カスタマーサクセスとは?その基礎から成功させるポイントまで解説

ビジネスモデルの変化に伴い、「顧客の成功体験づくり」が重視されるようになってきました。そこで必要とされるのがカスタマーサクセスです。

本記事では、カスタマーサポートとの違いといった基本情報から、必要なスキルまでを説明します。

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは?

カスタマーサクセスとは、直訳すると「顧客の成功」を意味します。この場合の成功とは「業績アップ」のことを指します。カスタマーサクセスとは、顧客の業績アップを実現させる為に、自社が提供するサービスの価値を最大化し、活用してもらえるように支援する、顧客を積極的に導いていくことです。

カスタマーサポートとの違い

カスタマーサクセスは、カスタマーサポートと似ているようですが、その性質は全く違います。

カスタマーサクセスが積極的であるのに対し、カスタマーサポートは消極的なものです。カスタマーサポートは、サービス利用者からの質問やクレームを受けて初めて行動を起こします。一方のカスタマーサクセスは、顧客が成功をするために、自ら積極的に行動を起こします。

それぞれを「積極的(カスタマーサクセス)」と「受動的(カスタマーサポート)」で表すと分かりやすいでしょう。カスタマーサクセスは、顧客が行なっているサービスに対し、業績を上げるという目標へ向かって、顧客を引っ張っていきます。カスタマーサポートはあくまでアフターフォローであり、提示された問題点を解消することが目的です。

カスタマーサクセスの仕事内容

カスタマーサクセスの目的は業績アップです。そのためには、まず商品やサービスの購入をしてもらうための「導入支援」が必要となります。購入を支援するため、顧客ロイヤリティのアップ、継続的な商品・サービスの利用を促し、口コミやリピーターを増やすことなどをサポートします。

業績をアップさせるには、一時だけ購入されても意味がありません。継続利用を維持するため、柔軟なアイディアの提供、企画を行います。 また、顧客単価を上げるためのアップセル、売上向上のためのクロスセルなどの手法を提案するのも仕事の一つです。

アップセルとは、既に利用している顧客や見込み顧客に対して、元のサービスからグレードアップを促し、単価を上げることです。 一方のクロスセルとは、利用している商品やサービスだけでなく、さらに別の商品も購入してもらうことで、売上の向上を図ります。

たとえば、月単価 1,000 円のサービスプランを 1,500 円のプランへ変更してもらうのがアップセル、購入予定の商品と別の商品をセットで購入してもらうのがクロスセルです。 どちらも、低コストで売上向上を狙うことができます。

カスタマーサクセスが注目される背景

カスタマーサクセスが注目される背景

カスタマーサクセスは、もともと日本ではあまり馴染みのないものでした。なぜ今注目され始めたのでしょうか。

サブスクリプションの登場

まず一つ目として、ここ数年のビジネスモデルの変化があります。従来のビジネスモデルといえば、顧客が商品を購入することがゴールでした。しかし、近年では利用期間ごとの料金でサービスを購入するというタイプが増え続けています。

このようなビジネスモデルを「サブスクリプション」といいます。たとえば、「月額 5,680 円で使い放題のクリエイターツール」や「月額 980 円で音楽が聴き放題になる定額配信サービス」といったサービスなどがあります。従来の売り切り型に比べて、継続的な利用、安定した売上を獲得することが可能です。

消費者は「物の所有」よりも、「使いやすさ」を重視するようになりました。利便性の高いサービスや利用価値の高いサービスを求めているのです。 企業側としても一度売り切って終わってしまうよりも、継続的な定額利用により、安定した売上、顧客管理のしやすさなどがメリットとなります。そのため、さまざまなサービスでサブスクリプションモデルが取り入れられるようになりました。

営業で注力するべき箇所が変わってきたこと

二つ目の背景としては、サブスクリプションモデルなどにより営業スタイル変化が挙げられます。売り切り型商品の営業では、商品の契約が目的なので、「売るため」の工夫に注力していました。

不快にさせないセールストーク、顧客が求めるものを察して売り込む力など、「いかに商品を売るか」ということが重要視されたのです。契約というゴールに特化した営業スタイルといえます。しかし、サブスクリプションモデルを取り入れたならば、「売ること」はスタートに過ぎません。売った後に、いかに継続して利用を続けてもらえるかが重要です。そのため、顧客と中長期的なゴール設定を行い、継続的に顧客の声をサービスにもフィードバックして、サービス力の改善にも注力する。そのようなサブスクリプション型の営業が求められています。

カスタマーサクセスに必要なスキルとは?

カスタマーサクセスに必要なスキルとは?

