難解なインボイス制度をテーマにクイズコンテンツを配信。SNS配信でブランディング向上やプロダクトの認知拡大を実現

Sansan株式会社

  • マーケティング
  • IT・情報通信
  • 課題

    • 新制度の解説コンテンツは市場に溢れるも実務を想定したコンテンツは多くなかった
    • プロダクトの認知拡大・ブランディング向上を促進したかった
  • 施策

    • ユーザーが実務をイメージしながら、気軽に取り組めるクイズコンテンツを作成しSNSで拡散
  • 結果

    • 新制度への実務理解を深める機会になったとSNSで話題になった
    • プロダクトの認知拡大・ブランディング向上に成功

Sansan株式会社様は、働き方を変えるDXサービスとして、営業DXサービス『Sansan』やインボイス管理サービスの『Bill One』などの企画・開発・販売を行っています。「出会いからイノベーションを生み出す」というミッションを掲げ、人と人、企業と企業の接点にイノベーションを生み出すプロダクトを提供しています。

同社では、商談前後のアンケートやUX調査など、複数の部署や場面で『CREATIVE SURVEY』を活用してきました。今回は、昨年に続き第二弾が提供された『適格請求書(インボイス)クイズ(以下、インボイスクイズ)』を、CREATIVE SURVEYで企画・設計された背景や、得られた効果について、デザイナーの鈴木様、コーポレートコミュニケーション室 企画担当の漆畑様にお話を伺いました。

写真左:漆畑様 写真右:鈴木様

※以下、敬称略

難解なインボイス制度への移行をプロダクトの機能に加えシミュレーションできるコンテンツで支援

Q:所属する部署とご担当の業務を教えてください。

漆畑:私たちは、コーポレートコミュニケーション室に所属しています。部門のミッションはSansanの世界観とプロダクトの価値をわかりやすく伝え、Sansanのことを好きになってもらい、ファンを増やすことです。具体的には、『Sansan』『Bill One』などのプロダクトや、企業としてのSansanに関する認知の拡大・ブランド形成のための対外的な発信を行っています。

鈴木:私自身は、コーポレートコミュニケーション室に加えて、HRコミュニケーション室でもデザインを担当しています。クリエイティブを通した啓蒙活動や、体験設計を双方で行っていて、コミュニケーションデザイナーと名乗っています。

漆畑:それぞれのプロダクトごとに広報担当がおりますが、私たちはコーポレートコミュニケーション室主導で全社視点で行う施策の企画や、必要となるコンテンツ製作のディレクションを担当しています。

Q:『インボイスクイズ』を企画した背景を教えてください。

漆畑:弊社が提供するサービスの1つに、現在導入が広がっているBill Oneというインボイス管理サービスがあります。請求書受領サービスとしては、一位のマーケットシェアを獲得していますが、更なるPRのコンテンツとして、インボイスクイズを企画しました。

企画に至った背景として、昨今続いている請求書や経理業務に関わる法律や制度の改正があります。既に施行されたものとしては、2022年1月に改正された電子帳簿保存法が挙げられます。この改正によって受け取った請求書や領収書などの取り扱いに関するルールが変更され、経理業務のフローや体制の見直しが必要になり、負担が増加しました。加えて、今年の10月からインボイス制度が開始される予定で、業務量やその複雑さから、経理に携わる方々の負担が非常に大きくなると考えられています。

Bill Oneはこれまで経理業務に携わる方々を支援し、月次決算を加速させることをコンセプトとして提供してきました。そのため、制度改正に対応した機能拡充は当然ながら行っておりますが、それだけではなく、さまざまな形での情報発信やセミナー開催などにより経理業務に携わる方々がスムーズな制度対応ができるようなサポートも行っております。

その中で、Bill OneのPRと、経理の方に役立つ情報の、両方を兼ね備えたコンテンツとしてインボイスクイズを企画しました。

配信されたインボイスクイズの回答イメージ。

※実際のクイズはこちらです。ぜひご体験ください。
 インボイスクイズ第一弾
 https://sansan.svy.ooo/ng/answers/billone_invoice_quiz/
 インボイスクイズ第二弾(難問編)
 https://sansan.svy.ooo/ng/answers/billone_invoice_quiz_advance/

硬いテーマに対してライトに取り組めるクイズ形式や体験を設計

Q:どのような理由でクイズコンテンツを選択しましたか?

