CX向上のためのパーソナライズとは|重視される理由とパーソナライズの手法例

CX(顧客体験)の向上は、ジャンルを問わずビジネスを成功に導く鍵となっています。同時に、CX向上を実現する上で欠かせないのがパーソナライズされた顧客への対応です。本記事ではCX向上にパーソナライズが求められる理由を整理するとともに、パーソナライズ化の手法例を解説します。

パーソナライズされたCX(顧客体験)が重要な理由とは

パーソナライズされたCX(顧客体験)が重要な理由とは

まずは、CXにおいてパーソナライズが重視される理由を見ていきましょう。

CXは個々の顧客を把握することから始まる

従来、企業はモノそのものなど物質的な価値を高めることに重点を置いてビジネスを展開してきました。しかし、モノやサービスがあふれる現代において、機能面や価格面を訴求するだけでは競争優位を獲得するのが難しくなっているのが現状です。事業活動においてCXが重視されるようになった背景には、こうした中で顧客体験が大きな差別化要素となっていることが挙げられます。

そして、顧客体験の向上を実現するには、まず個々の顧客を深く理解し、顧客の視点から体験価値とは何かを考えることが肝要となります。

パーソナライズされたCXは顧客ロイヤリティを高める

KPMGコンサルティングが実施した「グローバル カスタマーエクスペリエンス エクセレンス(CEE)リサーチ2021」によると、日本のユーザーはパーソナライズされたユニークな顧客体験を提供するブランドに対して、高いロイヤリティを示すことが明らかにされています。

同調査では顧客体験を向上するポイントとして、オンラインとオフラインをシームレスにつないだ体験が求められていることを挙げています。また、これまで日本の消費者はコストパフォーマンスを求める傾向にあったのが、必ずしも価格面への評価が顧客満足度につながっているわけではないことを指摘。個人として気にかけてもらえていると感じたブランドに対して、強いつながりを感じることが示されています。

この調査結果からもわかる通り、「自分に向けられた、より良い体験」を得られた顧客は、企業やブランドに対してのロイヤリティが高くなるといえるのです。

パーソナライズされたCXを実現するには

 パーソナライズされたCXを実現するには

パーソナライズされた顧客体験を提供するには、どのような点に留意すべきなのかを見ていきます。

そもそもパーソナライズとは何か

パーソナライズとは、すべての人に画一的なサービス・コミュニケーションを提供するのではなく、一人ひとりの顧客の特性に着目し、「自分に向けられたもの」と感じられるような体験を提供することです。

たとえば、常連客の好みを把握した上でサービスを提供しているお店は、パーソナライズされた顧客体験を提供しているということができます。このように個々の顧客を理解し、好みに合わせたコミュニケーションをすることで顧客は特別感を抱くようになり、顧客ロイヤリティの向上につながっていきます。

類似した言葉にカスタマイズがありますが、両者の持つ意味合いは異なります。カスタマイズとは、顧客が求める形に作り替えることができるものをいいます。一方のパーソナライズとは、顧客が求めるのではなく、提供する側が顧客にもっともフィットする形を考え提供していく点が異なります。

カスタマージャーニーマップの解像度を上げる

パーソナライズ化を実現する上で役立つのが、タッチポイントにおける顧客体験を可視化するカスタマージャーニーマップです。顧客視点で自社の課題を把握したり、関係者間での目線合わせができたりといったメリットがあります。

マーケティング活動を進める上で、カスタマージャーニーマップを作成しているという企業も多いでしょう。その一方で、作成・活用において失敗してしまうケースが少なくありません。

失敗要因として挙げられるのが、ペルソナが汎用的なものになってしまい、顧客の行動や価値観を具体的にイメージできない、あるいは自社の思い込み・先入観でマップを作成してしまうということです。こうしたカスタマージャーニーマップを作ってしまうと現実とのズレが生じ、結果として実用性に欠けるものになってしまいます。

カスタマージャーニーマップをCX向上に役立てるには、客観性のあるデータをもとに解像度の高い状態に作り込むことが重要になります。

顧客データの収集が成功の鍵

カスタマージャーニーマップの解像度を上げる上で必須となるのが、顧客データの収集です。市場の傾向を見るのではなく、個々の顧客について多角的に情報を集めることがポイントとなります。

顧客とのタッチポイントは、商品・サービスの認知から始まり、情報収集や比較検討、購入・利用、アフターフォローまであり、その中で顧客は様々な体験をします。

たとえば、購入時には満足感が高くても、アフターフォローにおける対応に不満があり離反してしまうケースもあります。または、チャネルが分断されていることで不便を感じているケースも考えられるでしょう。

こうした自社の課題を探り当てるには、顧客の行動履歴にくわえ、アンケート調査などを用いて行動実態やリアルな声を集めて、データが持つ意味を的確に解釈することが重要になります。

パーソナライズの手法例

パーソナライズの手法例

パーソナライズの手法にはどのようなものがあるのか、具体的な例を見ていきましょう。

パーソナライズしたメール配信

顧客の状態に合わせた内容・タイミングで、パーソナライズしたメールを配信します。たとえば、閲覧履歴をもとにキャンペーン情報や関連商品の案内を送るなどの方法や、購入〜利用〜リピートのタイミングに合わせて最適な情報を届けるステップメールもパーソナライズの手法です。

顧客が“今”興味関心がありそうなこと、情報を得たいと思っている内容をタイムリーに届けることで、顧客体験の向上につながります。

行動履歴に合わせたレコメンド

レコメンドとは、直訳すると推薦するという意味合いです。ECサイトで「購入履歴にもとづくおすすめの商品」などと表示されるのもレコメンドで、パーソナライズ化の一つです。

行動履歴に応じておすすめする商品を設定したり、商品グループの特性から関連商品や類似商品をおすすめしたりする方法があります。顧客は自分が求める商品・サービスにすぐにたどり着けたり、新たな発見ができたりといった体験ができます。

パーソナライズド広告

ユーザーの行動履歴に合わせて、個々に最適な広告を表示させる方法です。ユーザーにとっては興味関心がある情報が表示されるため、集客や購入につなげやすいというメリットがあります。

パーソナライズされた動画

ユーザーに合わせてパーソナライズされた動画を届ける方法です。テキストよりも視覚的な訴求力が高く、かつユーザーは短時間で多くの情報を得られることから顧客体験の向上につながります。

SNSの活用

SNSはユーザー自身が興味関心を持っている人や商品・サービスをフォローするため、パーソナライズに適したメディアということもできます。SNSの広告表示においても、ユーザーごとにパーソナライズした配信が可能です。

一人ひとりの顧客に最適化されたパーソナライズを実現

オンライン・オフラインを含めて顧客とのタッチポイントが多様化・複雑化している今、一人ひとりの顧客に最適化されたパーソナライズの考え方はCXの向上に欠かせないものとなっています。これを実現するには、顧客について情報を集め、理解を深めることがファーストステップです。顧客とより良い関係性を築く上でも、パーソナライズ化に取り組んでみてはいかがでしょうか。

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