顧客を成功へ導いていくためには、当然数々のスキルを必要とします。顧客のサービス内容や成長度に応じて、臨機応変に対応していくことが重要です。

顧客との関係を構築する

顧客との関係性は、カスタマーサクセスにおいて重要なポイントです。顧客のビジネスを把握し、本当に求めていることを理解しながら関係を構築していく必要があります。顧客との会話だけでなく、様々な面からもニーズを察知することが大切です。

顧客がおこなうビジネスの目指す先を真に理解することができなければ、信頼に値するサポートはできません。関係性を構築するコミュニケーションは、人間が使える最大の武器です。会話や目に見えることから、お互いにたくさんの情報を交換していきましょう。

顧客の担当者に対しては人間性や傾向を見抜き、適切な提案をすることが成功への第一歩です。コミュニケーションが不足していれば、ビジネスのあり方や目指すものの認識がすれ違ってしまい、いつまでも平行線のままとなってしまいます。

情報を分析する

カスタマーサクセスでは、顧客の商品やサービスについて、あらゆる情報を数値化します。市場の流れ、ユーザーの満足度、顧客がどんな状況に置かれているのかなど、全てのデータに対し広い視野をもって分析していくことが重要です。

顧客の代わりにデータを分析し、そこから導き出された状況を「何が」「どうなって」「こういう状態になっている」と顧客にもわかりやすく説明できますし、変化や現状に対するデータを素早く読み解くことで、顧客が成功するための提案や企画を打ち出すことが可能です。

裏付けされたさまざまな施策をおこない、売上の増加を目指すだけでなく、次の改善点や問題点を洗い出していきます。

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課題や問題を探し出して、解決する

数値化された情報や顧客とのコミュニケーションのなかで、隠された問題・課題をいかに早く解消するか、というスキルが求められます。

顧客だけでなく、サービスを利用しているユーザーからの要望や質問などの中から、重要となる意見を明確な形にする役目もあります。対応すべき意見と、対応しなくてもよい意見を分類し、求められる対策を複数の面から見つめるのです。 隠された問題を多方面から見つめ直すことで、効率のよい改善策を提案していきます。

業務を企画・設計する

課題点が浮かび上がったところで、効率よく効果的に解消できるよう、業務の中へ落とし込むプランを立てます。顧客の経営スタイルやサービス内容から、最適と思われるプランを提案し、そのサポートまでおこなうことが重要です。

単純に業務の変更を提案するだけでなく、それにともなう人員の増減、所要時間、コストまでふまえて提案する必要があります。 顧客を成功に導くには、業務の改善や追加など、適切な企画を設計するスキルが必須です。具体的なプロセスまで提案し、サポートしていく必要があります。

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カスタマーサクセスを成功させるポイント

カスタマーサクセスを成功させるポイント

カスタマーサクセスに関する書籍は多くあります。そのなかでも名著である「カスタマーサクセスーサブスクリプション時代に求められる「顧客の成功」10 の原則 」から、重要なポイントを解説します。

顧客は何もしなければ離れることを認識する

一度契約を獲得しても、そのまま放っておいてしまえば、競合企業へ流れて行ってしまいます。企業が成長するためには、常に差別化をはかるための企業努力が求められるのです。また、一定のタイミングで顧客と接点を持つことも重要です。

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絶えずカスタマーヘルスを把握・管理する

カスタマーサクセスの指標の一つに、「ヘルススコア」というものがあります。顧客のサービスを利用したユーザーがサービスを使い続けてくれるかを数値化するものです。その数値を常に把握しておくことで、解約を防ぐ、サービスへの定着率を増やすなどの対策をすることができます。

Time to Value の向上に取り組む

企業が提供するサービスに対し、ユーザーは契約中の価値を期待するものです。そのなかで価値があると判断されなければ、契約の更新はされず、アップセルやクロスセルのチャンスをも逃してしまいます。Time to Value 向上のためには、指標を明確に定め、すぐに行動を起こし、素早い対策をおこなうことが重要です。

※Time to Value とは、「いかに早い段階で、ユーザーがサービスの価値を感じることができるか」を意味します。

顧客の指標を深く理解する

サブスクリプションを扱う企業が成長を維持・促進するためには、サービスを利用している人たちの解約率、定期収益などの指標を把握しておくことが重要です。顧客の指標を深く理解しておくことで、解消するべき課題などを探りだし、結果として成長へとつながります。

トップダウンかつ全社レベルで取り組む

カスタマーサクセスをおこなうためには、多くの部署をまたいで会社全体でおこなう必要があり、限られた狭い環境だけで取り組んでは意味がありません。また、取り組みが結果として売上に繋がるには最低でも数ヶ月以上の期間が必要となりますが、その間も投資を続ける必要があります。そのため、強い権限を持つものが責任を持ち、トップダウンかつ全社レベルで取り組むことが、カスタマーサクセスの成功に繋がります。

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まとめ

カスタマーサクセスでは、顧客やユーザーの声からなる多数のデータを広い視野で分析することが必要とされます。その重要な顧客の声を吸い上げる手段の一つに、アンケートを活用するという方法があります。

CREATIVE SURVEYでは、単純なアンケートツールの一環ではなく、ビジネスへの有用が可能なリサーチやカスタマイズ、回答者のスコアリングなど、様々なサポートが可能です。自社のサービス・売上向上にぜひお役立てください。

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