DMMの持つ会員データをグループ全体のリサーチ業務に活用し、データドリブンな意思決定に反映

合同会社DMM.com

  • マーケティング
  • IT・情報通信
  • 課題

    • 嗜好性や価値観など、4,000万人を超える会員の心理的な情報を収集し、活用する仕組みができていなかった
    • 会員のデモグラフィック情報などの収集、活用ができていなかった
  • 施策

    • 会員データと調査データを掛け合わせて分析する調査基盤を構築
    • 外部調査パネルを自社顧客への調査と組み合わせて活用することで素早い調査サイクルを構築
  • 結果

    • イベント、キャンペーンの効果測定のPDCAサイクルが回りデータドリブンな意思決定の指標となる

合同会社DMM.com様は、動画配信、FX、英会話、ゲーム、3Dプリントなど60を超える事業を展開しています。総合サービスサイト「DMM.com」は4,000万人以上の会員数を誇り、多角的な事業展開を行っております。

同社では、会員に向けた調査に『CREATIVE SURVEY for ENTERPRISE』を活用いただいており、導入の経緯や活用方法、実感している効果についてマーケティング本部データ戦略部マーケットリサーチグループ マネージャーの内山様、同チームの古澤様にお話を伺いました。

写真左:内山様 写真右:古澤様

※以下、敬称略

DMMグループが持つ会員データを活用し、グループを横断したマーケティング活動を実現

Q.貴社の事業内容とご担当の業務を教えてください。

内山:弊社、合同会社DMM.comは60以上の事業を統括するDMMグループの中核企業です。マーケティング本部はいわゆるtoC向けのウェブサービスをメインに全社横断のマーケティングを担当している部署となります。各事業と擦り合わせながらマーケティング全般をこのマーケティング本部が取り仕切っています。

マーケティング本部ができる以前は、各事業部ごとにマーケティング担当がおり、個別に各事業の担当者が、それぞれのマーケティングを担当していました。

しかし、当時すでにグループ全体の会員IDを3,000万以上保有しており、その会員データを全社の成長のために活用していこう、DMMをプラットフォームサービスとして機能させていこうという流れがありました。その流れの中で、横串を通した状態で全社的な視点でデータドリブンな意思決定を行うために、マーケティング本部が立ち上がりました。

その後、我々が所属しているデータ戦略部内に市場調査専門の部署としてマーケットリサーチグループが設立され、私と古澤はちょうど2年ほど前のグループの立ち上げから担当しています。

元々、購買データやログデータなどを活用するデータサイエンティストのチームがありますが、会員データは購買データが中心でした。リサーチグループが設立された背景は、購買データだけでは分からない、購入された方はどういった状況で購入したのか、どういう嗜好があるのかといったサイコグラフィック情報(※)を明確に捉え、マーケット全体を把握するためでした。

※サイコグラフィックは生活様式や価値観、興味関心、行動パターンなど、心理的な要素に焦点を当てた属性情報。

Q.CREATIVE SURVEYの導入に至った経緯について教えてください。

内山:リサーチグループの立ち上げ時、会員の購買データは保有しているものの、それだけでは分析に限界がありました。そこで、会員のサイコグラフィック情報や会員の嗜好の傾向などを掴むような調査ができるツールを探し始めました。

古澤:チームの立ち上げ時は、調査の依頼があっても専用のツールがなく、各事業部から相談があった際に十分に対応できていませんでした。

事業部側で利用していたGoogleフォームなどでは、細かいロジックの制御ができなかったり、聞き方にも幅がないので簡単な調査設計しか行えず、 購買データをもとにプラスして深掘りしていくような調査は難しいと感じ、新しいツールを検討し始めたという経緯です。

内山:また、元々の想定に購買データとアンケート結果を掛け合わせて分析をしたいという思いがありました。弊社では、会員IDとは別にオープンIDというWebに公開可能なIDがあり、そのオープンIDを活用し、購買データと会員へのアンケートの回答値を紐付けて分析を行うことで、その属性の方がどういう気持ちで、どういうところに魅力を感じてサービスを利用されているのかが見えてくると考えていました。

