NPS®(ネットプロモータースコア)とは?|顧客満足度との違いやメリット・導入事例まで紹介

顧客満足度調査は行ってきたものの、調査結果がよくても実際には商品のリピート購入率が上がらないなど、十分な結果が得られていないと感じている方も多いのではないでしょうか。
そのためか、自社の商品やサービスに対する顧客ロイヤリティを知るために、NPS® を導入する企業が増えています。
この記事では「NPS® とは何か」「NPS® と顧客満足度との違い」「NPS® のメリット」などを紹介します。NPS® 調査の種類や、NPS® の導入事例なども解説するので、ぜひ参考にしてみてください。

NPS® とは

NPS®(Net Promoter Score:ネット・プロモーター・スコア)とは、顧客ロイヤリティを測るための指標です。顧客が、企業や商品・サービスに対してどれほどの愛着・信頼を持っているのかを、数字でわかりやすく表したものです。

米国の大手コンサルティング会社「ベイン・アンド・カンパニー社」が 2003 年に発表したのち、Apple・Google・アメリカンエクスプレス・GE・スターバックスといった、名立たる企業が導入したことで有名になりました。Fortune 500 によると、米国の売上上位 500 位までの企業のうち、35%の企業が NPS® を採用しています。

※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そして NPS 関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

NPS® の算出方法

NPS® の算出方法

1)商品の購入やサービスの利用をした顧客に対し、「あなたはこの商品を家族や友人にどのくらいおすすめしたいと思いますか?」と質問する

2)上記の質問に対し、0 ~ 10 点のうちから一つ選んでもらう

3)0〜6 点を「批判者」、7〜8 点を「中立者」、9〜10 点を「推奨者」に分類する

4)「推奨者の割合(%)ー批判者の割合(%)」で NPS を算出する

上記が NPS® の算出方法です。

例えば 100 人の顧客のうち、批判者が 30 人・中立者が 60 人・推奨者が 10 人の場合、計算式は「10%(推奨者の割合)ー 30%(批判者の割合)」となるため、NPS® は「-20」であることがわかります。

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NPS® と顧客満足度の違い

NPS® は業績との連動性がある

顧客満足度は商品・サービスに対する満足度をたずねるものですが、その「満足」の度合いは顧客によって幅があり、満足したと評価していても、他社の商品に移行したりリピート購入に繋がらなかったりするケースも多くあります。一方、NPS® は業績との連動性が高いとされ、高得点をつけた顧客はリピート購入をするなど業績アップに貢献してくれることが多いとされています。

NPS® は過去から未来への質問

顧客満足度は、過去や現時点において「商品・サービスに満足しているか」を問う質問です。一方、NPS® は「今後この商品・サービスを他者に紹介するか」をたずねる質問です。顧客満足度では未来のことについて計測できないのに対し、NPS® では未来の顧客の行動についても予測できます。

NPS® は回答者以外も対象

顧客満足度は、回答者本人のみを対象としたものですが、NPS® は家族や友人に紹介することをベースにしているため、回答者以外のユーザーも関係します。

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NPS® を導入するメリット

ここでは、NPS® を導入するメリットを紹介します。

回答が得やすい

NPS® は点数をつけるだけの簡単な質問のため、回答を得やすいという特徴があります。

計測が簡単で分かりやすい

簡単に計測でき、はっきりとした数値が出るため理解しやすいです。数値の出し方も決まっているので、誰でも容易に集計が可能です。

競合他社と比較できる

同じ質問で計測できるため、競合他社と簡単に比較できます。世界中の企業に導入されているため、自社の立ち位置を知るのにも効果的です。業界の NPS® は、インターネットで検索すれば確認することもできます。客観的な数値を知りたい時におすすめです。

経営分析に利用できる

NPS® は業績との連動性が高いため、経営分析にも効果的です。顧客接点が多い場面において利用され、広告の効果測定などにも利用可能です。最近では NPS® に特化したツールやシステムを開発・導入する企業も増えています。

NPS® 調査の種類

NPS® 調査の種類

NPS® 調査は大きく分けて 3 種類ありますので、以下で詳しく説明していきます。

リレーション調査(R-NPS®)

リレーション調査は、企業やブランドに対して総合的にどのように評価しているかを調べる方法です。年間を通して商品・サービスの購入や利用をしてくれる顧客に対し、満足度を評価してもらいます。直接的にしろ間接的にしろ、すべての顧客接点が対象です。

