単さが人気のツールです。「成分マップ機能」では、キーワードの関連語を直感的に把握することができます。情報をわかりやすく可視化する機能が充実しており、リテラシーを問わず手軽に分析できる点が特徴です。

また、ダッシュボードでのリアルタイムモニタリングやレポート定期送信など、社内共有をスムーズにする多様な機能を備えています。

公式サイト:https://service.hottolink.co.jp/

Buzz Finder

NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューションが提供する、豊富な実績を持つツールです。トレンド分析やポジネガ分析をはじめとする多彩な分析機能にくわえ、アラートメールやデイリートピックメールによって日々のトピックをお知らせするなど、SNS運用担当者の負荷軽減を実現しています。ノイズ除去や専門家による分析サービスも提供しており、手厚いサポートを受けられます。

公式サイト:https://www.nttcoms.com/service/social/buzz_finder/

Insight Intelligence Q

マーケターの視点で開発されたソーシャルリスニングツールです。話題のツイート分析に強みを持つほか、プロモーションの反響分析、アカウント分析、競合比較分析、ブランド比較、エンゲージメントの傾向など、顧客インサイトの発見にも役立つ機能が充実しています。

シンプルでわかりやすいUIと、初期費用無料でデータ量にかかわらず定額で利用できる料金体系により、ソーシャルリスニングが初めての場合でも導入しやすいという特徴があります。

公式サイト:https://www.datasection.co.jp/service/insight-intelligence

見える化エンジン

顧客インサイトを捉えるための高精度な自然言語処理技術に強みを持つツールです。ソーシャルメディアはもちろん、コールセンターに蓄積された情報なども含めた幅広いデータソースを見える化して専門的な分析を簡単に行える点が特徴です。キーワードのランキングや特徴比較マップ、変化モニタなどわかりやすいUIに定評があります。

公式サイト:https://www.mieruka-engine.com/

Zanroo

タイに本社があるZanrooはアジア圏での豊富な実績を誇り、ASEAN諸国の全言語に対応しているため、海外のSNS分析も可能という強みがあります。独自に開発した文字認識エンジンに加え、現地社員によるローカライズサービスも提供しており、アジア圏の情報を広く集めたい場合におすすめです。

ビッグデータ分析だけでなく、チャットボットやAIを活用した顧客対応など様々なサポートを行っています。

公式サイト:https://zanroo-japan.com/

ソーシャルリスニングでビジネスチャンスを広げよう

ソーシャルメディアが浸透している今、ソーシャルリスニングの手法はマーケティング活動においてますます重要になってくるといえるでしょう。現在では多様なソーシャルリスニングツールが提供されているため、手軽にスタートすることが可能です。消費者が日常的に発信しているリアルな声には、ビジネスチャンスを広げるための価値ある情報がたくさんあります。ぜひ有効活用してみてください。

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