そうした中、CREARIVE SURVEYは回答値とオープンIDをシームレスに紐付けできるカスタムキーという機能があり、データの紐付けがスムーズにできると思い導入に至りました。

現在マーケティング本部では、全社横断的に同じ指標を見ていけるようにマーケティング関連指標を見るためのダッシュボードを構築しています。

古澤:導入の決め手となった点は大きくは3つあります。1つ目が、先ほどの会員IDといった外部データとの紐付けがシームレスにできるというところです。調査会社から提供されているようなアンケートツールなども多数ありますが、IDなどの外部のデータの紐付けを前提としていないものがほとんどで、導入には至りませんでした。

2つ目はフォーム設計の幅、例えばロジックの制御や、画像を使った視覚的なUXなどの調査、質問形式の豊富さといったツール自体の使い勝手の部分です。

最後に3つ目が、依頼される調査では複雑な集計を行うことも多く、集計や分析が手軽にできるかという点も、検討のポイントになりました。ツール内でリアルタイムに集計された回答をダッシュボードで見られることや、 Excelなどで編集しなくても、ビジュアル化された結果を社内に共有できるというところが決め手になりました。

外部パネルへの調査と自社会員への調査を両軸で行い素早い調査サイクルを実施

Q.マーケットリサーチグループの業務の流れを教えてください。

内山:マーケットリサーチグループには各事業から調査の案件が多く依頼されている状態で、その中で優先順位をつけて調査を実施しています。

各事業部の方でも、お客様がどういう人で、どういうものを、どういう思考や趣味志向で使っているのかを深掘りする部分に課題を持っており、事業部とすり合わせながら調査内容を決定し実施しています。 

古澤:市場全体の調査を行う場合は、会員向けだけに聞くのではなく外部のパネルに対しての調査も行っています。外部パネルでは十分なサンプルが確保できない場合、同じ質問をCREATIVE SURVEYを使って自社会員に対しても行い、詳細な分析をするケースも多いです。

マクロ的な調査を外部の調査パネルで、ミクロの調査は自社会員で行うといったイメージです。

内山:主要事業では、それらの調査が少しずつできてきた状態で、 直近では自社会員への顧客満足度調査のような長期的な指標を追う調査設計もできるようになりました。

Q.自社での調査のフローや実施方法について詳しく教えていただけますか?

内山:会員への調査依頼は、メールの他にサービスサイト内のライブラリと言われる、動画や電子書籍などの履歴などが並ぶエリアにバナーを表示するといった形などいくつかの方法で実施しています。

各事業部も協力的で、サイト上に調査のためのスペースを用意してくれたり、ポップアップでの表示をしてくれる事業部もあります。そのおかげで回収率も良好で、そうした対応をしてもらった場合はアクティブな会員にご回答いただけています。

メルマガなどの場合はどうしても古くからの会員の回答が多くなる傾向があり、新しい会員やアクティブな会員に回答してもらおうと思うとポップアップなどの導線を用意した方が良いと感じています。

古澤:サイトではCREATIVE SURVEYのカスタムキーの機能を使っていて、URLにオープンIDが入るようにしています。会員としてログインしている状態でURLにアクセスすると、その会員専用のアンケート画面に遷移する形になっているので、会員データと回答データを紐付けて分析することができるようになりました。

会員の声をPDCAサイクルに取り入れデータに基づく意思決定を実現

Q.CREATIVE SURVEY導入後の効果について詳しく教えていただけますか?

