【顧客分析】コホート分析とは|活用方法とGoogleアナリティクスでの分析例

顧客分析方法のひとつにコホート分析があります。コホート分析ではWebサイトやアプリのユーザー維持率などを可視化でき、サイトの課題発見・改善につなげることができます。本記事では、コホート分析でわかることや、Googleアナリティクスでコホート分析を行う方法・分析例を解説します。

コホート分析とは

まずは、コホート分析とはどのような手法なのかを見ていきましょう。

コホート分析の意味

コホート(cohort)は「同じ性質をもつ集団」を意味します。コホート分析とは年齢・時代・世代などの共通因子で対象者を分類し、時系列で行動や意識の変化を分析する手法です。もともと心理学や社会学の研究で用いられており、近年はWebマーケティングの顧客分析でも活用されています。

Webマーケティングにおけるコホート分析では、Webサイトやアプリのユーザーを流入時期や属性などでグルーピングし、各グループの動向を追跡・分析します。

例えば、任意の日付にECサイトで商品ページを閲覧したユーザーを、

・商品購入に至ったユーザー
・商品をカゴに入れたものの、結局購入しなかったユーザー
・閲覧後に離脱したユーザー

などに分類・分析し、グループごとの特性や傾向をつかみます。

コホート分析でわかること

コホート分析では、Webサイトやアプリのユーザー維持率(リテンションレート)、つまり「ユーザーが自社サイトを再訪・継続利用する割合」を可視化することができます。

また、下記のようなデータを収集し、サイトの課題を発見・改善につなげることも可能です。

・ユーザーが減少するタイミング(何日後、何週間後)
・ページビュー数が減少するタイミング
・セッション時間(サイト滞在時間)が減少するタイミング
・離脱されやすいタイミング

Webサイトやアプリの運営で収益向上を図るには、既存顧客を定着させてリピーターを増やすことが重要です。その点コホート分析では、ユーザー維持率やリピーターの割合・特性、サイトの改善点などを明らかにし、継続利用およびアップセル・クロスセルを促す対策に役立てることができます。

コホート分析の活用方法

コホート分析で得たデータは、マーケティングの様々な場面で活用できます。ここでは4つの活用方法を紹介します。

離脱しやすいタイミングで施策を打つ

コホート分析ではユーザーが離脱しやすいタイミングなどが可視化されるため、いつ・どのような対策を講じるべきかが明確になります。

例えば、初回訪問から5日後に再訪率が大幅に低下する場合は、以下のような施策を打つことでユーザー離れを抑止できます。

・コンテンツの更新頻度を上げる
・初回訪問から5日以内にメールやポップアップでお得情報を提供する

また、「この属性グループはセッション時間が短くページビュー数も少ない」という場合は、

・コンテンツ数やコンテンツのボリュームを増やす
・ユーザーニーズにマッチしたコンテンツを増やす
・最適化された内部リンクを増やす

といった対策で滞在時間を伸ばすことが可能です。

コホート別のLTVから施策の有効性を見極める

キャンペーンや割引セールを利用したユーザーのLTV(顧客生涯価値)の動向を分析することで、施策の長期的な有効性を見極めることができます。

例えば、ECサイトのキャンペーン別にコホートを設定し、ユーザーの定着状況や月別のコンバージョン率、購入金額の推移などを追うことで、どの施策のLTVが高く、最も注力すべきかが判断できるようになります。

必要な新規顧客獲得数を把握する

コホート分析でユーザーの離脱傾向が明らかになれば、今後離脱するであろうユーザー数の目安や、その分を埋め合わせるために獲得すべき新規顧客数を算出することが可能です。
例えば、1週間ごとにユーザーが5%ずつ減少する傾向がある場合、現在のユーザー数から任意期間の避けられない離脱数を算出できます。これにユーザー維持率やコンバージョン率、目標売上をあわせて考えることで、売上達成に必要な新規顧客数を割り出せます。

将来的な売上を予測する

商品特性にもよりますが、使用期間が長く、加齢に伴ってユーザーの意識や行動に変化がみられるような商品では、将来的な需要を予測しておくことが重要です。コホート分析では、年代別にユーザーを分類し維持率や離脱状況を測定することができるため、それをもとに各コホートの将来的なニーズや売上を予測し、事業計画の策定に役立てることが可能です。

Googleアナリティクスを用いたコホート分析

Webサイトやアプリの改善にコホート分析を行いたい場合におすすめなのがGoogleアナリティクスです。Googleアナリティクスには無料で利用できるコホート分析機能が実装されており、初心者でも適切に分析することができます。

