知っておくと便利なアンケート分析の手法8つ|分析の質を高めるポイント

商品・サービスの課題発見やマーケティング施策に欠かせないアンケート調査。しかし、集めたデータを適切に分析できなければ、次のアクションに活かすことはできません。本記事では、基本の分析方法と様々な視点からの分析手法、分析の質を高めるポイントを紹介します。

基本のアンケート分析2つ

基本のアンケート分析2つ

まずは基本となる2つの分析方法を見ていきましょう。

単純集計

単純集計とは回答結果を合計して割合を出す集計方法で、GT表(Grand Total)とも呼ばれます。アンケート集計の基本形であり、全体の回答傾向を把握するために用います。

たとえば、「満足」と答えた人が100人中80人、「不満」が20人だった場合、「満足80%」「不満20%」となります。このように、設問ごとの傾向を大まかに掴むことができます。

クロス集計

クロス集計とは、設問を掛け合わせて分析する方法です。単純集計よりも詳細なデータを得ることができます。

たとえば、「満足」と答えた人のうち女性が80%、男性が20%であれば、女性のほうが満足している傾向があると掴むことができます。性別・年齢・居住地などの属性回答と他の設問を組み合わせてターゲットごとの傾向を把握できるほか、「○○と回答した人」は「○○が理由」としている人が多いといったことも導き出せます。

クロス集計は、設問の組み合わせによって様々な角度から一段掘り下げた分析ができるというメリットがあります。

知っておきたいアンケート分析の手法6つ

知っておきたいアンケート分析の手法6つ

アンケートは、調査結果から何が課題なのかを発見し、次のアクションにつなげることが主たる目的です。ここでは、様々な視点から課題発見と改善につなげていく分析手法を6つ紹介します。

クラスター分析

クラスターとは、同種類あるいは類似性があるものの集まりのことをいいます。クラスター分析は、回答者の属性または回答結果からクラスターを分類して分析する手法です。マーケティングでは、次のような場面で用いられます。

●ペルソナ分析
●地域特性の分析
●商品・サービスの構成を分析
●商品・サービスのポジショニングを分析

クラスター分析は、大きく「階層クラスター分析」と「非階層クラスター分析」の2種類に分けられます。

階層クラスター分析

クラスター分析

データの類似度から似たものを集めていき、大きなクラスターへと樹形図にまとめていく手法です。グルーピングの過程が一見してわかるというメリットがある反面、分類の数が多い場合は計算が複雑になってしまう点がデメリットです。

非階層クラスター分析

非階層クラスター分析

(k-means法)

非階層クラスター分析は事前にクラスターの数を決めておき、似た者同士を集めてクラスターとしてグルーピングする方法です。データ数や分類数が大量になる場合でも、効率的に分析できます。

似ている・似ていないの距離を測る方法にはいくつかありますが、クラスターの重心点を定めるk-means法が一般に多く使われています。

主成分分析

主成分分析

主成分分析とは、たくさんの変数がある多次元データを少ない合成変数(主成分)に縮約して、データの特徴や構造をシンプルに把握できるようにする手法のことです。マーケティングでは、次のような分析に活用されます。

●商品・サービスのイメージを分析
●ユーザーの嗜好性を分析
●競合とのポジショニング比較
●新商品・サービスの開発に活用

決定木分析

決定木分析

決定木分析とは、結果に大きな影響を与えている説明変数(物事の原因となっている変数)を明らかにした上で、樹形図に整理する手法のことです。ディシジョンツリーとも呼ばれます。説明変数ごとに分岐させていくため、視覚的に理解しやすいという特長があります。

自社の商品・サービスを購入している人の心理・行動、嗜好性といった特徴を明らかにしたい場合に役立つ手法で、マーケティングでは次のような場面で活用されています。

●商品・サービスのターゲット像を把握したい
●商品・サービスの強みやロイヤリティに影響している要素を知りたい

時系列分析

時系列分析

時系列分析とは、時間の経過による変化を見る手法です。変化が生じているタイミングを明らかにすることで、要因の特定から改善へとつなげたり、将来の予測をしたりといった活用ができます。変化の推移を見るため、基本的には定期的にデータを収集することが必要です。

次のようなシーンで役立ちます。

●顧客満足度や顧客ロイヤリティの変化を測定
●季節要因や環境要因の特定
●過去データの推移をもとに未来予測(売上・販売数など)