漆畑:当時からインボイス制度に関する情報発信を行う競合他社が多数いて、制度改正の解説記事などは溢れかえっている状況にありました。しかし、実際に記事を見てみると、変更される点にどう対処することで業務負担を軽減できるのか、どのポイントにより注意するべきなのか、といった現場の実務で直面する疑問に答える情報は多くないと感じました。経理の現場に伴走しきるのがBill Oneだという考えもあり、実務に寄り添ったコンテンツで他社との差別化を図ろうという考えに至りました。

企画当初は統一模試のような形にしようというアイデアでしたが、インボイス制度というテーマが硬くとっつきにくいイメージがあったので、SNSなどからライトに楽しんでいただけるような、柔らかいコンテンツにしたいという想いもあり、最終的にクイズという形に着地しました。

Q:クイズコンテンツにCREATIVE SURVEYを用いた背景を教えてください。

漆畑:まずは外部のコンテンツ制作会社に依頼することを考え、見積を取得しましたが、500〜600万円ほど要するという回答で、部署の予算上難しいという判断になりました。

鈴木:自社内でアプリケーション開発を行うにしても、費用対効果を考えると難しい部分があります。特に我々の部門は少人数のチームで、エンジニアを抱えておらず、他の部門のエンジニアを動かそうとしても調整が難しく、できるだけコンパクトに自分たちでできる方法を考えることになります。

既存のツールを使って自分たちで作成できる手段はないかと探したところ、弊社内の他部門で既に導入していたCREATIVE SURVEYに辿り着きました。

漆畑:他のクイズ設計ツールとも比較しましたが、やはりデザインのカスタマイズにおける柔軟性などを鑑みて、CREATIVE SURVEYがベストだという結論に至りました。

Q:設計において意識した点を教えてください。

鈴木:設計やデザインは私が担当しました。クイズのテーマが硬いので、できるだけ小難しくなく、簡単に見せるような体験を意識し、文章量や文字の大きさを調整しました。見た目に関しては、プロダクトのブランドで用いているカラーを利用して、統一感を出せるよう工夫しました。

加えて、クイズに答えていくにあたってステップを踏む必要がありますが、できるだけ少ないクリック数で遷移できるよう、回答を選択するとすぐに次の画面に進む設計にしました。このような設計や、マルチデバイスに配慮したデザイン構成などは、CSSをカスタマイズすることで思い通りに実装することができました。

設計後は、ユーザーが画面を見たときに迷わないことが一番大事だと思っているので、社内のバックオフィスメンバーに触ってもらって、フィードバックを受けて最終調整を行いました。

プロダクトの認知向上や新制度に結びつけたブランディングに繋がった

Q:コンテンツの配信や、活用の方法について教えてください。

漆畑:第一弾は、インボイス制度開始一年前というタイミングで昨年の10月に公開し、第二弾を難問編として今年5月にSNSで配信しました。いずれもメディアの方々にプレスリリースでお知らせをして、記事に取り上げていただきました。また、経理・財務に関わる方にターゲティングしたTwitter広告も配信し、多くの方に拡散されアクセスしていただきました。

また、クイズの最終ページに問い合わせへの導線を設けて配信しており、マーケティング部の広告としても活用しています。

クイズの回答データは、正答率の良し悪しを比較して、今後のコンテンツの考案やセミナーの内容に反映させることもできるかなと考えています。この他にも、回答データの活用余地は色々とありそうだと感じています。

Twitterでの配信イメージ。
SNSで体験コンテンツを拡散することでブランディングや認知を拡大。

Q:今回の施策の効果について教えてください。

漆畑:インボイス制度はやはり難しいテーマで、国税庁のQ&Aなどもありますが、硬い文章でとっつきにくい部分はあると、私自身作問に携わったうえで感じています。そのような難しいものを、クイズという柔らかいコンテンツでわかりやすく伝えられたかなと、メディアやSNSでの広まりを見て考えています。

第一弾は、公開から8か月ほどが経った現在でも、アクセス数や回答数は増えていて、累計で1万2千人の方にアクセスいただいています。

クイズの終了画面ににシェアボタンを設置したことで、現在もSNSで多くのシェアをしていただけているのだと思います。

企画時の意図のように、実務のシミュレーションとしてチャレンジしていただいたようで、「準備していたつもりだったけれど間違えてしまった」「全て実務でやると考えると大変だ」というような実務をイメージしたうえでのお声が集まりました。制度開始前に、どのような状況が発生しうるか知っていただく機会として、役立つものを提供したいという想いを実現できたと感じています。

また、アクセス数の多さからも、Bill Oneというプロダクトの認知向上や、インボイス制度に対応するならBill One、というブランディングに繋がったと考えています。

CREATIVE SURVEYは単なるアンケートツールではなく、クイズコンテンツや診断コンテンツといった “顧客とのコミュニケーションを図るためのツール” としての可能性がまだまだあると感じていますので、今後も企画の中でCREATIVE SURVEYを活用していきたいと思います。

社名
Sansan株式会社
事業内容
働き方を変えるDXサービスの企画・開発・販売
主なサービス:営業DXサービス「Sansan」、キャリアプロフィール「Eight」、インボイス管理サービス「Bill One」、契約DXサービス「Contract One」
従業員数
1,344人(単体/2023年5月31日時点)

※ページ上の各種情報は2023年8月3日時点のものです。