セールス業務に「CREATIVE SURVEY for Salesforce」を導入し、商談の確度アップを目指す

Sansan株式会社

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Sansan株式会社様は、名刺管理クラウドサービスの企画・開発・販売を行なう国内最大規模のSaaS(Software as a Service)企業です。法人向け名刺管理サービス「Sansan」の業界シェアは80%を超え、個人向け名刺アプリ「Eight」の会員数は200万人を突破。2019年6月には東証マザーズに上場しました。

同社では、クラウド型CRM/SFAシステム「Salesforce」と「CREATIVE SURVEY」を連携させた「CREATIVE SURVEY for Salesforce」をセールス業務にご活用いただいています。導入のねらいや運用方法、メリットなどについて、Sansan事業部セールスディベロップメント部企画グループの西様と蔭山様にお伺いしました。

西様(左):営業戦略の企画や運用ルール策定、社内調整などをご担当
蔭山様(右):Salesforceの改修やマルケトの設定変更などシステム領域の保守運用をご担当

※以下敬称略

属人的な営業スタイルを改め、フェーズ管理の精度を高めたい

Q:はじめに、セールスディベロップメント部の業務内容と御社の営業フローを教えていただけますか。

西:セールスディベロップメント部はインサイドセールスを担当する部署です。セールスディベロップメント部のほか、マーケティング部、営業部門、カスタマーサクセス部などに分かれていて、分業しながらお客様との関係性を構築しています。

基本的にマーケティング部がセミナー・イベントなどを実施し、獲得したリードに対してセールスディベロップメント部が電話をし、アポイントを設定。アポ後は営業部門のフィールドセールス担当者がお客様を訪問・商談をし、受注に至った場合はカスタマーサクセス部が導入後のサポートにあたります。 セールスディベロップメント部としては、営業戦略の設計やお客様のデータベース管理・分析なども幅広く行なっています。

蔭山:買取型のライセンスビジネスやソフトウェアビジネスと違い、SaaSは「長く使い続けてもらえる」ような仕組みづくりが重要になってきます。そのため、SaaS業者としては営業活動を分業しながら効果的にサイクルを回し、お客様に新たな価値を提供し続ける必要があるんです。

Q:「新たな価値の提供」は既存のお客様に対して?

蔭山:はい。これまでは「Sansan」という名刺管理ツールを新規購入し、継続使用してもらうことにビジネスの力点を置いていました。でも今は、ご愛用いただいている既存のお客様に対しても、新たな価値・サービスを提供すべきフェーズに入っています。 そのため、セールスディベロップメント部としても、サービスを購入してくださった既存のお客様に対し、新規サービスを提案するアプローチの仕組みを構築しつつあります。

私たちがいる企画グループがその推進役として、関連部署と調整しながら進めています。例えば、「既存フローを踏襲すればいいのか、新しくルートを作るべきなのか」などの課題を洗い出して対応策を練ったり、運用ルールを作ったりしています。

Q:セールスディベロップメント部の業務は幅広いですね。特に重要な役割は何でしょうか?

西:セールスディベロップメント部は、営業戦略の設計やお客様のデータベース管理・分析なども幅広く行なっていますが、最も重要な役割はマーケティング部との連携です。 「獲得したリードの質はどうか」「お客様はマーケティング部が想定した反応をしているか」などのフィードバック情報は常に共有していますし、マルケトやSalesforceの改修も連携しながら進めています。

Q:部署間で連携しながらリードの期待値を見極めているのですね

西:はい。「どんなリードが好ましいか」「どういうリードにアプローチしたいか」というメンバーの要望もしっかりと受け取り、マーケティング部にフィードバックしています。 また、獲得したリードへの対応方法についてもマーケティング部とすり合わせます。例えば「Japan IT Week」のような大規模な展示会だと、一気に3,000枚程度の名刺が入ってきます。それに対し、消化日数を考えつつ「温度感が下がらないよう、この時期は行動量を増やしましょう」とか「強化期間中はオンライン系のアプローチは控え、展示会対応が落ち着くであろう3ヶ月後のタイミングで流入するようにしましょう」といった方針の調整を行ないます。

