ブランド認知度調査・ブランドイメージ調査・競合調査|設計ポイントと質問項目例

商品・サービスの競争力を高める上で、欠かせない取り組みとなっているのがブランド力の強化です。本記事では、自社のブランド力を客観的に把握できるブランド認知度調査・ブランドイメージ調査・競合調査について、それぞれの設計ポイントと質問項目の例を紹介します。

ブランド調査とは

 ブランド調査とは

ブランド調査とは、商品・サービスや企業自体のブランド力を測る調査のことです。

そもそもブランドとは他社との違いを表すものであり、消費者の中に形成される目には見えないものです。したがって「ブランド力が高い」とは、消費者の頭の中で他社との違いが明確になっており、さらにその価値が評価されている状態といえます。

ブランド調査によって自社のブランド力を客観的に把握することで、プロダクト・サービスの改善や販売戦略、広報・PRなど様々な施策に役立てることができます。

ブランド調査の種類と目的

ブランド調査の種類には大きく次の3つがあります。それぞれの実施目的と特徴を見ていきます。

ブランド認知度調査

ブランド認知度調査とは、ブランドがどれくらい認知されているかを測定するものです。ある年代においては認知度が高いものの、それ以外には認知されていないといった実態を把握できます。

ブランド認知度を測る上では、想起率が多く用いられています。想起率には、純粋想起率と助成想起率の2つがあります。

●純粋想起率

特定のジャンルにおいて自社の商品・サービスがどれくらいの割合で想起されるのか計測するものです。たとえば「缶コーヒーといえば?」という質問に対し、高い割合で名前が思い浮かぶブランドは純粋想起率が高いということです。なかでも真っ先に名前があがるブランドは、第一想起(トップオブマインド)と呼ばれています。

●助成想起率

いくつかのブランド名を提示するなどのヒントを与えて、認知されている割合を測ります。たとえば「知っているミネラルウォーターのブランドを選んでください」という質問に対していくつかの選択肢を提示し、その中から選んでもらいます。

想起率の調査を用いることで、競合と比較した際のブランド認知度を明確に把握できます。

ブランドイメージ調査

ブランドイメージ調査とは、消費者がブランドに対してどのようなイメージを抱いているのかを把握するための調査です。ブランドへの好感度を測れるほか、ブランドコンセプトと実際のイメージとのギャップがわかるなど、次の施策につなげることができます。

また、性別・年代・職業といった属性ごとのイメージの特徴やブランドのポジションも明確にすることが可能です。ポートフォリオ分析を用いて競合との違いを可視化し、自社の強み・弱みや市場におけるポジショニングを明確にすることもできます。

競合調査

競合調査とは、ベンチマークする競合と自社との差異を調べるものです。自社の強み・弱みや市場のポテンシャルを明らかにすることで、競争優位性を高めるための施策につなげることが主な実施目的です。

競合調査は、実施目的によって比較すべき項目が変わります。例を挙げると、商品・サービスの特徴や顧客層、価格帯、ビジネスモデルなどがあります。これらのデータを収集・分析し、自社の差別化要素を明確にするなどして次のアクションに活かしていきます。

なお、競合調査で多く用いられる分析手法には、次のものがあります。

●3C分析:顧客・競合・自社の視点から分析

●4P分析:プロダクト・プライス・プレイス・プロモーションの視点で分析

●SWOT分析:内部要因と外部要因から自社を取り巻く環境を分析

●バリューチェーン分析:資材調達から製造、物流、販売、サービスなど事業活動における価値を分析

ブランド調査の活用シーン

ブランド調査は、プロダクトやサービスの改善のほか、マーケティング活動の様々な場面で活用されています。

●ブランド認知度調査の活用例

・ブランド認知度を定点観測して次のアクションに活かす
・広告やキャンペーン施策によって認知度が高まったのかを効果測定する

●ブランドイメージ調査の活用例

・ブランドの好感度やポジショニングを定点観測して次のアクションに活かす

・広告やキャンペーン施策によってイメージの変容があったのか、購買意欲や利用実態に変化があったのかなどを効果測定する

・自社ブランドへのロイヤリティが高い層のペルソナを作成する

●競合調査の活用例

・新商品や新規サービスの開発にあたって、差別化要素を明確にする

・ビジネスモデルやマーケティング戦略を再考する

・広告やプロモーション戦略を設計するにあたって、他社との差別化要素を明らかにする

ブランド認知度調査の設計と質問項目の例

ブランド認知度調査の設計と質問項目の例

ブランド認知度調査の設計では、どのような点に留意すべきなのか見ていきましょう。

調査設計のポイント

ブランド認知度調査は自社のブランドがどれくらい認知されているかを測定することが目的のため、多くのデータを集められるアンケートを使って定量調査を行うのが一般的です。調査設計では、できるだけ対象者に偏りが出ないようにすることがデータの精度を高めるポイントになります。

