CX改善に向けて組織的に取り組むポイントとは|CXリーダーの役割とVOCの活用

CX(顧客体験)向上が経営戦略において重要な位置を占める中で、なかなか進まないという課題感を持つ企業が少なくないのが現状です。本記事では、CX戦略を実現するための組織の在り方を整理するとともに、CXリーダーが果たすべき役割とVOCの活用方法について解説します。

CX(顧客体験)向上に組織的な取り組みが求められる理由とは

CX(顧客体験)向上に組織的な取り組みが求められる理由とは

顧客とのタッチポイントが多様化している今、CX(顧客体験)やCS(顧客満足度)の改善におけるマーケティング活動も複雑化しています。まずは、CX戦略が時代によってどのように変化してきたのか、また、CX戦略を実現するための組織の在り方について見ていきます。

そもそもCXとは何か

CX(Customer Experience)とは、商品・サービスの購入前から購入後に至るまでの一連のプロセスの中で顧客が体験する価値のことをいいます。

商品・サービス自体の機能性や価格だけでは差別化が図れなくなっているコモディティ化が進む中で、CXの向上は顧客への提供価値を高め、顧客満足度や顧客ロイヤリティを高める上で欠かせない取り組みとなっています。

一方で、顧客の購買行動はスマホやSNSの浸透などの影響を受けて多様化が進み、マーケティング活動で成果を高めるには一様な取り組みだけでは立ち行かなくなっているのが現状です。こうした背景のもと、よりパーソナライズ化された顧客体験の提供がビジネスの成否を分ける時代に突入しているのです。

CX戦略の変遷

CXの考え方自体は目新しいものでなく、これまでも様々な形で取り組まれてきました。CX戦略が時代に応じてどのような変遷をたどってきたのか、「グッドマンの法則」で知られるジョン・グッドマン氏による解説をもとに整理しました。

●CX1.0(1970年代~)
顧客の声に耳を傾けることが、顧客満足度の向上における第一歩であるとする考え方が広まりました。これにより部分的な品質改善ではなく、部門を横断したTQM(TOTAL QUALITY MANAGEMENT:総合的品質管理)が重視されるようになります。

●CX2.0(1990年代~)
インターネットが普及し、テクノロジーの活用が進んだ時代です。より効率的に顧客管理をしていく上でCRM(Customer Relationship Management)が普及し、顧客対応をカスタマーサポート部門に集約してマネジメントするためのツールも多く提供されるようになりました。

●CX3.0®(2010年代~)
CX3.0®は、ジョン・グッドマン氏によって提唱された考え方です。カスタマーサポートによる受け身のサービス提供から一歩進み、能動的な働きかけによって顧客満足度や顧客ロイヤリティを高めていくアプローチが重視されるようになりました。

また、より良い顧客体験の提供が企業の安定的な収益に大きく影響するものとして、より戦略的な位置づけとして捉えられています。

※CX3.0®は、CCMC/株式会社ラーニングイットの登録商標です。

CX戦略を実現するための組織とは 

CX戦略の変遷からもわかるように、顧客体験の向上を実現するには部分最適の考え方ではなく、部門を横断した全体最適へと発展させることが成功の鍵を握ります。そのため、CXを推進する上では、部門を超えた目標の共有とプロセス管理が重要となります。

しかし、多くの企業では部門ごとの最適化や品質向上に重点を置いて組織を運営してきたのが実際でしょう。CX向上に取り組むには、まず、こうした分断された組織構造における課題を解消することが必要であり、部門を横断してシームレスに連携できる仕組みが求められているといえます。

CXリーダーの役割とは

CXリーダーの役割とは

組織全体としてCX戦略を推進するには、各部署を横断して旗振り役となるCXリーダーの存在が必要です。CXリーダーにはどのような役割が求められるのか、以下に整理しました。

経営戦略と結び付けたCX戦略の設計

CX戦略は、組織全体として一貫性のある価値を提供していくことで実現できるものです。たとえば、手厚いサービスを特徴としている企業と、価格的なメリットを打ち出している企業では顧客体験に期待されるものが異なるでしょう。つまり、CX戦略は経営戦略との整合性が取れていることが前提となるわけです。