Q:お二人の役割の違いについて教えてください

西:基本的に私が企画や他部門との折衝・取りまとめをし、それを受けて蔭山がセールスフォースの改修やマルケトの設計変更などのシステム領域の実務を行なっています。施策ごとにオペレーション上の課題は出てくるので、全体的な方針をこちらで設計しつつ、蔭山が必要に応じてシステム開発やアシスタントさんへの作業の割り振りをする流れです。

蔭山: 今回のCREATIVE SURVEYを用いた取り組みについても、西と私で分業しています。「お客様にどうアプローチするか」「どのような目的を達成させるためのものか」などについて営業とコミュニケーションしながら調整し、運用の方針を決めるのが西の役割。それに対し、「何ができて何ができないのか」「Salesforceに搭載してもトラブルが起こらないか」などをオペレーションの観点から私が検討します。

Q:一連のセールス業務において、どのフェーズで「CREATIVE SURVEY for Salesforce」をご利用いただいていますか?

西:おもに、中小企業を担当しているフィールドセールスの初回訪問後、お客様に感想などを伺うために利用しています。CREATIVE SURVEY for Salesforceは色々な顧客接点に役立ちそうだと思い、まずはトライアル的に導入しました。

蔭山:アンケートでは、初回商談の感想や営業担当者の評価、ご提案したサービスを検討する度合い、導入検討にあたり不足している情報の有無などを聞いています。CREATIVE SURVEY for Salesforceは、回答内容に応じて次の質問を分岐させられます。意図したフロー通りに見やすくアンケートを作成できるので便利ですね。

西:中小企業担当のフィールドセールスは新人が多く、商談に不慣れなため営業ヒアリングの質にバラツキが出やすいです。アンケートの導入は、情報の足並みを揃えて商談の「読み」の精度を上げるねらいがあります。

アンケートでは、サービスの導入意向について「検討中・検討していない・未定」の3択で聞いています。そして、検討中・未定については「他社の検討有無」や他に必要な情報・資料などを記入してもらいます。 新人はそのあたりの情報をしっかりと握れず、2回目以降の商談がかみ合わなくなることがあるんです。なかには「どのような役回りをされていますか」といった基本情報さえ、なぜか抵抗があって聞けない人も。 お客様は話を進めたいのに「また同じ話をされちゃった」「そういう話が聞きたいわけじゃないんだけどな」と感じると印象が悪くなってしまいます。その点、アンケートツールを導入すれば、お客様からのフィードバックの質が保たれ、フェーズ管理もしやすくなると考えました。

Q:商談の「読み」の精度を高めることが課題だったのですか?

蔭山:はい。これまで、商談後のフォローは属人的で「商談がどの段階まで進んでいるか」「受注見込みはどれくらいか」などは営業担当者が個別に判断していました。細かく詰めるかどうかは上司次第、フォローメールを送るかどうかも自己判断という状態。ですが、担当者の感覚値に頼っていると、お客様の温度感を正確に把握できず、認識にズレが生じてしまいます。そこを解消し、読みの数字を確かにすることがCREATIVE SURVEY for Salesforceの大きな役割です。

西:弊社は、セールスの進捗状況をP1からP7の7段階に分けた「フェーズ管理」をしていて、管理が適切であれば受注見込みも、より正確に把握できます。フェーズごとに受注見込みの割合と金額を出す際、新人はどうしても「読み」の精度が甘くなりがちです。社内では「読みの精度が高い人=トッププレーヤー」として評価されます。「隠し案件」のようなものは瞬間的な売上アップにはなりますが、再現性がありません。それに、属人的な営業スタイルを続けるのは、会社としても非効率です。そういう課題認識のもと、従来のABC分析より細かくフェーズを分け、定義を明文化したうえでお客様への商談後フォローにアンケートを役立てています。

