CRMでCX・顧客満足度を向上|シームレスな顧客体験を提供しよう

顧客との長期的な関係性を構築するために「顧客体験(CX)」を重視する企業が増えています。CXの向上を実現するには、適切な顧客管理ができるCRMを導入するのがおすすめです。ここでは、CXの重要性やメリットのほか、CX向上に役立つCRMの機能や代表的なツール例などを紹介します。

CX向上の重要性

CX向上の重要性

購買プロセスのデジタル化が進み、顧客接点が多様化しているなか、ビジネスの新たな評価軸として注目されているのが「顧客体験(CX:カスタマーエクスペリエンス)」です。
質の高い顧客体験は、自社と顧客の長期的な関係性構築にポジティブな影響を与えるので、まずはCXの基本を押さえておきましょう。

CXの対象はすべての顧客接点

そもそもCXとは、「商品・サービスにまつわる顧客の体験価値」を意味し、顧客目線で提供価値を高めるマーケティング概念です。
「顧客の体験価値」というと、商品・サービスの使用時点のことをイメージする人もいますが、CXでは、検討段階から購入後のあらゆる顧客接点を評価対象にしています。

顧客接点の一例を以下に挙げます。

<情報収集・検討段階>
・商品・サービスのWebサイト、アプリ
・イベントや展示会
・お問合せフォーム
・広告
・SNS
・カタログ

<購入時・購入後>
・店舗の内装や接客
・営業担当者との面談
・フォローメール
・メールマガジン
・コールセンター、カスタマーサポート

顧客接点は商材や売り方によって異なるものの、すべての接点における顧客体験の積み重ねが、自社の商品・サービスに対する評価を左右します。

CX向上のメリット・効果

あらゆる顧客接点における体験価値を高めることができれば、商品・サービスに対する顧客満足度が向上し、継続使用率(リピート率)の向上につながります。購入後も高いレベルの顧客体験を提供すれば、顧客ロイヤリティが醸成され、競合他社へのスイッチを防ぐことができます。
従来、市場での競争優位を高めるには「商品やサービスの機能・品質」または「価格」で勝負するしかありませんでした。しかし、顧客体験という新たな評価軸を加えることで、不毛な価格競争などに巻き込まれず、他社との差別化を実現できるようになります。

顧客接点の可視化・数値化が重要

市場のニーズが細分化しているなか、多様な顧客のCXを向上させるには「顧客属性・特性の把握」や「顧客接点の可視化」が欠かせません。また、顧客体験を最適化するにはPDCAサイクルを回す必要があり、効果検証のためにCXを数値化することも重要です。

顧客接点における顧客の思考や感情の変化を整理する際は、カスタマージャーニーマップのようなフレームワークを用いると良いでしょう。

また、顧客接点ごとの関係性を管理・活用するには「CRM(顧客関係管理:カスタマーリレーションシップマネジメント)」を導入するのがおすすめ。顧客へのアクションを効果検証するために、NPS®調査などのアンケートを定期的に実施するのも一案です。

CXやカスタマージャーニーの基礎知識・事例が知りたい方は、以下の記事も参考にしてください。

CX(カスタマーエクスペリエンス)とは|UXとの違いから成功事例まで
CX(顧客体験)とは|顧客の体験価値を生み出す要素と向上のポイント

カスタマージャーニーとは|マップの作り方から事例まで【B2C・B2B】
カスタマージャーニーマップの作り方・「使えるマップ」に仕上がる調査手法

CX向上に有効なCRM

CX向上に有効なCRM

CX向上をサポートするツールや手法には様々ありますが、「顧客接点の可視化・管理」という観点ではCRMを導入するのが得策です。

あらゆる顧客接点を管理

CRM(顧客関係管理)は、その名の通り「顧客との関係性を管理する」ための概念・ツール。顧客接点にまつわるすべてのデータを集約・分析する機能が備わっており、PDCAを回しながら顧客へのアクションを最適化できるようになります。
CRMは「SFA(営業支援システム)」と混同されやすいですが、SFAは営業担当者の業務支援に特化したツールです。SFAでは案件管理や売上管理、見積書・日報作成などの機能が強化されており、営業活動の効率化や売上予測の精度向上が主な目的です。

One to oneマーケティングが可能に

CRMを導入すると、購買プロセス(カスタマージャーニー)を顧客単位で段階的かつリアルタイムに管理できるようになるため、One to oneの顧客アプローチが可能になります。それにより、顧客のニーズを適切に把握できるようになり、アップセル・クロスセルなどの提案の精度も高まります。
また、リードの掘り起こしや休眠顧客への再アプローチにも有効です。