また、ブランド認知度調査は広告やキャンペーンの効果測定にも多く活用されています。この場合に注意したいのは、施策前後の変化を検証できるようにしておく必要があるということです。そのため、少なくても事前・事後の2回の調査、あるいは半年に1回程度定期的に調査を実施するなど、あらかじめ計画を立てておく必要があります。

質問項目の例

以下に、基本的な質問項目の例を挙げます。実際には実施目的やブランドにあった質問になるよう修正していきますが、参考にしてください。

Q. あなたが知っている○○(ジャンル)のブランドを教えてください。(純粋想起)

Q. 次のうち、あなたが知っているブランドをすべて選んでください。(助成想起)

 (分岐質問例:あなたが知っているブランドについて、どの程度好きかを選んでください)

 (分岐質問例:あなたがそのブランドを知ったきっかけを選んでください)

Q. 次のうち、あなたが購入したことがあるブランドをすべて選んでください。

Q. 次のうち、あなたが1年以内に購入したことがあるブランドをすべて選んでください。

ブランドイメージ調査の設計と質問項目の例

ブランドイメージ調査の設計と質問項目の例

ブランドイメージ調査は、消費者が抱いているイメージを明らかにするものです。消費者にとってはブランドの認知・想起とイメージは紐づいているため、ブランド認知度調査と一緒に実施するケースもあります。

調査設計のポイント

ブランドイメージ調査の設計では、対象者の絞り込みに注意が必要です。調査するジャンルのブランドをある程度知っている対象者でなければ、有益な回答を得られない可能性があります。逆に自社のファン層に偏ってしまうと、他社との比較においてデータの精度が低くなってしまう可能性があるため注意しましょう。

また、アンケートでイメージ調査を行う場合、イメージキーワードを複数提示して、該当するものを選んでもらう形式が一般的です。イメージキーワードを選定する際に次の点を意識しながら設定すると、ポジショニングの分析がしやすくなります。

●自社が想定している(望んでいる)イメージ

●競合他社に当てはまるイメージ

●市場ニーズが高いと想定されるイメージ

このほか、アンケートに自由記述式の回答欄を設け、アフターコーディングやテキストマイニングなどの手法を用いて分析する方法もあります。

質問項目の例

以下に一般的な質問項目の例を挙げます。

Q. ○○(ブランド名)について、以下の言葉がどの程度当てはまりますか?

 (イメージキーワードを複数提示して、「とてもそう思う・そう思う・どちらともいえない・そう思わない・まったくそう思わない」から選択)

Q. ○○(ブランド名)に、どの程度の好感を持っていますか?

競合調査の設計と質問項目の例

競合調査の設計と質問項目の例

競合調査の設計時に留意すべきポイントと、質問項目の例を見ていきます。

調査設計のポイント

競合調査では、まず調査対象とする企業または商品・サービスを選定する必要があります。一般的には3〜10社程度に絞り込みます。調査目的に応じて、以下の観点から選定するとよいでしょう。

●商品・サービスが類似している(特徴・価格帯・規模感など)

●ターゲットの属性が類似している(または狙いたいターゲット層が利用している)

●ビジネスモデルが類似している

●市場シェアが大きい、成長性が著しいなど注目したい企業

質問項目の例

競合調査は、背景にある課題や実施目的によって質問項目が変わります。ここでは、どのような情報を集めるべきか整理しました。

●ビジネスの構造

事業規模・顧客層・販売経路・マーケティング戦略・オペレーションなど

●商品・サービスの特徴

取り扱っている商材の構成・価格帯・サービス体制など

●販売戦略
Webサイトのコンテンツ、SNS、購入・問い合わせ対応など

ブランド戦略に活かすには変化の推移を観察する継続的な調査が大切

市場のコモディティ化が進む今、ブランド力は企業の成長を左右するものになりつつあります。ブランド力を高めるための第一歩は、ユーザーの声を知り、自社の強み・弱みを客観的に把握することです。また、ブランド戦略を実践していく上では、変化の推移を観察することも重要になります。継続的な調査を行い、アクションの成功率を高めていきましょう。

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