BtoBマーケティングとは|目的・重要性とプロセス別の効果的な手法
ニーズの多様化や購買プロセスの変化に伴い、BtoB領域におけるマーケティングの重要性が高まっています。本記事では、BtoBマーケティングが必要とされる背景・目的やプロセス別の代表的な手法、効果を高めるポイントについて解説します。
BtoBマーケティングとは
BtoBは「Business to Business」の略語で、企業が法人顧客に対して製品・サービスを提供する取引形態(企業間取引)を意味します。
BtoBビジネスにおいてマーケティングはどのような役割をもつのか、まずは位置づけや目的について見ていきましょう。
BtoBマーケティングの目的・必要とされる背景
BtoBマーケティングは、法人顧客に自社製品・サービスを購入してもらうための仕組みづくりです。
これまで、BtoBビジネスでは飛び込み営業やテレアポといった従来型の営業活動が重視される傾向があり、体系的にマーケティング活動に取り組む企業は多くありませんでした。
しかし近年は、プッシュ型の営業活動だけで顧客を囲い込むことが難しい市場環境です。デジタル技術の進歩に伴って、BtoBにおける購買プロセスも多様化しています。
そのような市場環境下で重要性が高まっているのがBtoBマーケティングです。法人顧客向けのマーケティングの主な目的は、リード(見込み顧客)を獲得してナーチャリング(育成)し、案件化・商談化に結びつけることです。
一連のプロセスを効率的に運用して成果を最大化するために、多様なマーケティング施策に取り組む企業が増えています。
BtoCマーケティングとの違い
BtoBマーケティングは、一般消費者(Consumer)を対象としたBtoCマーケティングとはアプローチ方法が異なります。法人と個人では購買単価や検討期間などに違いがあるからです。
主な違いを以下にまとめました。
BtoB | BtoC | |
購入単価 | 高額(数十万~数億円) | 少額(数百円~数万円) |
購買決定者 | 複数人で組織的に決定 | 主にユーザー本人が決定 |
検討期間 | 長い | 比較的短い |
判断基準 | 機能・経済合理性を重視 | 好みやブランドも重視 |
一般消費者向けの商材はBtoB商材と比べると少額で、購買者=利用者であるケースが多い傾向があります。そのため検討期間も比較的短く、本人の好みに合えば衝動買いをすることも。
一方、BtoB商材は組織単位で使用する高額なものが多く、購買決定には複数人が関わるため、承認プロセスや検討期間は多層化・長期化する傾向があります。
BtoBマーケティングでは、こうした法人顧客のターゲット特性をふまえた施策を講じることが大切です。
【プロセス別】BtoBマーケティングの代表的な手法
では、BtoBマーケティングはどのように取り組めばよいのでしょうか。プロセス別に代表的な手法をご紹介します。
リードジェネレーション
見込み顧客を獲得するプロセスはリードジェネレーションと呼ばれ、主に以下の手法があります。
【展示会】
特定のテーマで開催される展示会に自社ブースを設置し、商品を展示して資料配布や説明会などを行います。検討段階の見込み顧客と直接話すことができ、短期間で多くのリード情報を集めることが可能です。
【セミナー・ウェビナー】
セミナーやウェビナーを開催し、製品紹介やビジネスに役立つノウハウの提供などを行います。参加者の課題解決につながる情報を提供することで、自社製品に対する理解度・関心度の向上や信頼獲得が期待できます。
【コンテンツマーケティング】
Webサイトやブログなどで見込み顧客に有益な情報コンテンツを提供し、自社に対する認知度や関心度を高める手法。能動的に情報収集をする意識の高いリードを獲得しやすいです。多くの場合、キーワード検索で上位表示させる対策(SEO:Search Engine Optimization)を併用します。
【Web広告】
Webサイトなどインターネット上のメディアに広告を表示させる手法です。代表的な手法には以下のものがあります。
●リスティング広告:GoogleやYahoo!などの検索結果ページに表示される検索連動型の広告
●ディスプレイ広告:Webサイトの広告掲載枠に画像や動画広告を表示させる
●SNS広告:FacebookやTwitter、InstagramなどのSNSメディアに表示させる
Web広告ではターゲットの属性に合わせた配信が可能で、比較的低コストで始めることが可能です。
【ホワイトペーパー】
ホワイトペーパーとは、見込み顧客の関心を引きそうな情報をまとめた資料です。業界の動向分析や導入事例など、見込み顧客の課題解決に役立つ情報を提供することで、自社製品への関心を高めます。
