アンケートの4件法・5件法とは|メリット・デメリット、分析方法の例

4件法・5件法とは、アンケートの回答形式の一つです。アンケートでは、どの回答形式を設定するかによって得られる考察が変わるため、それぞれの特徴を理解した上で適切な形式を選ぶことが大切です。ここでは、アンケートでとくに多く見られる4件法・5件法の特徴やメリット・デメリット、分析方法について解説します。

4件法・5件法とは

アンケート調査を設計する際は、どのような分析結果を得たいのかを踏まえて、適切な回答形式を設定する必要があります。選択式の回答形式で多く用いられるのが4件法・5件法です。

4件法・5件法の回答形式とは

4件法とは、アンケートの質問に対して4段階の選択肢から選んでもらう回答形式のことです。

例を見てみましょう。

4件法の例)

1.とても当てはまる
2.やや当てはまる
3.あまり当てはまらない
4.全く当てはまらない
1.満足
2.やや満足
3.やや不満
4.不満

5件法とは、5段階の選択肢から選んでもらう回答形式をいいます。4件法に中立的な選択肢「どちらともいえない」を加えて、1〜2と4〜5の回答文が対称となるように設定するのが一般的です。

例を見てみましょう。

5件法の例)

1.とても当てはまる
2.やや当てはまる
3.どちらともいえない
4.あまり当てはまらない
5.全く当てはまらない
1.非常に満足
2.やや満足
3.どちらともいえない
4.やや不満
5.不満

「程度」を測定するリッカート尺度とは

4件法・5件法の理解を深める上で、リッカート尺度についても見ていきましょう。

リッカート尺度とは、段階的な評価尺度を設定して意識・価値観・行動などが「どの程度、当てはまるのか」を回答してもらう手法のことです。「はい/いいえ」のように二者択一の回答では得られない、度合いを測定できる点が特徴です。

リッカート尺度は、広告効果の測定や顧客満足度調査、ブランド認知度調査、パッケージ・ネーミング調査など様々なアンケート調査で使われています。

例を見てみましょう。

広告効果測定の例)

「Q. この広告を見て、どのように感じましたか」

そう思う ややそう思う どちらともいえない あまりそう思わない そう思わない
商品に興味を持った
商品の特徴が理解できた
購入したくなった

アンケートでは5段階に分けた5件法を用いるケースが多く見られますが、大まかな結果を得たい場合は3〜4件法、逆に詳細な度合いを把握したい場合は7件法にするなど、調査目的に応じて設定します。

アンケート調査における4件法・5件法のメリットとデメリット

4件法と5件法では、それぞれにどのようなメリット・デメリットがあるのか、以下にまとめました。

4件法のメリット・デメリット

4件法のメリット・デメリットには次のものがあります。

メリット

●傾向をつかみやすい

4件法では「どちらともいえない」という中立的な選択肢を設けないため、「満足⇔不満」「ポジティブ⇔ネガティブ」など、どちらかの方向で回答させることができます。白黒がはっきりするため、分析結果から傾向をつかみやすいというメリットがあります。

●「どちらともいえない」に回答が集中することを避けられる

アンケートをとると、「どちらともいえない」という中立的な選択肢に回答が集中してしまうケースがあります。「どちらともいえない」が大多数を占めた場合、回答結果をどのように解釈すべきか判断が難しくなりますが、4件法にすることで、こうした事態を避けることができます。

デメリット

●中立的な意見を吸い上げられない

4件法では「良い⇔悪い」のように、どちらかの方向に強制的に回答させることになります。そのため、「どちらともいえない」という中立的な意見がどの程度あるのかを把握できない点がデメリットとなります。