Q:CREATIVE SURVEY単体としては、以前からご利用いただいていますね

西:はい。マーケティング部門でリードナーチャリングを始める際に導入しました。当時の課題は、セールスディベロップメント部が落としたリードを「リサイクル」するためのヒアリング方法。リサイクルにつながるアンケート設計も、マーケティング部と連携して行ないました。

運用を軌道に乗せるには、シンプルなオペレーションが重要

Q:アンケートの運用方法や配信数、回答率について教えてください。

蔭山:初回訪問によってフェーズが進んだ案件について、商談翌日にセールスディベロップメント部が一律で送信する流れになっています。受注・失注でない限り、すべての商談が対象です。1日あたりの配信数は平均12〜13件、回答率は約3割です。

アンケートは、営業からのフォローメールとは別に「会社から」送付する位置づけ。送付するかどうかを担当者に判断させないようにしています。

西: アンケート後のアクションは、回答内容によって分岐させています。担当者をメンションし、「お客様はこういう資料を欲しがっていますね」「提案内容にあまり満足されていないようです」などとアドバイスするほか、必要に応じてマネジメント層に報告したり、インサイドセールスからお客様にフォローの電話を入れたりすることもあります。

回答内容は営業担当者や上長も見ることができるオープン情報。社内のコミュニケーションはSalesforce内のチャット機能で行なっています。適宜報告・アドバイスをすることで、担当者本人が自身の営業ヒアリングの問題点に気づきやすくなります。

Q:導入・運用にあたって、気をつけたことはありますか?

西:おもに3点あります。1つ目は、オペレーションを簡潔にすることです。新しいツールの運用を軌道に乗せるには「シンプルであること」が重要だと思うので、複雑な使い方にならないよう気をつけました。 2つ目は、営業の役に立つ質問をすること。意味のない質問があると無駄な工数を増やすことになるため、質問を厳選するよう心がけました。3つ目は、アンケートを初回訪問の翌日に送付することです。日が経つと回答率が下がるため、できる限り早いタイミングで送付するようにルール化しています。

コストがかかるツールは、いつか使用をやめる話になるため、できる限りコストを抑えながら運用したい。そのためにも、アンケートは「初回商談の良し悪し」の分岐となるフェーズに一旦絞っているところです。

蔭山:アンケートの導入でセールス業務の工程が増え、営業に「手間だな」と思われたら元も子もありません。ですから、全部Salesforce上で済む状態にしたかったんです。Salesforceとアンケートツールが分かれていると、それぞれの情報を確認するのが面倒ですが、CREATIVE SURVEY for Salesforceは顧客情報やアンケートの回答を同じ画面で確認できるので手間感がありません。 また、アンケートの送信設定もSalesforce上で簡単にできるため、日々の配信作業もスピーディーに実施できています。

機会損失を防ぎ、案件をフェーズアップしやすくなった

Q:「CREATIVE SURVEY for Salesforce」をご利用いただき、どのような効果を感じていますか?

西:効果を最も感じているのは、案件化率(商談化率)が上昇したこと。初回訪問後にお客様の感想や要望をしっかりと把握することで、きちんと案件化させられるようになりました。ヒアリングの精度を高め、フェーズ1から2へ、2から3へと着実にフェーズアップすれば、結果的に受注率アップにもつながると期待しています。 それから、営業にとっては次回商談に役立つ情報源になっていると思います。アンケートでは他社の検討状況や次回以降の商談に必要なものをお聞きしているので、提案や交渉に活かせます。

蔭山:例えば「こういう他社サービスも検討しています」とか、ヒアリングの際は話題にならなかったような想定外の回答が得られることも魅力です。お客様が言いそびれたことなどはアンケートのフリー回答欄に書いていただけるので、それを踏まえて有意義な商談ができるようになります。

Q:当初の課題解消には役立っていますか?

