スクリーニング調査とは|実施目的とメリット、質問例を解説
こんにちは、クリエイティブサーベイ法人チームです。スクリーニング調査とは、条件に合致する調査対象者を抽出するために実施する事前調査のことです。本調査で精度の高いデータを得る上で必須となります。本記事では、スクリーニング調査の目的やメリット、質問例、実施時のポイントを解説します。スクリーニング調査とは
スクリーニング調査とは、本調査を実施する前に調査の対象条件に当てはまる人を絞り込むために行う調査のことです。事前調査やプレ調査と呼ばれることもあります。
まずはスクリーニング調査の目的とメリットを見ていきましょう。
スクリーニング調査の目的
スクリーニング調査の目的は、本調査の実施目的に即した調査対象者を選別することです。性別・年代・居住地・職業・家族構成などの属性のほか、ライフスタイル・趣味嗜好・商品の利用経験など特定の条件に合致する人にのみ調査を実施したい場合は、スクリーニング調査が必須となります。
たとえば、以下のような条件で調査を実施したいときは、本調査に先駆けてスクリーニング調査を行います。
・30~50代 女性 管理職の経験がある人
・20~60代 男女 ○○を利用している人
・30~40代 男性 年収○○円以上の人
このように、あらかじめ調査対象者をふるいにかけることで、本調査において必要な情報を効率的に集められるようになります。
スクリーニング調査を実施するメリット
スクリーニング調査を実施するメリットは、以下のように整理できます。
●本調査のデータの精度が向上
スクリーニング調査を実施することで対象条件に合った人にのみ本調査を実施できるようになるため、「調査を実施したものの有用性のあるデータを集められなかった」といった失敗を避けることができます。本調査のデータの精度が向上するというメリットがあります。
●調査コストの適正化
スクリーニング調査で対象者を絞り込むことで、対象者以外のアンケートモニターにも支払っていた謝礼を削減することができます。通常、謝礼はアンケートの設問数など、回答にかかる労力に応じて設定します。スクリーニング調査を実施すると、非対象者はスクリーニング調査のみで終了して本調査には進めないため、調査コストの適正化につながります。
また、実査から集計・分析までの工程を効率的に進めやすくなるため、全体を通してリソースの最適化を図りやすくなるというメリットも期待できます。
スクリーニング調査を行うときのポイント
スクリーニング調査を実施するときは、以下の点に留意しましょう。
本調査の対象条件を悟られないようにする
スクリーニング調査では、本調査でどのような人を対象としているのかを悟られないようにすることが大切です。これは、本調査の対象条件が容易に推測できると、謝礼を目的に実際とは異なる回答をするケースが出てしまう可能性があるためです。このような状態になると、調査結果にバイアスがかかってしまい正しいデータを収集できなくなります。
たとえば「通勤に自転車を利用していますか」という設問では、通勤に自転車を利用している人が対象と容易に推測できてしまいます。この場合は「通勤の交通手段を以下の中から選んでください」といった設問にすることで、バイアスを避けつつ条件に合致する人を絞り込めるようになります。
対象者を抽出する目的以外の質問はしない
設問数が多くなると、謝礼に見合わないなどの理由から途中離脱や不正確な回答につながってしまうため注意が必要です。スクリーニング調査は、あくまでも対象条件に合致する人を絞り込むためのものです。必要な設問を精査し、回答者の負荷が高まらないようにしましょう。
また、「○○と回答した理由を教えてください」などの自由記述は、回答者の負荷が大きくなりがちです。理由を問う必要がある場合は、選択式にすることで回答者の負荷を軽減でき、かつ集計も容易になります。
本調査に必要なサンプル数を確保できるようにする
スクリーニング調査を行うときは、本調査の目標サンプル数を集められるように設計することが重要です。ここでポイントとなるのが回答率と出現率です。
回答率とは、調査を実施して回答を得られた割合のことです。たとえば、1000人に調査を行い800人から回答を得られた場合は、回答率80%となります。
出現率とは、スクリーニング調査を実施した母数に対して、条件に合致する人が現れる割合のことです。たとえば1000人にスクリーニング調査を行い、600人が条件に合致する場合、出現率は60%となります。
出現率は対象条件を細かく設定した場合やニッチな領域に絞り込むほど低くなる傾向があります。あらかじめ出現率を想定した上で、目標サンプル数を集められるようにスクリーニング調査を行う必要があります。
スクリーニング調査から本調査の対象者数を算出する方法を見てみましょう。
●スクリーニング調査の試算 例)スクリーニング調査の母数3000人 <回答率80%、出現率30%の場合> 本調査の対象者数 =スクリーニング調査の母数3000人×回答率80%×出現率30% =720人 |
上記例では、スクリーニング調査の母数が3000人の場合、本調査に進む対象者は720人となります。
続いて、本調査の目標サンプル数を確保するにはスクリーニング調査でどれくらいのサンプルを回収しなければならないのか、試算方法を見ていきましょう。
●本調査の目標サンプル数を確保するための試算 例)本調査の目標サンプル数500 <スクリーニング調査の出現率30% 本調査の回答率70%の場合> スクリーニング調査で回収するサンプル数 =本調査の目標サンプル数500÷本調査回答率70%÷スクリーニング調査の出現率30% =2380 |
上記例では、本調査の目標サンプル数500を集めるためには、スクリーニング調査で約2500のサンプルを回収する必要があるという試算になります。
スクリーニング調査の設問例
スクリーニング調査の失敗を避けるには、設問の設計が重要となります。ポイントは、本調査の対象条件を明確にすること、本調査の対象者を的確に抽出できる設問にすることの2つです。
設問例を見ていきましょう。
●本調査の目的:競合A社の入浴剤を利用している人の実態を明らかにする ●スクリーニング調査の対象者:競合A社の入浴剤を週1回以上利用している人(男女・20~60代) <設問例> Q. あなたの性別を以下から選んでください。 Q. あなたの年齢を以下から選んでください。 Q. あなたは入浴するときに、入浴剤を使いますか。 -使う -使わない Q. (入浴剤を使うと回答した人に向けて)あなたはどれくらいの頻度で入浴剤を使いますか。 -毎日 -週5~6日 -週3~4日 -週1~2日 -週に1回未満 Q. あなたが使っている入浴剤のメーカーを以下の中から選んでください。 -A社 -B社 -C社 -その他 |
前述の通り、スクリーニング調査では本調査の対象条件を推測できないようにすることが重要です。「あなたはA社の入浴剤を使っていますか」のような直接的な設問は避け、入浴剤の利用有無→利用頻度→利用メーカーの順に聞くことで、スクリーニングの意図を容易に推測できないようにしながら対象者を絞り込むことができます。
スクリーニング調査は精度の高い本調査を行う上で有効な手法
スクリーニング調査は、本調査で必要となる情報を効率的に集める上で有効な手法です。調査コストやリソースを最適化できるというメリットもあります。スクリーニング調査のポイントを押さえて、精度の高い本調査につなげてください。