複数のプロダクトを横断したUX調査の専門組織「UXリサーチセンター」で活用

Sansan株式会社

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Sansan株式会社様は、働き方を変えるDXサービスの企画・開発・販売を行う会社です。2007年に営業DXサービス『Sansan』の提供を開始して以来、ユーザーにとっての本質的な価値を見つめ続け、これまでになかった市場を切り拓くサービスを展開されてきました。

同社では、2021年6月にユーザー体験の調査を行う専門組織「UXリサーチセンター」を発足。さまざまなUX調査に『CREATIVE SURVEY』を活用しています。今回はUXリサーチセンター新設の背景とともに、CREATIVE SURVEY導入の経緯や活用方法、得られている効果について、CPO室UXリサーチセンター UXリサーチャーの大泊 杏奈様と祝原 偉玖様にお話を伺いました。

写真左:大泊様 写真右:祝原様

※以下敬称略            

専門性と客観性を持つ中立的な立場から調査・分析を実施して意思決定に寄与する

Q:貴社の事業内容とご担当の業務を教えてください。

祝原:弊社は「出会いからイノベーションを生み出す」をミッションに掲げ、ビジネスにおける出会いを後押しするサービスを提供している会社です。

大きくは、企業データベースと接点データベースを組み合わせてビジネスチャンスの発見につなげていく営業DXサービス『Sansan』、名刺をスキャンするだけで自分だけのプロフィールを自動作成できるキャリアプロフィール『Eight』、バックオフィス業務の効率化を促進するクラウド請求書受領サービスの『Bill One』、クラウド契約業務サービスの『Contract One』などを展開しています。

大泊:私たちが所属するのは、2021年6月に発足したUXリサーチセンターです。プロダクト横断でUXリサーチを行う部署で、主にプロダクトの開発に関わる調査を実施しています。リサーチャーとデータアナリストの約10名が所属しており、UXの評価・改善の提案を行っていくという業務内容です。

たとえば、既存プロダクトの特定の機能について調査したり、ユーザーインタビューを実施して実際の使い方を調査したりなど、ユーザーの解像度を上げることで開発における意思決定に役立てていきます。各プロダクトマネジャーと協働しながら、定量調査と定性調査を組み合わせてリサーチ・分析にあたっています。

Q:プロダクトを横断したUXリサーチセンターを新設した背景を教えていただけますか?

大泊:弊社はユーザーに本質的な価値を提供することを重視しており、これまでもプロダクトごとにリサーチを行ってきました。しかし、提供するプロダクトが増え、今後もサービス拡充を見据えている中で、より中立的かつスピード感を持ってユーザーの課題の芯を捉え、ユーザー体験を向上していくための体制づくりが重要だと考えました。

これらに対応し、かつ多角的にユーザーに価値を提供していく上で、プロダクトを横断したリサーチ専門組織を設置したという背景です。UXリサーチセンターの役割は、本当に価値あるものをユーザーに提供し続けるために、専門性と客観性を持つ中立的な立場から調査・分析を実施し、プロダクトの意思決定に寄与することです。

また、専門組織とすることでリサーチに関するノウハウや知見が蓄積されやすくなり、プロセスの最適化や高度な分析が可能になるというメリットも見込んでいます。

UXリサーチセンターの位置づけ。プロダクトユニットから独立することで中立的かつ効率的に調査をおこなう 
参照 https://buildersbox.corp-sansan.com/entry/2022/01/19/110000

Q:『CREATIVE SURVEY』を導入した経緯と選んだ理由を教えてください。

祝原:以前から利用していたサーベイツールは多機能である反面、コストが高いという課題感がありました。また、海外のツールだったため、サポートが英語だったりレスポンスに時差があったりして、やり取りに時間がかかるなど使いにくさを感じていました。

そこで、自分たちがやりたいことをもっとスムーズにできるアンケートのサービスを検討し、CREATIVE SURVEYの導入を決めたという経緯です。

コストを下げようと思うと、どうしても機能が削られていくことになるのですが、CREATIVE SURVEYはスキップロジック(回答内容に応じて表示する質問を変える分岐機能)や、単純集計が画面上で即時に可視化されるなど、必要な機能が押さえられていた点も決め手になりました。

アンケート調査とユーザーインタビューを並行して実施し、ユーザー理解を深めている

Q:現在、CREATIVE SURVEYをどのように活用していますか? 