古澤:キャンペーンやセールなどのイベント実施後に、その施策が効果的であったかどうかなどの検証ができるようになり、同じ時期に同じイベントを実施するような定例のものに関しては前回より良くなっているか、などを把握しマネジメントする仕組みができてきていると感じます。

内山:大きな流れでいうと、外部パネルで行った市場調査の結果とCREATIVE SURVEYで行った会員の行動や意識調査から戦略のプランニングを行い、施策の実行後、購買データ等との関連性の調査や各種キャンペーンに対する顧客満足度などの効果測定のところまで、データを基にした事業のPDCAサイクルができてきていると思います。

プランニングの領域では、新しい事業や施策のアイデア出しにも反映されてきています。直近は会員からの定性的な意見を集める調査も実施しているので、アイデア出しのところでもCREATIVE SURVEYを活用して会員の不満や、要望を聞くといったこともできています。

以前はそれほど調査を体系的にできていなかったので、優先度や重要度というのがデータに基づいて決まっていなかったのですが、現在では会員の声が活用されデータドリブンな意思決定に繋がっていると感じます。

DMMでは、“改善につながることは全部やる” というような企業風土がありますが、リソースが分散してしまうこともあります。 

例えば弊社のDMM TVというサブスクリプション型動画配信サービスは低価格で多くの方にご利用いただきたいと思っているので、会員がDMMに求めているものを明らかにして、優先的に実施していくことが重要になります。その意思決定に会員の声が非常に役立っています。

Q.CREATIVE SURVEYの使い勝手はいかがでしょうか?

古澤:アンケートのフォーム作成や集計などはスムーズに実施できていると感じます。依頼元の事業部に一次報告する際の速度も、CREATIVE SURVEYのダッシュボードのビジュアルがあるので、迅速にできています。

リアルタイムで回答状況が見れるので、回収状況によっては、この属性はあまりまだ回答が集まっていないから配信を増やそうなどといった対策も実施できています。

集計に関しても、CREATIVE SURVEYの管理画面からセグメント軸が簡単に作れるので、 リサーチなどの経験が浅い社員も触りやすいです。

内山:設問の形式が幅広いので、 UI的に回答者が回答しやすい設計にできる点は非常に優れていると思います。それもあって離脱率もかなり低くなっているように感じます。

古澤:私は前職で調査業務の経験がありますが、当時顧客アンケートなどを実施した際の回収率に比べても、回収率の高さや離脱率の低さを感じています。DMMでの調査は、インセンティブなどがなくても万単位の回答が集まっています。

Googleフォームで実施していた時期と比較して、回答者が回答しやすい設計になり、 回答者の負荷や時間が減らせていると思います。

また、複雑な分岐や表示の設定をすることも多いのですが、カスタマーサクセスの方にいつも迅速にご対応いただいていますので運用面でも安心して利用できています。

Q.今後、CREATIVE SURVEYをどのように活用していきたいですか?

内山:導入時から計画していたことでもあるのですが、1つはいわゆるUXの領域の調査で、CREATIVE SURVEYにあるエリアマッピングという機能を活用して、画像に対してコメントやポイントを指定するなど、デザイン要素の強い調査やマーケティングのコンテンツにもっと活用したいと思っています。

また、クイズや診断のようなコンテンツとして、我々のサービスを広げられるような活用もしたいと考えています。ゲームのような感覚で同時に調査も行うといった、会員に楽しんでいただきながらマーケティングに活かす調査というのは今までできていないので、今後取り組んでみたいです。

古澤:メルマガなどの施策のほか、最近ではXなどのSNSアカウントに積極的に取り組んでいる事業もあるので、ユーザーフレンドリーで心理に訴えるようなマーケティングにもっと活用したいと思ってます。

長くサービスを展開している事業もあり、会員の年代も30代、40代の方から若年層まで幅広いため、それぞれの年代に向けたコミュニケーションのツールになれば良いと思っています。

社名
合同会社DMM.com
事業内容
総合サービスサイト「DMM.com」を運営。動画配信、FX、英会話、ゲーム、3Dプリントなど60以上のサービスを展開。
従業員数
2,305名(2023年2月時点)

※ページ上の各種情報は2024年5月13日時点のものです。