NPS® と各顧客接点を総合的に評価することで、「どのような体験が顧客を満足させたのか」を導き出します。年間を通した総評ということで、半年か 1 年に 1 回、質問数は 20 問~ 25 問ほどになるのが一般的です。しかし、質問数が多くなりすぎると、回答率が低下し調査に必要な回答数が集まりにくくなります。

トランザクション調査(T-NPS®)

サービス内の重要な顧客接点ごとに評価する方法です。商品の購入や使用・来店・ウェブサイトへのアクセスなど、重要な顧客体験の直後に行われます。電話やメールでの問い合わせ・店舗での購入・セミナー参加なども同様です。

顧客接点ごとの改善点を明確にすることを目的とし、PDCA サイクルを効果的にまわしていくための指標としても活用されます。日次・週次・月次という短いサイクルで行うため、5 問~ 10 問ほどの質問数が適しています。質問内容をシンプルにすることも大切です。

従業員への調査(E-NPS®)

従業員ロイヤリティを数値化する調査方法です。「あなたはこの職場を誰かに紹介したいですか」という質問をすることで、職場への信頼度・関心度を測定します。高ければ高いほど離職率が低く、従業員の貢献意欲も高いといえるでしょう。

それに加え、人間関係・福利厚生・上司との関係・仕事へのやりがいなどを、併せて質問するのがおすすめです。従業員ロイヤリティに影響を与えている要因は、各項目の集計結果をみて確認しましょう。E-NPS® を改善することは、将来的に顧客ロイヤリティの向上にも繋がります。

NPS® の導入事例

NPS® の導入事例

NPS® の活用事例を、以下で紹介します。

損害保険会社の NPS® 導入事例

某大手損害保険会社の NPS® 導入事例を紹介します。

導入した背景

  • ・それまで使用していた顧客満足度と比べて NPS® の数値が業績との相関がより強いことがわかった
  • ・さらに調査を進め「NPS® のスコアが高い顧客は継続率が高い」「好意的な口コミの回数とも正の相関関係がある」という傾向が判明し本格導入をスタートした

この会社ではもともと、顧客満足度調査を行っていましたが、NPS® の数値のほうが収益に直結することが判明したことで、NPS® の活用を本格的にスタートしました。NPS® を高めることはリピート率向上と新規獲得数増加につながるとデータで判明したことで、経営に重要な指標となったからです。

導入後の成果

  • ・NPS® が何ポイント改善すれば、財務的な指標にどのくらいインパクトがあるか把握でき、施策の検討をしやすくなった
  • ・その施策を展開することでどのくらい業績に貢献するかも NPS® を使って試算できるようになった

NPS® 導入後は、批判者・中立者・推奨者ごとの契約者数の分布と継続データを分析し、推奨者が増えることでどの程度の翌年の継続件数の増加につながるかを試算して施策を検証、顧客に対するアクションの効果を数値で把握することができています。

某ネットサービス会社の NPS® 導入事例

某ネットサービス会社の NPS® 導入事例を紹介します。

導入した背景

  • ・同社ではユーザー体験を高めるためにカスタマーサポートを重視していた
  • ・ユーザーの「紹介」を重視していたため、NPS® の指標は重要であると認識していた

この会社ではもともと NPS® に対する理解が高く、サービス提供時から NPS® を重視。NPS® 数値の高さがリピートや紹介などの顧客の好ましい行動と相関しているかなど「NPS® の高い顧客が、売上に貢献しているか?」を定量的に可視化するために利用していました。

導入後の成果

  • ・NPS® の高さが顧客行動にどのように影響しているかをデータで把握できるようになった
  • ・カスタマーサービスの充実など NPS® 以外の取り組みも行うことで、よりユーザー体験を向上する取り組みができている

NPS® を上手に活用することで、顧客行動を数値として把握、カスタマーサービスなども含め全社的なユーザー体験向上の施策に活かしています。さらには、NPS® 計測のノイズを見極めてユーザー行動を分析し、推奨者と批判者の行動の違いなどにも着目、より精度を上げる取り組みも行っています。

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まとめ

NPS® は顧客ロイヤリティを数値化したものです。点数が高いほど、顧客が商品・サービスに対し愛着・信頼があることを示しているため、リピート購入など業績向上に繋がるといわれています。NPS® は競合他社との比較もしやすく、マーケティングに活用できるため、多くの企業に導入されています。

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