ブランドリフト(態度変容)とは|アンケート調査の方法・測定項目を解説

ブランディング広告の効果測定方法として活用が広がっているのがブランドリフト(態度変容)です。調査にはアンケートが用いられます。ここでは、ブランドリフトとは何か、どのような調査方法があるのかを解説します。また、マーケティングの基本である4P分析への活用についても説明します。

ブランドリフトとは

ブランドリフトとは

まずは、ブランドリフトとはどのようなものなのかを見ていきましょう。

ブランドリフトとは態度変容

ブランディング広告は、企業や商品の認知度向上やイメージ醸成、好感度アップにおいて重要な役割を担っています。しかし、レスポンス広告のようにクリック数やCV数などの直接的な効果を測ることができないため、効果測定が難しいという課題がありました。

このブランディング広告の効果を測る手法がブランドリフト調査です。具体的には、ブランディング広告に接触したユーザーと非接触ユーザーとを比較し、認知度や購買意欲などが向上しているかを計測します。つまり、ブランドリフトとは態度変容のことを指し、調査では広告接触による変化を測定します。

消費者の態度変容モデルとして、よく知られているのが「AISAS」です。消費者は、認知(Attention)→興味(Interest)→検索(Search)→行動(Action)→共有(Share)の順に態度変容するという考え方です。

ブランドリフト調査をすることで、これまで測定が難しかった態度変容を数値化することが可能になります。施策と結果が明確になるため、効果的なPDCAにつなげやすい点が大きなメリットです。

サーチリフトとの違い

サーチリフトとは、広告によって自然検索数(オーガニック検索数)がどれくらい増加しているかを測る調査のこと。広告に接触したユーザーの検索行動を数値化します。

ブランドリフトではアンケート調査を用いますが、サーチリフトでは検索数のデータを使います。広告接触による検索数の変化やユーザー特性ごとの検索行動などを可視化できるため、広告施策の改善につなげることができます。

ブランドリフト調査で測定できること

ブランドリフト調査では、態度変容モデルの各フェーズへの影響を明らかにできます。

●ブランド認知度の変化
態度変容モデルの認知フェーズを測定します。

・広告想起: 広告を覚えているかを測定
・認知度: ブランド・商品の認知度が変化したかを測定

●ブランドイメージの変化
態度変容モデルの興味段階における変化を明らかにします。

・興味関心度: ブランド・商品への興味関心度が変化したかを測定
・好感度: ブランド・商品への好感度が変化したかを測定
・イメージ: ブランド・商品に対するイメージが変化したかを測定

●購入意向度の変化
態度変容モデルの検索・行動フェーズへの影響を測定します。

・比較検討: ブランド・商品の比較検討を促したかを測定
・購入意向度: 商品の購入意向度の変化を測定

ブランドリフト調査の方法

ブランドリフト調査の方法

ブランドリフト調査には3つの方法があります。一つずつ見ていきましょう。

リサーチ会社に調査依頼

リサーチ会社に測定を依頼するという方法です。リサーチ会社では、目的に応じてさまざまな形式のアンケート調査を行います。細かなチューニングも可能でレポーティングも充実しているため、より高度な調査を行いたい場合に適しています。

ただし、調査依頼からレポートまでには一定の期間を要するため、リアルタイムで計測をしたいときには不向きといえるでしょう。

広告配信プラットフォームで測定

Facebook、Google、LINEなどの広告配信プラットフォームからもブランドリフト調査を行うことができます。

代表的な広告配信プラットフォーム

●Facebook
Facebook広告に対して、ブランドリフト調査を行えます。選択したオーディエンスをグループ分けしてアンケート調査を実施するという方法で、測定できる指標には以下のものがあります。

●Google
Googleでは「ブランド広告測定」の機能を提供しています。対象ターゲットの中から広告を見たユーザーと見なかったユーザーとで測定する仕組みになっており、次の指標を測ることができます。

●LINE
運用型広告を扱うLINE Ads Platformで「ブランドリフトサーベイ」を利用することができます。広告接触の有無でユーザーを分類して効果測定を行うという方法で、測定できる項目には次のものがあります。