西:はい。新人のヒアリング漏れや認識のズレによる機会損失を防げています。実際、担当者が「失注した」と思っていた案件について、実はお客様はまだ明確な態度をとっておらず、検討中だったとアンケートで判明した事例が数件ありました。そのままだと機会損失していたところなので、アンケートを導入して良かったです。

蔭山:営業担当者にとっても、上長などからアンケートのフィードバックを受けることでさまざまな気づきが得られていると思います。「察し方が違ったんだな」「こういうことを聞いておくべきだった」などの振り返りは、ヒアリングの精度向上にもつながるでしょう。また、ヒアリングで話題にならなかった情報がアンケートで得られる可能性もあります。有益な追加情報を、次のフェーズに向けた営業活動に活かせるところも利点ですね。

Q:お客様のメリットにもつながっているでしょうか?

西:初回訪問後にアンケートを取ることで、お客様に合ったOne to Oneのご提案につながっていると思います。提案内容がお客様のメリットに直結するので、質の高いご提案をするには事前に情報をしっかりと握れるかどうかが重要です。その点、アンケートではより良いご提案に必要な情報が揃えられます。

Q:元々利用していたSalesforce上にCREATIVE SURVEYが加わり、違和感などはありませんでしたか?

西:はい。違和感なく導入できたところも良い点ですね。CREATIVE SURVEYで作成したアンケートはSalesforceに簡単に連携できますし、回答はSalesforceに見やすく表示されるので、混乱なく受け入れられました。

また、CREATIVE SURVEY for Salesforceは、案件だけではなく個人にも情報を紐づけられるところもメリットです。通常、アンケートを外部委託するとスプレッドシート上に全回答が表示されます。そこから各リードに紐づいた個人を一つずつ検索するのは大変手間がかかりますが、CREATIVE SURVEY for Salesforceであれば無駄な遷移をせずに個人情報を確認できます。マーケティングとしても特定の層にメールを配信し、個人に紐づけられるようになるので効率的です。

導入インパクトが大きいマーケティング領域にも活用したい

Q:CREATIVE SURVEY for Salesforce を今後どのように活用していきたいですか?

西:いまは初回訪問後のヒアリングとして利用していますが、リードジェネレーションからカスタマーサクセスまで、どの接点でも活用できそうだなと思っています。導入によるインパクトが強く、回答の母数も大きいので、マーケティングで使うのが効果的かもしれないですね。

マーケティングの段階でリッチな顧客情報が得られれば、インサイドセールスによるアポ電話の確度が上がりますし、より質の高いヒアリングや提案、商談化率の上昇につながりそうです。早い段階でしっかりとお客様の期待感を高め、いい状態で営業に受け渡すことができれば、その先のフェーズアップや受注率にも寄与するのではないでしょうか。 弊社のインサイドセールスは質が高く、社内のあらゆる情報を活用しながらお客様に電話をしています。事前情報をリッチにしてあげることで、さらなる効果が期待できそうです。

Q:そのほかに期待する用途などがあれば教えてください

西:いずれは展示会やイベントでも活用していきたいですね。展示会では、お声掛けしても「検討するので大丈夫です」「まだ情報収集段階なので」と言って立ち去ってしまうお客様が非常に多くて。そこで考えたのが、アンケート回答用のiPadを数台設置した無人ブースです。無人ブースであれば声を掛けられたくない方でも気軽に立ち寄れますし、アンケート回答時に顧客情報を入力していただければリード獲得につながります。

もう少し未来をイメージした場合、名刺をスキャンしたら隣にあるiPadに表示され、同時に欲しい資料を選択できる仕組みができたら便利。お客様の入力の手間が省けますし、リード獲得もできそうなので、実現したらうれしいです。

社名
Sansan株式会社
事業内容
クラウド名刺管理サービスの企画・開発・販売
従業員数

※ページ上の各種情報は2020年2月5日時点のものです。