コンセプト調査とは|実施の流れ・アンケート調査票の作り方

コンセプト調査は、商品開発の初期フェーズで実施する調査です。コンセプトは商品の仕様やマーケティング施策を検討する際の基準となるため、開発前にターゲットの受容性を測定することが重要です。本記事では、コンセプト調査の目的や実施の流れを解説します。調査票のテンプレートも、ぜひ参考にしてください。

コンセプト調査とは

まずは、コンセプト調査の概要を見ていきましょう。

コンセプト調査の位置づけ

コンセプト調査とは、製品・サービスのコンセプト案がターゲットに受け入れられ、どのように評価されるのかを測定する調査です。

コンセプトはマーケティング施策全体を方向づける重要な要素です。ネーミングやパッケージデザイン、広告、店頭販促物などあらゆる施策を検討する際の土台となるため、コンセプト調査で精査することが重要です。

一般的な商品開発において、コンセプト調査は開発の初期段階で実施します。

<商品開発の流れ>
1.市場分析(3C分析)
2.ターゲット選定(STP分析)
3.コンセプト開発 
  →コンセプト調査
4.商品設計・試作品の作製
  →製品調査
5.仕様の検討(デザイン、サイズ、価格など)
  →デザイン調査、価格受容性調査など
6.マーケティング施策の検討(Web施策、テレビCM、店頭施策、キャンペーンなど)
  →広告クリエイティブ調査、シェルフテストなど
7.発売

なお、コンセプト調査は広告施策の訴求ポイントを短文にまとめた「広告コンセプト」を対象とすることもあり、主に6の段階で実施します。

コンセプト調査で明らかにできること

コンセプト調査では、以下のような項目を明らかにすることができます。

・コンセプト案がターゲットに受け入れられるか
・最も共感されるコンセプト案はどれか
・購入意欲が高まるか
・コンセプトの文言で評価が高い要素・低い要素
・反応がよい層・悪い層
・競合商品からのスイッチが見込めるか

調査結果は、コンセプトのブラッシュアップやターゲット層の再検討などに活用します。

コンセプト調査の流れ

一般的なコンセプト調査は以下の流れで実施します。

企画・設計

まず、調査の目的(明らかにしたいこと)を整理し、調査手法や対象者を選定します。

コンセプト調査の手法は主に3つあります。

<Webアンケート>

コンセプト調査で活用されることが多い手法です。パソコンやスマートフォンで気軽に回答できるため対象者の負担が少なく、一定の回答率が見込めます。ニッチなターゲット層に実施する場合でも、ある程度のサンプル数を確保できるでしょう。回答データを即座に集計・分析できる点も大きなメリットです。

<会場調査(CLT調査)>

調査会場に対象者を集め、コンセプト案についてアンケートやヒアリングを行う手法です。多くのデータを収集したい場合には不向きですが、対象者の反応を直接観察できる点や、試作品などの現物を提示して試してもらえる点がメリットです。

<グループインタビュー>

複数名(4~8名程度)の対象者を集めて座談会形式で行うインタビュー調査です。定性データの収集が主な目的で、定量調査では把握しづらい行動の背景や価値観・ニーズなどを深掘りし、コンセプトのブラッシュアップに役立てることができます。

調査対象者は、ターゲット層、非ターゲット層、競合ユーザーなど調査の目的に応じて選定します。例えば、既存商品をリブランディングして競合商品からのスイッチを狙う場合は、競合ユーザーの評価を確認すると共に、コンセプト変更に伴う自社ユーザーの態度変容の有無もチェックする必要があります。

調査票の作成

調査目的に沿って質問内容を整理し、調査票を作成します。

主な調査項目は以下の通りです。

・コンセプトの評価
 ー購入意向、印象・イメージ(魅力度や共感性、独自性など)
・評価理由
 ーコンセプトの第一印象や評価したポイントなど
・回答者の属性情報
 ー性別、年齢、未婚・既婚、居住地域、対象カテゴリーの使用状況など

<提示するコンセプト案のイメージ>

コンセプトP

 テキストテキストテキストテキスト
 テキストテキストテキストテキスト
 テキストテキストテキストテキスト

  ●特長1
  ●特長2
  ●特長3

コンセプト案が複数ある場合は、まず一案ずつ評価してもらい(絶対評価)、その後で各コンセプトを比較して評価してもらいます(相対評価)。

また、先に提示された案のほうが高く評価される傾向があるため、提示順を変えた別パターンの調査票(調査画面)を用意し、対象者を分けて実施します。

 例:Aパターン100名(P案→Q案)、Bパターン100名(Q案→P案)

調査結果の分析

回答データを項目別に集計(単純集計・クロス集計)し、調査の目的に沿って分析を行います。

採用すべき案は絶対評価と相対評価の結果から絞り込むことができますが、原案のままで良いか精査する必要があります。例えば、指標別に見ると「独自性」は別案のほうが評価が高い場合、原案に独自性の要素を盛り込むべきかなどのブラッシュアップを検討します。

また、ターゲット層に支持されているかどうかを確認し、評価が高い要素や改善すべき表現などを抽出します。どの評価項目(魅力度や共感性など)が購入意向に影響を与えているかを知りたい場合は、重回帰分析で項目別の影響度を把握できます。

アンケート調査票の具体例・テンプレート

最後に、アンケート内容を調査票に落とし込んだ具体例を紹介します。

購入意向

コンセプトを見た第一印象として、購入意向や利用意向(使いたいと思うか)の度合いを確認します。

商品説明文【P】をお読みください。

Q)あなたは、商品Pを買いたいと思いますか。

買いたい/買ってもいいと思う/どちらともいえない/たぶん買わないと思う/買いたくない

Q) 前問のようにお答えになった理由をご記入ください。

各指標の評価

複数の指標について評価してもらう場合は、下記のようなマトリクス形式にすると回答しやすいです。

Q)商品Pは、以下の各項目についてどの程度あてはまりますか。

      あてはまる ややあてはまる どちらともいえない あまりあてはまらない あてはまらない
魅力がある   □       □        □          □         □

目新しい    □       □        □          □         □

共感できる   □       □        □          □         □

信頼できる   □       □        □          □         □

わかりやすい  □       □        □          □         □

価格提示後の購入意向

価格によって購入意向などに変化があるかを確認するための設問です。

Q)商品Pの価格が〇〇円だとしたら、どの程度 買いたいと思いますか。

買いたい/買ってもいいと思う/どちらともいえない/たぶん買わないと思う/買いたくない

相対評価

複数のコンセプト案を比較してもらう設問です。3案以上ある場合は順位を付けてもらう方法もあります。

商品説明文【P】【Q】をお読みください。

Q)あなたは、商品Pと商品Qのどちらを購入したいと思いますか。
  P / どちらかといえばP  / どちらかといえばQ  /  Q

Q) 前問のようにお答えになった理由をご記入ください。

コンセプト調査で受容性を確認しよう

コンセプト調査は、商品のアウトラインやマーケティング施策の方向性を決める上で欠かせない調査です。どのような訴求がターゲットに響くのかを定量的・定性的に把握できるため、市場ニーズを捉えた精度の高い商品開発につなげることができます。

コンセプト案の絞り込みやブラッシュアップをしたい場合は、Webアンケートなどを活用して受容性を調査してみましょう。

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