アプローチの最適化でCX向上・LTV最大化

CRMでは、蓄積した顧客データや購買データによって、以下のような顧客分析もできるようになります。

◆デシル分析
顧客を購入金額で10等分し、売上げ上位の優良顧客を抽出する手法。

◆RFM分析
「Recency(直近購買日)」「Frequency(購入頻度)」「Monetary(購入金額)」の3つの指標で顧客をグループ分けする手法。

◆CTB分析
「Category(カテゴリ)」「Taste(テイスト)」「Brand(ブランド)」の3つの指標で顧客をグループ分けし、どのような商品を購入するか予測する手法。

分析結果を施策や顧客アプローチに反映すれば、質の高い体験価値を提供できるようになり、顧客との関係性を構築・強化できるようになります。このような好循環は、LTV(顧客生涯価値)の最大化につながります。

顧客分析の手法については、以下の記事も参考にしてください。
顧客分析に効果的なフレームワーク5選|RFM分析等の活用方法を紹介
効果的な顧客分析を行うには|5つの分析手法と分析を行う際のポイント

CRMの機能と主なツール一覧

CRMの機能と主なツール一覧

ここまで、CRMの概念・メリットを中心に説明しましたが、実際のツールとしてはどのような機能や製品があるのでしょうか。
最後に、CRMツールの主な機能や製品例を紹介します。

CRMツールの主な機能

CRMの代表的な機能を以下に挙げます。

◆顧客情報管理
顧客の属性情報のほか、問合せ・購買履歴や商談日時・内容など、顧客に紐づくあらゆるデータを一元管理する機能。

◆メール配信機能
商談の進捗状況などで顧客をセグメント分けし、メールを一斉配信・予約配信できます。キャンペーン情報やアンケートの配信などを効率化でき、開封状況を把握することも可能。

◆問合せ管理機能
問合せ・クレームの内容や対応状況を顧客別に蓄積・管理する機能。対応の進捗管理によって対応漏れや二重対応を防ぎます。

◆営業進捗管理機能
アポイントから商談、成約までのプロセスを管理する機能。

このほか、CRMツールには「分析・レポート機能」や「外部システムとの連携」など幅広い機能が搭載されています。

主なCRMツール一覧

代表的な10種類のCRMツールの特徴を一覧にまとめました。

製品名 特徴 導入形態 無料プラン・トライアル
Salesforce Sales Cloud ・クラウド型CRM/SFAの世界シェアNo.1

・営業支援機能が豊富

クラウド 30日間無料トライアル
eセールスマネージャーRemix Cloud ・専任コンサルタントが導入から運用までサポート
・営業支援機能が豊富
クラウド 無料デモ版あり
Oracle CRM On Demand ・分析機能やオプションが豊富
・自社でシステム運用管理が必要
クラウド
オンプレミス
なし
Microsoft Dynamics 365 ・Office365との連携が可能
・ERP機能あり
クラウド
オンプレミス
無料トライアルあり
Sansan ・名刺管理機能をベースとした営業管理/顧客管理が強み
・拡張性が高い
クラウド 無料トライアルあり
HubSpot CRM ・無料で使用できる機能が豊富
・ユーザー数の制限なし
クラウド 無料プランあり
Zoho CRM ・人工知能による売上予測
・中小企業やベンチャーが使いやすい仕様
クラウド 15日間無料トライアル
Kintone ・顧客データ管理用のアプリを簡単に作成できる
・マルチデバイス対応
クラウド 30日間無料トライアル
Synergy! ・顧客サポートが手厚い
・初心者向け
クラウド 無料トライアルあり
SugarCRM ・オープンソースCRMとしての導入実績No.1 オンプレミス オープンソースは英語(日本語版は有償版のみ)

導入形態や強化されている機能はツールによって異なるため、効果的にCXを向上させるには、自社の課題やニーズに合ったものを選ぶことが大切です。
※最新の情報や料金体系については、各サービスサイトでご確認ください。

CRMを有効活用し、質の高い顧客体験を提供しよう

顧客接点が増えれば増えるほど、顧客管理は複雑になります。しかし、CRMを用いれば顧客データの集約・一元管理が可能になり、顧客の状況や特性に合ったアプローチを展開できるようになります。顧客分析をしながらPDCAを回すことで、シームレスで質の高い顧客体験を提供でき、顧客ロイヤリティの向上・LTVの最大化を図れます。
顧客管理に課題を感じている場合は、自社に適したCRMを導入し、CX向上の取り組みを強化しましょう。

※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そして NPS 関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

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