マーケティングオートメーション(MA)とは|フェーズ別の基本機能と連携機能

マーケティング活動を効果的かつ円滑に行うために、マーケティングオートメーション(MA)を導入する企業が増えています。今回は、マーケティングオートメーションの需要が高まっている背景や基本機能、SFA/CRMやアンケートツールとの連携で実現できることを解説します。

マーケティングオートメーション(MA)とは

マーケティングオートメーション(MA:Marketing Automation)とは、企業のマーケティング活動を自動化する仕組みのことです。また、それを実現するツール・ソフトウェアを指す場合もあります。

日本では米国のOracle社が2014年にMAツールの提供を開始して以来、BtoB領域を中心に活用が進んでおり、国内の市場規模は拡大傾向が続くことが見込まれています。

データ元:矢野経済研究所「DMP/MA市場に関する調査を実施(2021年)

まずは、マーケティングオートメーションで実現できることや、なぜ需要が高まっているのかを見ていきましょう。

リード獲得から商談化までのフェーズを効率化

顧客獲得に向けた一連のマーケティング活動は、下記3つのフェーズに分類されます。

  • リードジェネレーション(リード獲得)

 ー自社の商材に興味・関心をもつ見込み客を獲得し、案件を創出するための活動

   例)テレアポ、展示会、Web広告、コンテンツマーケティングなど

  • リードナーチャリング(リード育成)

 ー獲得した見込み客の購買意欲を喚起し、受注確度を高めるための活動

   例)メルマガ、インサイドセールス、セミナー、リターゲティング広告など

  • リードクオリフィケーション(リード選別)

 ー見込み客の受注確度を見極め、購買意欲の高いリードを選別する工程

      例)行動データの分析、スコアリングなど

従来、これらの業務は施策ごとの担当者が手動で実施・管理することが多く、業務の属人化や煩雑化などの課題がありました。リードにまつわる情報は社内に散在し、関連部署間で円滑な情報共有ができていない状況でした。

マーケティングオートメーションでは、リードを獲得・育成・選別し、商談化するまでの全工程を一元管理することができます。多くの定型的な業務を自動化できるため、マーケティング担当者はコア業務に注力できるようになります。

マーケティングオートメーションが求められる背景

マーケティングオートメーションの需要が高まっている主な要因は、インターネットの普及に伴うタッチポイントの変化です。

かつては、見込み客との接点はテレアポや訪問営業、セミナーなどに限られていたため、属人的な管理方法でも適切なアプローチが可能でした。しかし、インターネットやデジタル端末の普及によって情報収集チャネルのオンライン化が進み、購買プロセスは多様化・複雑化しています。

タッチポイントが増え、より多くのリード情報を収集できるようになった一方で、従来のアナログな手法では管理が追いつかなくなりつつあります。そのため、多様なタッチポイントでのリード管理やアプローチを適切に行うために、マーケティングオートメーションで業務を自動化するニーズが高まっています。

マーケティングオートメーション(MA)の基本機能

マーケティングオートメーションの機能は製品によって異なりますが、一般的には以下のような機能が備わっています。

  • リードを獲得する機能
  • リード情報を管理する機能
  • リードを育成する機能
  • リードを選別する機能
  • 分析・レポート機能

それぞれ具体的に見ていきましょう。

リードを獲得する機能

リードジェネレーションの活動を支援する機能です。主に以下のようなWebページを作成し、Web広告などから誘導することで自社の商材に関心をもつリードの情報を収集します。

  • ランディングページ(LP)
  • 会員登録フォーム
  • 資料請求フォーム
  • お問い合わせフォーム

収集したリード情報はMA内に自動的に蓄積され、ナーチャリング施策などで活用します。

また、SEOでの集客を強化する「コンテンツ制作機能」や、オフラインの展示会やイベントでリードを獲得するための「イベント管理機能」を備えたツールもあります。

リード情報を管理する機能

オンライン、オフラインの各チャネルで獲得したリードの情報を一元管理する機能です。

管理項目の例を以下に挙げます。

<企業情報>

  • 企業名
  • 業種
  • 所在地
  • 従業員数
  • 売上高

<担当者情報>

  • 氏名・性別
  • 所属部署
  • 役職 
  • 電話番号・メールアドレス
  • 関心領域
  • 課題・ニーズ
  • 決裁権の有無
  • 自社との接点履歴
  • アンケートの結果

