【市場調査】SWOT分析とは|要素の見つけ方と分析のやり方・業種別の事例

SWOT分析は、自社の内部環境と外部環境を「強み・弱み・機会・脅威」の4要素から分析する手法です。自社が置かれている現状を客観的に把握し、有効性の高い事業戦略の策定につなげることができます。SWOT分析でわかることや実施する目的、やり方、業種別の事例まで解説します。

SWOT分析とは

SWOT分析とは、自社を取り巻く内部環境と外部環境におけるプラス要因・マイナス要因を明らかにするフレームワークのことです。内部環境における強み(Strength)・弱み(Weakness)、外部環境による機会(Opportunity)・脅威(Threat)の4つの要素に整理し、事業戦略の策定や意思決定に活かしていきます。

SWOT分析でわかること

SWOT分析で明らかにできるのは、外部環境要因と内部環境要因から見た自社の現状です。内部環境は自社のリソースや保有する資産などを指し、自社の施策によってコントロールが可能な要素です。外部環境は自社ではコントロールできない社会情勢や経済動向、競合の動向などを指します。

これらの情報を自社にとってのプラス要因とマイナス要因に整理することで、自社の課題やビジネスチャンスの発見につなげることができます。

SWOT分析の目的

SWOT分析を行う目的は、自社が置かれている現状を客観的に把握することで事業戦略の有効性を高めていくことです。戦略策定では、自社の強みを伸ばして弱みを補うという視点と、機会をとらえて脅威を回避するという視点が重要になります。

SWOT分析はこれらをわかりやすく分析できる手法であり、マーケティングや営業活動など、あらゆる事業戦略の策定に活かすことができます。

SWOT分析の4要素の見つけ方

SWOT分析の4つの要素にはそれぞれどのようなものがあるのか、見つけ方について詳しく見ていきます。

Strength(強み)

強みは、内部環境におけるプラス要因のことを指します。以下に、内部環境要因の要素の例を挙げます。

●ブランド認知度
●顧客データ数
●商品・サービスの品質や価格
●保有するノウハウ
●店舗数
●社員数
●技術力
●予算
●立地

たとえば「ブランド認知度が各世代で7割を超える」「○○の技術において30年培ったノウハウがある」などは強みと言えます。

強みを見つけるときは、以下の2点を意識することがポイントです。

●競合との比較において優れているか
●顧客の満足度が高いか

社内の情報だけで判断できないという場合は、アンケート調査やインタビュー調査などで情報を集めることをおすすめします。

Weakness(弱み)

弱みは、内部環境におけるマイナス要因のことです。たとえば「商品の認知度が低い」「デジタルリテラシーが低い従業員が多い」などは弱みといえるでしょう。

弱みの見つけ方は、競合他社と比較した際に劣っている要素や、顧客視点から見たときに価値を提供できていない要素を洗い出すことがポイントです。以下の点を意識しながら進めるとスムーズです。

●自社が苦手なこと
●必要とわかっているものの、できていないこと
●時代遅れになっていること
●顧客満足度が低いこと
●コストがかかりすぎているもの

各部門の社員の声を集めるなど、多面的な視点から情報を収集することで偏りを防ぐことができます。

Opportunity(機会)

機会は、外部環境の変化において自社にメリットがもたらされていることや、ビジネスチャンスが生まれていることを指します。以下に、外部環境要因の例を挙げます。

●市場規模・成長性
●競合他社の動向
●顧客ニーズの変化
●社会情勢
●法改正
●経済面の動向
●技術面の動向

業界によって着目すべき外部環境要因が異なるため、自社への影響が高い要素を洗い出すようにすることがポイントです。また、公的機関が公表している情報を集めるなど、客観性・信頼性のある情報源を用いることも重要です。

機会を見つける際は、次の点を意識しましょう。

●自社にとってチャンスとなる事柄は何か
●競合他社よりも有利になる事柄は何か

Threat(脅威)

脅威とは、外部環境の変化においてもたらされているリスクやデメリットのことです。たとえば、法改正により既存商品の抜本的な改革が必要となっている場合は、脅威と捉えることができます。

脅威を洗い出す場合は、以下の点を意識するとよいでしょう。

●自社の強みがなくなる事柄は何か
●競合他社よりも不利になる事柄は何か

SWOT分析のやり方

SWOT分析の進め方を4つのステップに分けて見ていきます。

1.目的の明確化と情報収集

SWOT分析では自社を取り巻く環境を多角的に見ていくため、広範囲の情報が必要となります。そのため、はじめにSWOT分析によって何を明らかにしたいのか、対象とする商材は何か、どのような意思決定に役立てたいのかといった観点から目的を明確にすることが重要です。