Web広告でアンケート調査

Web広告を利用してアンケート調査を行うという方法です。インバナーサーベイとリードバナーサーベイの2つの手法があります。

インバナーサーベイ リードバナーサーベイ
回答方法 ディスプレイ広告上に設置されたアンケートに回答 ディスプレイ広告からアンケートページに誘導後回答
回答完了率
回答精度
質問 1-3問 制限なし(画像挿入も制限なく可能)
配信コスト
目的 ・回答数を多く集めたい
・コストを抑えたい
・回答数よりも回答の精度を重視
・プロモーションも兼ねる

●インバナーサーベイ
インバナーサーベイは、ディスプレイ広告に直接アンケート内容を盛り込む方法です。広告枠からページ移動することなく直接回答できるため、ユーザーの手間がかからず、回答率が高いというメリットがあります。

ただし、ディスプレイ広告の枠内に収める必要があるので、質問数は限定されます。またミスタップの可能性が高くなるため、回答の精度が下がることがある点にも注意が必要です。

●リードバナーサーベイ
リードバナーサーベイは、ディスプレイ広告枠にアンケートページへのバナーを掲載し、アンケート専用のページに移動させて回答を得る方法です。質問数や質問形式の制限ないため、サービスやブランドに対しての詳細なデータを取りたい場合に適しています。

デメリットは、インバナーサーベイに比較し、回答率が低くなりやすいことが挙げられます。

また、リードバナーサーベイではアンケート自体をプロモーションに利用することも可能です。例えばアンケートの回答に応じて、回答者への適当なサービスページにリダイレクトさせたり、キャンペーン動画を再生させることができます。

プロモーションやサービス認知を同時に行う場合では、LPやキャンペーンサイトにポップアップでアンケートを実施することで、サイトから離脱させることなくキャンペーンに対するより精度の高い満足度やブランド評価を行うケースも増えてきています。

ポップアップアンケートのイメージ

※画像はCREATIVE SURVEYポップアップアンケートのイメージです。

4P分析にブランドリフトを活用

4P分析にブランドリフトを活用

ブランドリフト調査を実施することで、ブランディング広告の効果測定が可能になりますが、最終的にはこれをマーケティングに活かす必要があります。ここでは、マーケティングの戦略フレームである4P分析への活用について見ていきます。

マーケティングの基本「4P分析」とは

4P分析は、マーケティングの基本となる考え方をフレームとして整理したものです。以下の4つの言葉の頭文字をとっています。

●Product(製品)
顧客がどのような製品・サービスを求めているのかを明らかにします。機能面のほか、ブランドイメージやパッケージデザインについても調査・分析します。

●Price(価格)
プライスでは、顧客が感じる適正価格を明確にします。購入ハードルをできるだけ抑え、かつ利益を出せる価格戦略が必要です。

●Place(流通)
どのようなチャネル・流通経路で製品・サービスを提供すれば、顧客がスムーズに購入できるのかを調査・分析します。

●Promotion(販売促進)
ターゲットの特性に合わせて、最適な広告戦略・販売促進を検討します。認知度の向上や購入意欲を高めるなど、目的に応じた戦略が求められます。

上記の4つの観点から市場を捉えることで、自社の強み・弱みを把握し、効果的な施策へとつなげていくことができます。

ブランドリフト調査でズレを確認

4P分析では、消費者の視点を的確に捉えることが重要となりますが、現状を正しく把握するのは容易ではありません。ここにブランドリフト調査を活用することで、自社の認識にズレがないかを確認することができます。

たとえば、プロダクトが目指すブランドイメージと消費者が実際に抱いているイメージとの乖離、価格設定とブランドイメージとの相違、流通や広告施策がターゲットにマッチしていないといったことが明確になれば、より高い精度のマーケティング戦略に活かすことができます。

定性的な態度変容を数値化して広告効果の最大化を目指す

ブランドリフト調査は、効果測定が難しいといわれてきた定性的な態度変容を測定できる方法です。4P分析に活用すれば、より効果的な戦略設計や広告配信が可能になります。アンケート調査の方法にはいろいろなパターンがあるので、自社の状況に合わせて活用してみるとよいでしょう。

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