カスタマーサクセスのKPI|種類と計算方法および設定のポイント

顧客の成功を通じて、自社の利益を創出するカスタマーサクセス。顧客の状態を正しく把握したうえでの対策が重要になるため、KPI設定は成否を左右するポイントになります。ここでは、カスタマーサクセスにおけるKPIの種類と計算方法、設定時のポイントを説明します。

カスタマーサクセスにおけるKPIの考え方

カスタマーサクセスにおけるKPIの考え方

カスタマーサクセスは、顧客にメリットや価値を提供し続けることで継続的に良好な関係を築き、自社の利益を生み出そうとする考え方です。したがって、カスタマーサクセスで重視すべきは、LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の最大化となります。

つまり、カスタマーサクセスにおけるKPIは、LTVとの相関が高いプロセスに重点を置く必要があります。KPIの達成によりLTVが向上し、結果として自社の業績アップを実現するというサイクルを作ることがKPI設定の目指すところです。

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カスタマーサクセスで重視すべきKPIの種類

カスタマーサクセスで重視すべきKPIの種類

カスタマーサクセスのKPIは、「顧客に対して継続的にメリット・価値を提供できているか」を計測できる数値を用います。代表的なKPIの種類は以下の通りです。

LTV

LTVとは、顧客がサービスの利用開始から解約までに使う総額(売上)を算出する指標です。継続期間、単価、購入頻度などがLTVに影響します。とくにサブスクリプション事業は継続的な利用によって利益が生まれるモデルとなっているため、解約率(チャーンレート)を下げ、長期間利用してもらうことが極めて重要になります。

オンボーディング完了率

オンボーディングとは、新規顧客にサービスのメリット・価値を理解してもらい、いち早く慣れ親しんでもらうことをいいます。オンボーディング完了とは、サービスの利用方法を知ってもらったり、活用に慣れてもらったりするなど、継続利用が見込めるアクションが取られている状態を指します。

オンボーディングに手間取ると、せっかく契約してもらってもサービスを利用するメリットを感じてもらえず、解約されるリスクが高まります。そのため、短期間でオンボーディング完了となるよう、早期に有効な施策を講じることが重要です。どの状態をオンボーディング完了とするかはサービス内容によって変わるため、自社で定義する必要があります。

アップセル率

アップセルは、顧客単価にかかわる指標です。段階的なプラン設定をしている場合などに、より高額なサービスへと移行してもらうことで単価アップを実現します。アップセルができる顧客は、サービスの利用度や信頼度が高い傾向にあります。したがって、顧客の状態に合わせて施策を検討することが重要です。

期間限定のキャンペーンなどでアップセルを狙うケースもありますが、結果として満足度が下がらないように留意する必要があります。

クロスセル率

クロスセルは、アップセルと同様に顧客単価に貢献します。サービスを利用中の顧客に、関連するサービスを追加で利用・購入してもらう方法です。追加したサービスへの満足度が高い場合、主となるサービスへの評価も高まるため継続的な利用に大きく役立ちます。クロスセルを成功させるには、顧客のニーズを的確に把握し、最適な提案を行う必要があります。

解約率(チャーンレート)

解約率(チャーンレート)とは、解約した顧客の割合を示す数値です。サブスクリプションモデルでは解約率が高まるほど利益が下がるため、とくに重視される指標です。

顧客数を維持・増加するには、新規顧客の獲得と既存顧客の維持が必要です。しかし、通常、新規顧客獲得にかかるコストは既存顧客の維持よりも負担が大きくなります。安定的な収益性を担保するには、既存顧客の解約を防ぐための施策が重要になります。

NPS®(ネット・プロモーター・スコア)

NPS®とは、顧客が企業や商品・サービスにどれくらいの愛着や信頼を持っているかという顧客ロイヤルティを数値化したものです。類似する指標に顧客満足度がありますが、顧客満足度では商品・サービスに対する満足度を調べるのに対し、NPS®は「商品・サービスを他者に紹介するか」をスコアリングします。

満足度が高くても、他社のサービスに乗り換えてしまうケースは少なくありません。しかし、NPS®の数値が高い顧客は、いわば企業や商品・サービスのファンで、長期的な利用が多いとされています。そのため、NPS®の結果と業績には高い相関性が見られ、カスタマーサクセスにおける指標として活用されています。