アソシエーション分析

アソシエーション分析とは、「このような仮定がある場合、こうなるだろう」という関係性やパターンをデータから見つけ出す手法のことです。ネットショッピングで「この商品を買った人は、これも購入している」と表示されるのも、アソシエーション分析の一つです。

一見すると関連性がないように思えるものでも、想定外のパターンが見えてくることがあります。次のような場面で活用されています。

●顧客の分析
●商品配置の見直し
●アップセル・クロスセルの提案

自由記述の分析

アンケートの自由記述には、数値で回答するものとテキスト回答の2つがあります。数値回答とは年齢や金額などを数値で答えてもらうもの、テキスト回答はコメントを自由に記述してもらうものです。それぞれに分析の目的と方法が異なります。

数値の回答の分析

選択肢で回答してもらうのが難しい場合や、数値自体を知りたいときに用いる回答形式です。たとえば、外食で昼食をとる場合に出せる最大金額を知りたいときなどは、自由記述式で数値を入れてもらいます。

分析する際に注意したいのは、平均値だけを算出すると最小値・最大値の幅が広い場合に分析を誤ってしまう可能性があることです。数値の分析では、平均値に加え、中央値や標準偏差、最小値・最大値を出して正しく全体傾向を掴むことが大切です。

テキストの分析

テキストで回答してもらった場合の分析方法では、アフターコーディングとテキストマイニングが代表的な手法です。

アフターコーディングとは、テキストをキーワードや類似内容ごとに仕分けて分類コードを付ける方法です。たとえば、ポジティブ回答・ネガティブ回答の比率を算出するなど、自由記述のコメントを定量分析できるようになります。

テキストマイニングとは、単語や文節ごとに解析して出現頻度や相関性を見ていく手法です。感情的な傾向を掴んだり、相関するキーワードを抽出したりしてマーケティングに役立てます。専用のツールを用いれば、膨大なテキストに目を通さなくても全体の特徴を簡単に掴むことができます。

アンケート分析の質を高めるポイント

アンケート分析の質を高めるポイント

アンケート分析は、ちょっとしたコツを押さえることで質を高めることができます。とくに覚えておきたいポイントを紹介しましょう。

データの有意性を検証する

データの有意性とは、統計的に信頼できるデータであるかということです。アンケートの数値が信頼できるものであるかどうかを検証する場合は、回答数と回答者の代表性の2つを見ます。

回答数が少なすぎる場合、データの偏りが出やすくなり分析の精度が低いという判断になります。また、回答者の構成に偏りがある場合も、客観的なデータとはいえません。データの有意性を確保するには、必要なデータを集められる調査方法を検討することが必要です。

有効回答の基準を決める

アンケートの集計をする際に、まず有効回答と無効回答を分けておかなければなりません。これを初めに行わないと、分析結果を誤ってしまうので注意しましょう。そのため、事前に有効回答とみなす基準を定めておくことが必要です。

全体傾向から細部へと見ていく

アンケート分析は、まず全体の傾向を掴んでから細部を見ていくのが基本です。細部だけを見ていると、誤った仮説を持ってしまう可能性があるためです。まずは単純集計で全体像を把握し、そこから細かく数値を見ていくという流れで進めれば、論理的な分析結果を導き出すことができます。

データの相関関係を読み解く

アンケート分析のゴールは、データを読み解いて結論を導き出すことです。ここで重要となるのが、数値の相関関係を明らかにしながら結論付けることです。たとえば、「Aを選んだ人はBも選ぶ」という結果は相関関係にあるといえ、その要因を特定できれば論理的な分析結果として様々な施策に反映できるようになります。

適切なグラフを選ぶ

分析結果は、誰が見ても一目でわかるようにグラフ化することが大切です。どのグラフを用いれば視覚的な説得力を持つのかを考えながら、適切なグラフを選択します。たとえば、割合を表す場合は円グラフ、複数の回答結果の大小を見せたいときは棒グラフ、経年変化を表すときは折れ線グラフというように、伝わりやすさを意識して選びましょう。

様々な分析方法を知ることでマーケティング力がアップ

アンケート調査は、分析方法によって様々な結論を導き出すことができます。自社の課題を発見したり、多角的な視点で物事を捉えたりできるようにするためにも、様々な分析方法を覚えておくと便利です。マーケティング力の向上を目指して、データの有効活用に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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