【SaaS】サブスクリプションビジネスの顧客満足度調査(CS調査)の指標・方法

オンラインでソフトウェアを提供するSaaS(Software as a Service)型のサービスはすでにさまざまな分野に広がっており、多くのサービスで定額課金制のサブスクリプションモデルが採用されています。ユーザーに継続的な価値を提供し続けるためには常に顧客のニーズを把握し、プロダクトを成長させ、解約率を抑える必要があります。本記事では、SaaSビジネスで重要となる顧客満足度調査(CS調査)の指標と調査方法について説明します。

【SaaS】サブスクリプションモデルにおける顧客満足度の重要性

【SaaS】サブスクリプションモデルにおける顧客満足度の重要性

どのような商品・サービスであっても、顧客満足度が重要な指標になることは一般に認識されています。サブスクリプションモデルのSaaSでは、顧客満足度はことのほか重要な指標となります。なぜなら、SaaSビジネスでは従量課金や買い切りのモデルとは異なり、アカウント数だけではなく継続利用やアップセル・クロスセルによるLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化が常に求められるためです。そして、これらを実現するには顧客満足度を高めることが必須となるのです。

顧客満足度には商品・サービスの機能面だけでなく、購入前から購入後のアフターフォローを含めた、あらゆる要素が影響します。そのため、常に顧客の評価を的確に把握し、継続的・安定的にサービスを提供することが重要になります。

顧客満足度と解約率の関係

サブスクリプションモデルでは、ユーザーの利用継続期間によって売上は大きく変動します。そのため解約率(チャーンレート)を抑えることが事業継続の重要なポイントとなります。

HiCustomer株式会社が行ったアンケート調査「カスタマーサクセス白書2021」によると、顧客中心文化を形成できているSaaS企業は月次解約率が低いことがわかっています。この結果からもわかる通り、常に顧客の状況を把握し、満足度を高めるための施策を展開することがSaaSビジネスを成長に導くといえます。

参照:HiCustomerが「カスタマーサクセス白書2021」を公開。SaaS企業の多くがカスタマーサクセス活動に年間支出の11-20%を投資していることが明らかに

顧客満足度の向上に欠かせないアンケート調査の役割とは

顧客満足度の向上に欠かせないアンケート調査の役割とは

SaaSビジネスにおけるアンケート調査の役割は、大きく次の3つです。

顧客の評価を知る

商品・サービスに対してどの程度満足しているのか、顧客の評価を正しく把握します。総合的な満足度だけでなく、どの点に満足しているのか要素を分解して調査することで、より的確に自社の状況を知ることができます。不満に感じる点も調査項目に入れれば、自社の強み・弱みや競合との違いを知ることが可能です。

顧客のニーズを知る

アンケート調査を活用して、顧客のニーズを探ります。たとえば、満足・不満を感じる理由から顧客が望んでいるもの、また、その度合いが明確になれば、マーケティング活動に役立てることができます。

顧客の声をSaaSビジネスの改善・向上に活かす

アンケート調査により顧客の声を収集することで、プロダクトの課題を明確にできます。たとえば、機能やユーザビリティにおける顧客の不満、あるいは期待していることがわかれば、スピーディかつ的確にプロダクトの改善・向上や新機能の開発に役立てることが可能です。顧客接点におけるアクションの課題を見つけ、改善に活かすこともできます。

これらで集めた定性・定量データをログイン頻度などの利用データや継続率と掛け合わせて分析することでサービスの体験水準を高めることが可能となります。

サブスクリプションモデルで重視すべき顧客満足度の指標

サブスクリプションモデルで重視すべき顧客満足度の指標

顧客満足度を測定する方法はいくつかありますが、とくにサブスクリプションモデルで重視すべき指標として採用されている指標にNPS®︎があります。
NPS®️による調査に加えてその他のKPI(重要業績評価指標)を組み合わせ分析していくことが一般的です。

NPS®

NPS®(ネットプロモータースコア)は、顧客ロイヤリティを数値化する調査方法です。商品・サービスに対する、顧客の愛着や信頼を定量的に見ることができます。

具体的には、「あなたはこの商品・サービスを友人・知人に勧める可能性はどれくらいありますか?」という質問を投げ、0~10点で評価してもらいます。0~6点は批判者、7~8点は中立者、9~10点を推奨者として分類し、「推奨者の割合-批判者の割合」がスコアとなります。