コホート分析は、Googleアナリティクスの左サイドバーのメニューから「ユーザー」→「コホート分析」を選択することで始められます。

設定項目

Googleアナリティクスのコホート分析では、「コホートの種類」「サイズ・期間」「指標」の基本項目を設定します。また、デフォルト設定は「すべてのユーザー」ですが、分析条件を変えたい場合は「セグメントを追加」で変更します。

各項目について順に説明します。

コホートの種類

コホートの種類とは、ユーザーをグルーピングする条件のことです。Googleアナリティクスでは、ユーザーが初めてWebサイトを訪問した日(=ユーザーを獲得した日)を起点にユーザーを分類できる仕様になっており、2023年1月時点では「集客の日付」のみが選択できます。

コホートのサイズ・期間

コホートのサイズは分析の規模のことです。「日別」「週別」「月別」の3種類から選択でき、それぞれ以下のような期間を設定することが可能です。

・日別:過去7日、過去14日、過去21日、過去30日
・週別:先週、過去3週、過去6週、過去9週、過去12週
・月別:先月、過去2ヶ月、過去3ヶ月

例えば「週別・過去6週」を選択した場合、直近6週間に獲得したユーザーを週別にグルーピングし、それぞれの週別のデータ推移を追跡・比較することができます。

指標

指標は計測する項目のことで、分析の目的に合ったものを選択します。Googleアナリティクスでは以下の選択肢が用意されており、一項目のみ選択できます。

<ユーザー>
・ユーザーあたりのセッション
・ユーザーあたりのセッション継続時間
・ユーザーあたりのトランザクション
・ユーザーあたりのページビュー
・ユーザーあたりの収益
・ユーザーあたりの目標の完了数

<合計>
・セッション
・セッション時間
・トランザクション数
・ページビュー数
・ユーザー数
・収益
・目標の完了数

<定着率>
・ユーザーの維持率

セグメントを追加

セグメントを追加すれば、特定の条件で分析対象のユーザーを絞り込むことができます。
例えば、「コンバージョンに至ったユーザー」や「コンバージョンに至らなかったユーザー」、スマホユーザーのデータのみを抽出する「モバイルトラフィック」などを選択できます。

選択可能なセグメントは20種類以上用意されていますが、任意の条件を自分で作成・設定することもできます。

レポートの見方・分析例  継続率やシーケンスでの具体例

項目設定が完了すると、以下のようなレポート表が生成されます。

上記はサンプルデータですが、「日別・過去7日」における「ユーザー維持率」の推移をあらわしています。

一番左の列は、Webサイトに初めて訪問したユーザーを日別に分類したコホートをあらわし、右側の「第0日」「第1日」「第2日」・・・では各コホートの維持率(サイトに再訪した割合)の日別推移が示されています。

例えば6月11日のコホートで見ていくと、第0日(6月11日)にサイトを訪問したユーザーを100%として、その翌日(第1日)は60%が再訪したことを示しています。第2日の50%は、6月11日に訪問したユーザーのうち50%が6月12日もアクセスしたということです。

再訪率の高低が色の濃淡で示されるため、コホート別の定着状況の傾向や、ユーザーが減少するタイミングなどが一目でわかります。

特定のキャンペーンを起点に分析したい場合

キャンペーンの効果測定として、特定のキャンペーンページを閲覧したユーザーの経過をたどりたい場合は「シーケンス」の機能を使います。

例えば、過去3ヶ月間のコンバージョン数を確認したい場合は、以下のように設定します。

・コホートの種類:集客の日付
・コホートのサイズ:月別
・期間:過去3ヶ月
・指標:目標の完了数

続いて、「セグメントを追加」→「新しいセグメントを作成」→「シーケンス」を選択。「シーケンスの開始」を「最初の通過地点」に指定し、ランディングページとしてキャンペーンページのURLを設定します。

設定が完了すると、キャンペーンページを閲覧したユーザーのコホートが作成され、レポート表では月別のユーザーのコンバージョン数が示されます。

コホート分析以外の顧客分析手法について知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。


顧客分析の6つの手法と活用シーン・役立つツールをわかりやすく解説

コホート分析で顧客分析を強化しよう

Webサイトやアプリの長期的な収益向上には、ユーザー維持率を高めてリピーターを増やすことが不可欠です。コホート分析では、サイトに流入した時期別のユーザー維持率や、施策ごとの成果・課題などが可視化されるため、データに基づいて改善策を講じることができます。また、分析結果は将来的な需要予測にも活用でき、事業計画の策定にも役立てることが可能です。

Googleアナリティクスなどのツールを活用すれば、コホート分析をスムーズかつ適切に行うことができます。自社サイトの顧客分析を強化したい場合は、コホート分析を取り入れてみてはいかがでしょうか。

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