大泊:現在はプロダクト開発にともなう調査が多いです。たとえば、特定の機能を改善するにあたって「この機能を使っているユーザー」というように、対象者を抽出してアンケートを実施しています。

調査プロジェクトにもよりますが、プロダクトマネジャーとすり合わせながら調査設計をするなど、一緒に進めていくケースが多いですね。現在は4つのプロダクトがあるのですが、ひとつのプロダクトで、少なくとも月に1回、もしくはそれ以上のペースでアンケートを実施しているので、全体では月に5件以上はアンケート調査を行っています。

分析をする際は、たとえば利用頻度やよく使う機能などのログデータとアンケート結果を紐づけて比較するなどして、より深い知見を得られるようにしています。

祝原:アンケートで許諾を得た方に、ユーザーインタビューを実施することもあります。対象者をリクルーティングするためのアンケートにも活用しているので、それを含めると実施回数はもっと多くなります。このほかにも、定点調査やNPS®にも活用しています。

大泊:UXリサーチセンターでは、定量調査と定性調査を組み合わせてユーザー理解を深めていくことが重要だと考えているため、アンケート調査とユーザーへのデプスインタビューを並行して行うケースが多くなっています。年間1人100本を目標としていて、センター全体として年間数百名のユーザーインタビューを実施しています。

アンケートイメージ

Q:アンケートの具体的な実施フローを教えていただけますか?

大泊:UXリサーチセンターには私たちが所属する実際に調査にあたる実査チームと、ログ解析などを行っているデータアナリシスチームがあります。調査プロジェクトが立ち上がったら、まずデータアナリシスチームに対象者を抽出してもらいます。たとえば「この機能を使っている人」「最近アクティブな人」という形です。

実査チームは調査内容を設計してアンケート画面をつくり、回答者を識別できるように固有URLを設定した上でメール配信するというのが通常の流れです。その後、回答結果を集計・分析して、プロダクトマネジャーにレポーティングします。

祝原:プロダクトの画面を開いたときに「アンケートへのご協力をお願いします」といったポップアップを表示させて回答を集めることもあります。幅広い対象者に向けてアンケートを取りたい場合などは、こうした方法もとっています。

Q:調査テーマの起案や調査設計はどのようにおこなっていますか??

大泊:アンケートを作成する前に、社内で情報収集をしています。営業メンバーから現場でのお客様の声をヒアリングするほか、カスタマーサクセスの部署などからのお客様からのご意見はチャットツールで全社共有しているので、そうした情報をもとに仮説を立てて、質問内容や選択肢を検討しています。

また、リサーチの結果についても今まではプロダクトマネジャーやデザイナーといったそのプロジェクトに関わっているメンバーしか見る機会がなかったのですが、営業などのメンバーも自社のプロダクトのことだし、気になるよねというのがあり、チャットツールに専用のチャンネルを作るようにして、そこで調査結果は共有するというのは数ヶ月ぐらい前からやりはじめたところです。

アンケート作成から調査結果の共有までスピーディに対応できるようになった

Q:CREATIVE SURVEYを導入して、どのような効果・メリットがありましたか?

大泊:以前使っていた海外のサーベイツールは結果を可視化できるツールではありましたが、自分たちで設計しないといけなかったため、すぐには確認できませんでした。CREATIVE SURVEYは自動的にグラフ化される機能があるので、私たちが手を動かさなくても速報をすぐに共有できるようになりました。

また、以前のツールはサンプル数による課金モデルだったので、大きなサンプル数を集めたくても躊躇することがありました。現在のCREATIVE SURVEYの契約ではサンプル数を気にせずに利用できるので、大規模な調査から出現率が低そうなニッチな調査まで気軽に使えるところが非常に助かっています。

祝原:案件にもよりますが、調査プロジェクトが立ち上がったら2週間以内にはアンケートを実施できるスピード感を目標にしています。

海外のサーベイツールを使っていたときは、たとえば複雑なスキップロジックを組みたいといった問い合わせをしたときに英語でのやり取りになるため、コミュニケーションの齟齬や時間、商習慣の違いからストレスがかかることがありました。CREATIVE SURVEYを導入してからはそうした問題も解消され、スピーディにアンケートを作成できるようになりました。

大泊:CREATIVE SURVEYはヘルプページもわかりやすいですし、込み入ったことを知りたい場合には担当の方が手厚くサポートしてくれるので助かっています。

UXリサーチセンターでのCREATIVE SURVEY活用イメージ

Q:最後に、UXリサーチセンターとして今後目指していることを教えていただけますか?

祝原:UXリサーチの専門組織を配置している企業は、日本ではまだ少ないと思います。着実に成果を出して「UXリサーチといえばSansanだよね」といわれるような日本一の組織にしていきたいです。

大泊:ユーザー体験の向上が重要という認識は広がりつつありますが、実際には開発部門がリサーチを兼ねたり、デザイナーが調査をしながら制作していたりというケースが多いと思います。弊社ではいち早く専門組織を立ち上げて取り組んでいるので、業界のUX向上の仕組み化をけん引していけるようなポジションを目指していきたいです。

ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そして NPS 関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

社名
Sansan株式会社
事業内容
働き方を変えるDXサービスの企画・開発・販売、営業DXサービス「Sansan」、キャリアプロフィール「Eight」、クラウド請求書受領サービス「Bill One」、クラウド契約業務サービス「Contract One」
従業員数
1,166人(単体/2022年5月31日時点)

※ページ上の各種情報は2022年8月16日時点のものです。