PDF形式で自社サイトに掲載し、会社名・メールアドレスなど顧客情報を登録した人に配布するケースが多いです。
【オフライン広告】
オフライン広告には以下のような手法があります。
●テレビCM
●新聞広告
●雑誌広告
●ラジオ広告
●屋外広告(看板、デジタルサイネージなど)
Web広告ではリーチできない幅広い層にアプローチでき、自社の認知度向上やブランドイメージ向上に有効です。
リードナーチャリング
リードナーチャリング(リード育成)は、獲得したリードと継続的に接点をもちながら関心・購買意欲を高めていくプロセスです。主に3つの手法があります。
【メールマーケティング】
資料請求やユーザー登録などのアクションを起こしたリードに対し、メールでアプローチする手法です。主に以下のような手法があり、ユーザーの行動変容を促します。
●メールマガジン(メルマガ):新製品情報やキャンペーン情報を一斉配信する
●ステップメール:ユーザーの検討度合いに応じて複数のメールを段階的に配信する
●ターゲティングメール:属性別に対象者を絞って配信する
メールでセミナーへ誘導する、アンケートを実施するといった使い方も可能です。
【セミナー・ウェビナー】
セミナーやウェビナーは検討段階に応じた情報提供がしやすく、リード育成にも有効です。活用ノウハウや導入事例など見込み顧客の課題・ニーズに合った情報で購買意欲を高めます。
【リターゲティング広告】
リターゲティング広告はWeb広告の一種で、自社サイトを訪れたことがあるユーザーに広告を表示させる手法です。閲覧経験のあるユーザーに自社製品を想起させ、再訪を促します。
営業との連携・商談化
検討段階が高まったリードに対し、営業部門と連携しながら商談化に向けたアプローチを展開します。
【インサイドセールス】
インサイドセールスは、電話やメール、オンライン会議などでアプローチする内勤型の営業手法です。マーケティングで獲得したリードの課題・ニーズなどを直接ヒアリングして検討状況を見極め、フィールドセールスへと引き継ぎます。
【失注顧客のフォローアップ】
商談化したものの受注に至らなかった顧客や、アプローチが中断している顧客と接点をもち、メールや電話でフォローすることで再検討を促します。SFAやCRMなどの顧客管理ツールを活用すればタイムリーにフォローしやすいです。
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BtoBマーケティングはツール活用が成功のカギ
BtoBマーケティングの効率性や成果を高めるには、ITツールの導入が欠かせません。ここでは、特に有用なツールをご紹介します。
プロセスを可視化・自動化するMAツール
MAツールには以下のような機能があり、煩雑になりがちなマーケティングのプロセスを可視化・自動化することができます。
●リード情報の収集・蓄積
●メール配信
●リードのスコアリング
●効果測定(メルマガ開封率やCV率など)
顧客情報を一元管理するSFA/CRM
SFAやCRMでは、様々なチャネルで取得した顧客情報や案件ごとの進捗状況を一元管理できます。リードごとの活動履歴も関係者で共有でき、インサイドセールスとフィールドセールスとのスムーズな連携を助けます。
また、MAツールと連携させることで、リード獲得から商談化までシームレスなプロセス管理が可能になります。
多彩なタッチポイントに活用できるWebアンケートツール
Webアンケートツールは、以下のような様々な施策・タッチポイントにおける情報収集に便利です。
●セミナー・ウェビナー後のアンケート
●ナーチャリングメールで課題・ニーズをヒアリング
●アポイント前のヒアリング
●商談後のアンケート
●失注理由のヒアリング
Webアンケートでは電話やメールのやりとりでは取得しにくい情報も把握しやすいため、効果的なアプローチにつなげることができます。
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顧客理解を深めながら段階的なアプローチを
BtoCと比べて検討期間が長いBtoBビジネスでは、リードの課題や検討状況を見極めながら段階的にアプローチを深化させていくことが肝要です。BtoBマーケティングにはオンライン・オフライン含めて多彩な手法があり、フェーズに応じた施策を展開すれば自社製品に対する関心度・購買意欲の向上が期待できます。
戦略的なマーケティング活動でリードを獲得・育成し、商談化や受注の確度アップに結びつけましょう。