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※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そして NPS 関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

KPIの計算方法

KPIの計算方法

ここでは、KPIの計算方法について見ていきます。

LTV

LTVの算出方法には、いくつかの考え方があります。自社の事業形態に即した方法を採用しましょう。

●LTV=顧客の平均単価×平均購買頻度×平均継続期間
●LTV=顧客の年間取引額×収益率×顧客の継続年数
●(売上高-売上原価)÷購入者数
●LTV=顧客の平均単価×平均購入頻度×粗利率÷解約率

オンボーディング完了率

まず、オンボーディング完了の状態を定義します。数値を計測できるアクションを設定することがポイントです。以下にKPIと計算方法の例を挙げます。

・1カ月以内に初期設定完了
・1カ月以内に〇回のログイン
・2カ月以内に〇〇の機能を活用

●オンボード完了率=期間内に完了した顧客÷期間内の全顧客

アップセル率・クロスセル率

アップセル率とクロスセル率は、全顧客に占める割合を見るのが一般的です。売上で見る場合は、顧客単価を算出します。

●アップセル率=アップセルした顧客数÷全顧客
●クロスセル率=クロスセルした顧客数÷全顧客

解約率(チャーンレート)

解約率(チャーンレート)には、大きく「カスタマーチャーンレート」と「レベニューチャーンレート」の2種類の計算方法があります。

カスタマーチャーンレートは、一定期間に解約した顧客数の割合を見る指標です。レベニューチャーンレートは、解約による損失を見ます。たとえば、カスタマーチャーンレートにさほど懸念点がなくても、高単価の顧客が多く解約している場合、レベニューチャーンレートが悪化します。そのため、両方の指標を見ていく必要があります。

●カスタマーチャーンレート=失った顧客数(月末時点)÷顧客数(月初時点)
●レベニューチャーンレート=(当月失った収益:サービス単価×当月の解約数)÷当月の収益

NPS®(ネット・プロモーター・スコア)

NPS®では、商品・サービスを友人や知人に勧める可能性を質問し、0~10点で評価してもらいます。0~6点=批判者、7~8点=中立者、9~10点=推奨者に分類し、スコアを算出します。推奨者の割合が多く批判者の割合が低いほど高いスコアとなり、顧客ロイヤルティが高いと判断できます。

●NPS®=推奨者の割合-批判者の割合

NPS®(ネット・プロモーター・スコア)

KPI設定のポイント

KPI設定のポイント

KPIを設定する際には、どのような点に留意すべきか見ていきましょう。

自社に合ったKPIを設定する

KPIは、業績への影響が大きいプロセスをモニタリングするための数値です。そのため、同業他社と同じものを取り入れればよいというわけではなく、自社に適した指標を設定することが重要になります。

たとえば、自社の課題が顧客単価にあるのか解約率にあるのかによっても注力すべきプロセスは変わります。どの要素を伸ばせば目標達成につながるのか、しっかり分析したうえで適切なKPIを設定しましょう。

運用できるKPIを設定する

KPIを設定する目的は、どのような行動にどれくらいのパワーを使えば目標を達成できるのかを可視化し、日々のアクションに落とし込みやすくすることです。KPIの計測に時間がかかりタイムラグが発生すると、PDCAのスピードが落ち、機会損失を生んでしまうことになります。

KPIの設定では、容易にモニタリングでき、短いスパンでPDCAを回せるかという運用面を考えることも重要なポイントです。

KPIが適切か定期的に検証する

KPIは達成しているのに、業績目標を達成していないというケースが見られます。これは、適切なKPIが設定されていないためです。そもそもKPIは、目標達成との相関が高いプロセスを設定しなければなりません。

ビジネスの状況や課題は常に変化するものです。目標に到達できるKPIとなっているか定期的に検証し、最適な指標を設定する必要があります。

まとめ

カスタマーサクセスでは、顧客の状態に合わせた迅速かつ適切なフォローが求められます。そのため、自社の状況に即したKPIを設定し、PDCAの効率化を図ることが重要になります。市場の変化が激しい現在では、KPIの妥当性を定期的に見直し、調整していくことも必要です。自社に適したKPIを設定して、カスタマーサクセスの業務改善に活かしましょう。

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