顧客接点を強化する方法とは|多様化する顧客接点の改善施策と事例も紹介
近年スマホの普及などにより、集客のための経路(チャネル)が多様化しています。そのような中で企業がどのように顧客と接点を持ち、よい関係を継続していくかは大きな課題だと言えるでしょう。
そこで、本記事では、顧客接点の重要性や顧客接点の多様化によって、企業がどのような対策をしていくとよいのかといった点について解説します。顧客接点の強化・改善に取り組んだ事例なども紹介していきます。
なぜ、顧客接点は重要なのか
企業が顧客との接点を持つことが重要な理由は、事業の拡大のためには顧客について詳しく知ることが必要だからです。
顧客は基本的に、企業との接点を持つことによって、商品やサービスを認知し、興味関心を持ち、実際に購入するまでに至ります。また、一人の顧客から継続して商品の購入・サービスの利用をしてもらうためには、顧客接点を継続していく必要があります。
顧客接点を持ち続けることで、顧客の要望や変化も理解できるので、とるべき最適な対応を選択できます。このように顧客を知り、適切な対応をとるためにも、顧客接点は企業にとって欠かせないものなのです。
顧客接点を強めるために取り組むこと
では、企業が顧客接点を強化していくためには、どのようなことに取り組めばいいのでしょうか。ここではその方法として 2 つ紹介します。
顧客に直接対応する「フロントエンド業務」
フロントエンド業務とは、実際に顧客対応を行う業務のことです。コールセンターやメールの問い合わせへの対応のほか、顧客に対して商品やサービスを提案するなど、直接顧客との接点を持つことになります。
近年では、電話やメールの他にも LINE や SNS などでも顧客と接点を持てるようになったため、顧客が利用しやすいデバイスやコミュニケーション方法をとることが望ましいとされています。
顧客と接するために必要な情報を蓄積・分析する「バックエンド業務」
バックエンド業務とは、蓄積した顧客情報を参考に、より付加価値の高いサービスにつなげるための仮説を立案する業務のことです。
例えば、顧客の過去の購買履歴や行動、属性といった情報を分析することで、「誰に対して、いつ、どこで、何を、どのように提案するのか」という仮説を立てられます。この仮説に基づくことで、電話やメールでの問い合わせの際にサービスを提案することも可能になります。
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顧客接点の多様化で企業が抱える問題
かつては顧客接点の方法は店頭や電話、DM などに限られていましたが、現在では Web や SNS の発展によりチャネルが多様化し、顧客との接点が多くなりました。チャネルが多いと様々なものを使おうと考えてしまいますが、チャネル選びにあたっては使用目的をしっかりと考える必要があります。
例えば、高齢者をターゲットとした商品を販売するのに、若者向けの SNS を使用するというのは、効果的ではありません。そのため、自社の顧客にとってどのチャネルを選択すべきなのかをしっかりと理解しておくようにしましょう。
顧客接点を強化する方法
ここからは、企業が顧客接点をさらに強めていくための方法について解説します。
オムニチャネル戦略で顧客満足度を向上させる
オムニチャネル戦略とは、店舗やインターネット、スマホ、イベントなど様々なチャネルで顧客と接点を持とうとする考え方のことです。複数のチャネルを利用する、という点ではマルチチャネル戦略と混同する人もいるかもしれません。しかし、マルチチャネルはただ単にチャネルの数を増やしているだけであるのに対して、オムニチャネルはチャネル間を連携させて顧客にアプローチします。
オムニチャネルが求められる背景としては、前述のようなチャネルの多様化が挙げられます。顧客は店舗や EC サイトだけでなく、様々なチャネルでの情報収集を通して購買の判断をしているため、1 つのチャネルだけでなく、複数のチャネルを連携させた戦略が必要となるのです。
実際にオムニチャネル戦略を実行する場合、チャネルごとに運営チームが異なるとサービス内容にも違いが出てきてしまうため、社内体制の見直しなど環境を整える必要があります。
カスタマージャーニーマップ作成で顧客接点を改善する
企業が顧客接点をよりよいものにしていくために活用できるのが「カスタマージャーニーマップ」です。続いては、カスタマージャーニーマップについて概要から作成方法を解説します。
カスタマージャーニーマップとは
カスタマージャーニーマップは、顧客が商品やサービスを購入する際の行動・感情・思考・不満の動きを時系列でまとめたものです。
なぜカスタマージャーニーマップが顧客接点を改善するために有効なのか
カスタマージャーニーマップを利用することで、以下のようなメリットが得られます。
・顧客の行動・感情・思考・不満を把握できる
・顧客に対する共通認識が持てる
・顧客目線に立ったサービスの提供ができる
カスタマージャーニーマップを利用することで、顧客の行動を把握できます。また、営業やマーケティングといった部署が横断的にマップを作成することで部署間での課題の共有も可能です。そして、課題が明らかになれば何から取り組んでいくのかの優先順位もつけることができ、顧客接点の改善に活かしていけます。
カスタマージャーニーマップの作成方法
カスタマージャーニーマップの作成手順は以下の通りです。
1.ペルソナを設定する
2.ペルソナの行動を仮説として考える
3.仮説を検証する
4.カスタマージャーニーマップで使用するフレームワークを決める
5.完成
カスタマージャーニーマップの作成にあたってはペルソナの設定を間違えると、その後の仮説や検証にも影響を及ぼすため、自社の状況や顧客のニーズなどを把握した上で、細かく設定するようにしましょう。
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顧客接点の強化・改善した事例
ここからは、顧客接点の強化・改善に取り組んだ企業の事例を 2 つ紹介します。
株式会社良品計画の事例
良品計画では、顧客とのつながりを作るために、顧客が商品の選択から購入、使用に至るまでどのような行動をとっているのかを把握することが一つの課題でした。
その課題を解決するために作られたのが、スマートフォンのアプリの「MUJI passport」です。このアプリは、一般的にカードで行われる購入時のポイント付与をアプリで行います。また、アプリから店舗情報や商品の在庫確認ができるようにもなっています。
今でこそ、このようなアプリは多く見られますが、当時はあまり見られませんでした。しかし、それでも多くの顧客がこのアプリを利用したことで、アプリや商品の利用履歴や購入履歴、来店の有無といった情報を得られるようになりました。
また、SNS との連携やクレジットカードとの連携もできるようになったため、細かい購入データがわかるようになり、売れ筋商品や商品ごとの顧客像が把握できるようになっています。
参照:購買体験を設計する MUJI のフレームワーク:日経ビジネス電子版
鉄道会社 Rail Europe の事例
Rail Europe では、顧客の行動や心理状態、会社として改善しなければいけないことが、各ポイントごとに詳細にマップに記載され、Rail Europe がどういった役割を担うのかを明らかにしています。
具体的には、旅の行程を「Research & Planning」「Shopping」「Booking」「Post-Booking」「Pre-Travel」「Travel 」「Post Travel」と細かく分けています。例えば「Research & Planning」の段階で、Rail Europe としてできることはどういうことなのか、「Post Travel」では、旅の思い出や経験をシェアする仕組みなどについてが記載されています。
まとめ
この記事では、顧客接点を持つことの重要性と強化するためのポイント、具体的な事例などについて解説しました。企業が顧客接点を強化していくためには、顧客を正しく理解することが重要であり、その際に便利なのがアンケートによる調査です。
CREATIVE SURVEYでは、顧客に対する各種アンケートが実施でき、その結果と顧客情報の紐付けができるほか、顧客ロイヤリティを測る NPS® 調査を行うこともできます。顧客接点の強化に取り組みたい企業はぜひ一度利用をご検討ください。