NPS®の調査結果は収益との相関が高く、また調査方法が簡便なこともあり、多くの企業で用いられています。

NPS®について詳しく知りたい場合は、こちらの記事も参考にしてください。

NPS®(ネットプロモータースコア)とは?|顧客満足度との違いやメリット・導入事例まで紹介

※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そして NPS 関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

KPI(重要業績評価指標)の例

KPI(Key Performance Indicator)は、目標を達成するために重要となるプロセス指標のことです。企業によって様々なKPIが設定されますが、顧客満足度の観点では主に以下の指標が重要になります。

・解約率
・利用期間
・顧客単価
・アップセル・クロスセル率
・LTV

いずれも、顧客満足度が高いほど良好な数値となります。

サブスクリプションモデルにおける顧客満足度調査(CS調査)の方法

サブスクリプションモデルにおける顧客満足度調査(CS調査)の方法

SaaSビジネスにおいて顧客満足度調査を行う場合の具体的な方法について見ていきます。

調査方法

調査方法は大きく以下の2つです。

アンケート調査

アンケート調査は、顧客満足度を調べる際に多く用いられている方法です。Webアンケートツールを使えば自社で簡単に作成でき、URLを記載したメールをユーザーに配信するだけで調査できます。定期的に顧客満足度調査を行いたい場合にも、無理なく実施できます。

インタビュー調査

ユーザーに直接インタビューするという方法で、1対1またはユーザー会といったグループ形式でも行われています。顧客のニーズをより深く収集したい場合に有効で、アンケート調査だけでは得られないような詳細な情報を聞き出すことができます。
利用の定着化を促進するためのカスタマーサクセス活動と並行して行われるケースもあります。ただし、時間や手間がかかるため、目的を明確にして実施することが重要です。

調査頻度

顧客満足度調査の頻度は、目的によって次の2パターンに分かれます。

定期的にモニタリング

定期的にモニタリングすることで、施策が顧客満足度の向上につながっているか効果測定できます。また、課題が見つかった場合に、速やかに対応できるというメリットもあります。

調査頻度は3カ月に1回、半年に1回など企業によってさまざまですが、定期的に同じ質問を投げることで結果の推移を定点観測できます。また、問い合わせ対応をした後など、特定のアクションをしたときに顧客の評価を聞くという方法もあります。

テーマを決めた単発調査

顧客満足度における課題が浮上した場合などに、仮説を検証するための単発調査を行うという方法です。

たとえば「短期間で解約した人」「オプション機能を使っている人」など、対象を絞り込んでアンケートを実施すれば、顧客満足度に影響を与えている要素を分析することができます。問題の特定が難しい場合の仮説検証に役立ちます。

顧客満足度調査のアンケート項目例

顧客満足度調査を行う際に必要な質問項目の例を以下に挙げます。

・ 回答者の基本情報(性別・年齢・居住地・職業などの属性)
・ 商品・サービスを知ったきっかけ・経路
・ 利用頻度・期間
・ 利用を開始した理由
・ 満足度(品質・使いやすさ・価格・サポートなど)
・ 推奨度(NPS®)
・ 満足・不満の理由
・ 他社との比較(品質・使いやすさ・価格・サポートなど)
・ 商品・サービスに対する意見・要望

質問数が多くなるほど途中で離脱されてしまうため、本当に必要な質問かどうかを精査して、できるだけ回答者の負担にならないように設計することが大切です。

顧客理解を深めてSaaSビジネスを成功に導く

SaaSビジネスを成長させるには、顧客本位の姿勢でプロダクトの設計やマーケティングを行いサービスを改善し続けることが重要になります。自社の思い込みではなく、しっかりとした裏付けのある活動を展開するうえでは、顧客の情報を定期的に得ることが必要です。

Webアンケートツールを利用すれば、顧客満足度調査は難しいものではありません。顧客理解を深めるためにも、積極的に活用してみてはいかがでしょうか。

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