CXリーダーはこの点を踏まえ、自社の経営戦略と結び付けたCX戦略を設計し、実行可能な状態を作ることが求められます。

”顧客中心”の文化を組織全体に根付かせる

顧客体験の向上は、特定の部署が取り組むだけでは十分な成果を得られません。組織全体に、顧客を起点として自律的に動いていく文化を根付かせることもCXリーダーの役割です。

意識変革を実現する上では、自社にとって“顧客中心”とはどういう状態を指すのかを明示して理解を促す必要があります。また、これを組織文化として定着させるには、適切なKPIの設定や評価制度を取り入れるなどの仕組み化も重要です。

部署を横断したプロセスの改善

顧客体験の向上は部署単位で考えるのではなく、顧客とのタッチポイント全てをシームレスに見て、プロセスを改善していく必要があります。これを実現するにはCXリーダーが全体を俯瞰しながら推進するとともに、部署間で情報連携できる状態を作るなどの工夫が不可欠といえます。

CX戦略を成功に導くためのVOC活用方法

CX戦略を成功に導くためのVOC活用方法

多様化する顧客ニーズに対応しながらCX戦略を成功に導くには、VOC(Voice of customer:顧客の声)を活用した顧客理解が必須といえます。ここでは、顧客体験の向上においてVOCをどのように活用すべきなのかを見ていきます。

VOCの収集・分析によるCXの現状把握

自社のCXの現状を把握する上で、まず必要となるのがVOCの収集です。VOCの集め方には、次のような方法があります。

●アンケート調査
●インタビュー調査
●SNS
●口コミサイトのレビュー
●コールセンターへの問い合わせ
●営業現場の声

VOCの収集に際しては、「情報としての質を担保できるか」「分析に必要な量を集められるか」の2点に留意することも大切なポイントです。

VOC分析は、顧客の声をどのように自社の商品・サービスに活かし、顧客体験の向上につなげていくかを念頭に置いて進める必要があります。

よく使われる手法には、顧客満足度に大きく影響している要素を明らかにするCSポートフォリオ分析があります。また、カスタマーのコメントから感情を分析するセンチメント分析や、定性情報を定量的に分析するアフターコーディングなども多く用いられています。

顧客の声を起点としたカスタマージャーニーマップの作成

カスタマージャーニーとは、商品・サービスの認知から購入・利用までの一連のプロセスのことです。顧客の購買行動を時系列で整理し、各タッチポイントにおける顧客の行動や思考・感情などを可視化したものをカスタマージャーニーマップといいます。

ライフスタイルや価値観、情報接触のチャネルが多様化している今、カスタマージャーニーマップは顧客理解に欠かせない手法となっています。また、一人ひとりに最適な価値を提供するパーソナライズ化を実現する上でも、解像度の高いカスタマージャーニーマップの作成が必要です。

VOCを活用することで、顧客の声を起点としたリアリティのあるマップの作成が可能になります。

VOCをもとにPDCAを改善

CX戦略の成果を高めるには、振り返りと改善を繰り返すPDCAが欠かせません。顧客の声を収集・分析し、改善していくための仕組みを構築して取り組むのが望ましい形です。

スピーディに施策に反映していく上では、次のようなツールの導入を検討するのも一案です。

・アンケート作成・分析ツール
・テキストマイニングツール
・ソーシャルリスニングツール

CX戦略の推進にVOCを有効活用

顧客体験の向上は一朝一夕とはいかず、長期的な視点で考える必要があります。そのため、組織全体としてその重要性を理解し、腰を据えて取り組むことが成功の鍵を握ります。

海外に比べ、日本ではまだまだCXリーダーが存在する企業は少ないといわれていますが、今後はその重要性が増すと考えられます。CX戦略の推進におけるVOCの有効活用を実現する上でも、早期に検討してみてはいかがでしょうか。

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