リードを育成する機能

リードナーチャリングのフェーズで活用する機能です。主な機能を以下にまとめました。

メール作成・配信 メールマガジンやステップメールなどを作成・配信する機能。
特定の条件でリードを分類し、セグメント別にメールを出し分けることも可能
シナリオ作成 特定のアクションを起こしたリードに対する施策を自動化する機能。
例えば、「広告をクリックした人にクーポンを配布する」「資料をダウンロードした人にセミナーの案内メールを配信する」などの
シナリオを設定できる
リターゲティング広告の配信 自社サイトを訪問したことがあるリードに対し、
関心度を高める広告を表示する機能

リードを選別する機能

リードが起こしたアクションを点数化(スコアリング)し、確度の高いリードを絞り込む機能です。アクションごとの点数を設定することで、各リードの総合点が自動算出されます。

スコアリングの配点例を以下に挙げます。

  • メールを開封した(2点)
  • URLをクリックしてWebサイトを訪問した(2点)
  • Webサイトの特定ページを閲覧した(3点)
  • Web広告や動画を視聴した(3点)
  • 製品資料をダウンロードした(5点)

これにより、有望リードを見極めた上で営業に引き渡すことができます。また、一定の点数を超えた場合に特定の情報を配信することも可能です。

分析・レポート機能

各施策の結果データなどを収集・分析し、視覚的にわかりやすくまとめる機能です。具体的には以下のようなデータを収集します。

  • メールのクリック率・開封率
  • Webサイトのページ閲覧数
  • コンバージョン数・率
  • 資料のダウンロード数
  • セミナーの申込数
  • 施策ごとのリード獲得数
  • リードのフェーズ移行の状況

施策の効果が可視化されることで改善点を発見しやすくなり、マーケティングPDCAの精度向上につながります。

SFA/CRMやアンケートツールとの連携で業務自動化を促進

マーケティングオートメーションをSFAやCRM、アンケートツールと連携させれば、業務の自動化をさらに促進させることが可能です。

SFA/CRM連携で営業プロセスを効率化

SFA/CRMには顧客情報や商談情報、取引履歴などが蓄積されているため、MAとの連携によりリードの状況を正確に把握し、適切なアプローチにつなげやすくなります。

例えば、以下のようなことが可能です。

  • 資料をダウンロードした人やウェビナー申込み者について、商談履歴や取引履歴から新規リードかどうか判断し、検討状況に応じたアクションを起こす
  • SFA/CRMのデータを元に優良顧客の基準を作成してMAに取り込み、質の高いリードの発掘に役立てる
  • SFA/CRMの顧客情報をスコアリングに活用する
  • 失注顧客のデータをMAに引き渡して効果的な再アプローチにつなげる

アンケート連携で顧客ヒアリングや施策運用を効率化

Webアンケートは、リードの検討状況や課題・ニーズを把握するために効果的な施策です。

アンケートツールをMAと連携させれば、以下のようなことを実現できます。

  • MAからアンケートを一斉配信
  • MAのシナリオ機能を活用してアンケートをタイムリーに自動配信
  • アンケートの回答をスコアリングに活用
  • アンケートの回答を元に資料やウェビナーの案内を自動送付

MAでマーケティングや営業の精度を高めよう

タッチポイントの多様化が進んでいる昨今、マーケティングオートメーションの重要性が高まっています。MAを活用すれば、さまざまなチャネルで接点をもったリードを獲得・育成・選別し、有望リードを営業に引き渡すことで商談の精度を高めることが可能です。

また、SFA/CRMやアンケートツールとの連携により、マーケティング・営業のプロセスのさらなる効率化も実現できます。スピーディかつ効果的に施策を運用したい方は、MAを導入してみてはいかがでしょうか。

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