たとえば、「顧客数の減少による売上低迷を回復させるための戦略策定に役立てる」という目的を設定したなら、これに影響を及ぼしている外的環境要因と内的環境要因について情報収集します。あらかじめ、ピックアップすべき情報の目途を立てておくことが効率的に進めるコツです。

2.外部環境の分析

内部環境は外部環境の影響を受けるため、まずは外部環境の分析から行うことをおすすめします。ステップ1で収集した情報をもとに、自社にとって機会・脅威となる事柄を整理します。社会情勢によって生じた外部環境要因は自社の努力で変えられないものですが、視点を変えると、一見脅威と思える変化も機会に変えることが可能なケースもあります。

たとえば、業界自体の需要はシュリンクしていても、自社の独自技術を活かしたニッチ戦略によってシェアを獲得できることもあります。このように、一般論的な見方をするのではなく「自社にとって機会・脅威となり得るか」という観点から分析することがポイントです。

なお、社会情勢や世の中の動向を把握するマクロ環境分析の「PEST分析」や、競合・顧客・自社の3つの視点からポジションを明らかにする「3C分析」などと組み合わせることで、より深い知見を得ることができます。

3.内部環境の分析

内部環境の分析では、自社の強み・弱みを多角的に洗い出します。とくに社内についての分析では先入観が混じりやすいため、客観性を担保できるよう注意しましょう。自社が保有するデータやアンケート調査など、根拠となる情報をもとに分析することがポイントです。

外部環境の機会・脅威と内部環境の強み・弱みを洗い出したら、表を用いて整理します。

4.クロスSWOT分析

次にクロスSWOT分析を行います。クロスSWOT分析とは、4種類の戦略を導き出せるフレームワークのことです。

次の4つの組み合わせがあります。

●強み×機会:自社の強みを活かして機会を最大化する(SO戦略)
●強み×脅威:自社の強みを活かして脅威を機会に変える(ST戦略)
●弱み×機会:自社の弱みを補強・改善して機会をとらえる(WO戦略)
●弱み×脅威:自社の弱みを把握して脅威を避ける(WT戦略)

SWOT分析は、あくまで自社を取り巻く環境という観点から現状を整理するものです。クロスSWOT分析をすることで、環境要因を踏まえた事業戦略につなげることができます。分析して終わりという状態にならないよう、しっかり事業戦略に落とし込んでいくことが大切です。

SWOT分析の事例

実際のSWOT分析は企業が置かれている状況によって大きく変わりますが、ここでは理解を深めるための事例を紹介します。参考にしてください。

製造業の例

<内部環境>
●強み
・特殊加工技術を保有
・小ロット・短納期が可能

●弱み
・営業人員が少なく顧客数が頭打ち

<外部環境>
●機会
・短納期・特殊加工技術の需要が増加
・海外市場の需要が増加

●脅威
・安価な特殊加工技術が開発された

この例では、強み×機会を捉えることで受注拡大を目指せるものの、営業リソース不足をいかに補うかが戦略の要になることが想定されます。また、脅威は自社の強みを打ち消す可能があるため、早期に対策を講じる必要があることがわかります。

アパレル業の例

<内部環境>
●強み
・20代から60代までブランドの認知度が高い
・商品開発・生産・販売・在庫管理まで一貫して自社で行い、高品質かつリーズナブルを実現

●弱み
・天候の影響を受けやすい
・デザイン性の高い商品が不得手

<外部環境>
●機会
・海外市場の需要が増加

●脅威
・海外のファストファッションブランドが台頭
・海外工場の人件費が高騰

この例はユニクロを参考にしたものです。手頃な価格で安定した品質の洋服を購入できることから幅広い世代に親しまれているユニクロですが、デザイン性を打ち出した海外のファストファッションブランドの国内進出は脅威といえます。自社の弱みを克服する戦略を打ち出す、または機会を活かして売上拡大を狙うという方向性が考えられるでしょう。

飲食業の例

<内部環境>
●強み
・季節ごとに厳選した食材を提供
・接客への満足度が高い
・女性向けヘルシーメニューが好評

●弱み
・テイクアウトに対応していない
・新規のお客様が増えない

<外部環境>
●機会
・テイクアウトの需要が増加
・健康志向の高まり

●脅威
・仕入れ価格が高騰
・低価格のチェーン店が近隣にオープン

この例からは、強み×機会としてヘルシーメニューが一つのポイントとなっていることがわかります。また、弱み×機会であるテイクアウトへの対応を検討するという考え方もあるでしょう。

このように、クロスSWOT分析を用いることで、自社にとってのビジネスチャンスを明確にすることができます。

SWOT分析を活用して自社の可能性を広げよう

SWOT分析は、自社の強み・弱みである内部環境要因だけでなく、外部環境の変化による機会・脅威の観点も加えた戦略策定につなげられる点が特徴です。多角的に分析することで、脅威を機会に変えることもできます。自社の可能性を広げられるよう、うまく活用してみてください。

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