●回答しづらい

安易に中立的選択肢を選ばないようにできる反面、回答者からすると「自分にぴったり合った選択肢がない」というケースが起こり得る点もデメリットといえるでしょう。

5件法のメリット・デメリット

5件法のメリット・デメリットは、以下のものがあります。

メリット

●誰もが選択しやすい

「どちらともいえない」を加えた5件法にすることで、「自分に当てはまる選択肢がない」ということがなくなるため、回答者は選択しやすくなります。

●中立的な意見も含めたデータを集められる

「どちらともいえない」を選択する人の中には、自分の中で評価がはっきりしていない場合もあれば、そもそも興味が薄く、どちらでもよいと考えている場合など様々なケースが想定されます。

5件法でアンケートをとると、「どちらともいえない」を選ぶ層が一定数現れますが、中立的選択肢を選ぶ人が多い・少ないも一つの結果と見ることができます。4件法では把握できない中間層がどれくらいいるのかが反映されたデータを得られる点は、5件法のメリットといえるでしょう。

デメリット

●中立的選択肢に回答が集中することがある

日本人は白黒をはっきりさせる回答が苦手な傾向にあり、判断リスクを避けたい心理が働いて「どちらともいえない」を選択することがあります。「どちらともいえない」が過半数を超えるなど大多数を占めると、データの分析や解釈が難しくなるというデメリットが生じます。

このように、4件法と5件法のメリット・デメリットは表裏一体といえるため、設問内容や求める分析結果を踏まえながら選択することが重要です。

アンケートの回答形式と分析方法の例

アンケートの回答形式ごとに、どのような分析方法があるのかを見ていきます。

2件法

2件法とは、「はい/いいえ」「好き/嫌い」「A/B」など、2つの選択肢から選んでもらう回答形式をいいます。回答者の負担が少なく、簡単に分析結果を出せる点がメリットです。

2件法が適しているのは、どちらかを選んでもらいたい場合です。たとえば、広告クリエイティブのアンケート調査においてA案・B案を提示して、好きなほうを選んでもらうというやり方があります。

2件法の分析は、単純集計で割合や人数を出すのが基本です。他の質問項目とクロス集計することで、たとえば「Aを選んだ人は○○に興味関心が高い」というように詳細な分析をすることも可能です。

3件法

3件法とは、3つの選択肢を設定する回答形式のことです。「そう思う・どちらともいえない・そう思わない」「良い・普通・悪い」のように、真ん中に中立的選択肢を設けます。

5件法よりも選択肢がシンプルになるため、回答者の負荷を下げられる点がメリットです。たとえば、来店者アンケートなどで、お客様の手間を押さえつつ満足度を即座に把握したい場合などに用いられることが多くなっています。

大まかな全体傾向をつかみたい場合に適している回答形式で、分析も容易です。分析方法は2件法と同じで、まず単純集計で割合・人数を出すのが基本です。より詳細に分析したい場合は、クロス集計を用いるとよいでしょう。

4件法

4件法は、中立的選択肢がない点が大きな特徴です。「ポジティブ・ネガティブ」「良い・悪い」などの割合を明らかにしたい場合に適している回答形式です。

分析する際は、ポジティブ・ネガティブなどの割合を比較して、全体的な傾向をつかむとよいでしょう。他の質問項目との相関や因果関係を見ていくことで、より詳細な考察を得ることもできます。

5件法

5件法は、回答者が「ぴったり当てはまる」と思う選択肢から選べる回答形式のため、より実態に即したデータを得られる点が大きなメリットです。それぞれの回答ボリュームを比較して全体傾向を把握し、クロス集計で詳細を見ていくという流れが分析方法の基本です。

顧客満足度調査やブランド認知度調査など、調査目的によっては定期的にアンケートを実施して、施策前後の変化を分析することもあります。

質問内容に応じて4件法・5件法を使い分けることが大切

アンケート設計で難しいとされるのが、適切な回答形式の選び方です。どのような分析結果を得たいのかを想定した上で、最適な形式を勘案する必要があります。とくに、中立的な選択肢の「どちらともいえない」を入れるべきかどうかは判断に悩むことが多いでしょう。

4件法・5件法のどちらが良いということはないため、質問内容の特性を踏まえながら使い分けることが大切です。本記事を参考に、有用性のあるデータを収集できるアンケート作りに役立ててください。

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