報告書を紙からSalesforceと双方向に連携したデジタルフォームに移行。データを正確に集め、業務効率を向上
株式会社ネクサス・アールホールディングス
- データマネジメント
- 建設・不動産
課題
- 紙の報告書では記載内容を制御できないうえに、Salesforceへ転記する工数が生じていた
施策
- 直感的に入力できるiPadでの入力フォームインターフェースを作成
- Salesforceのデータをフォームの初期値として表示
結果
- 回収したデータに異常値がなくなり必要なデータの確実な収集が可能に
- 蓄積したデータを営業やマーケティングに活用
株式会社ネクサス・アールホールディングス様は、戸建のハウスメンテナンス・ハウスリフォームを中心に、新築注文戸建、マンションのリノベーション、中古住宅再販等の事業をグループとして展開し、グループ内のWebマーケティングやITの活用を推進しています。
同社はお客様訪問時の報告書をiPadからSalesforceへと入力するインターフェースとして、『CREATIVE SURVEY for Salesforce』を活用しています。導入の経緯や操作環境の開発、得られているメリットについて、同社の鈴木様と、開発支援を実施された株式会社KCS様の塩塚様、山本様にお話を伺いました。
※以下、敬称略
iPad上の直感的なUIは、CREATIVE SURVEY for Salesforceでしか実現できなかった
Q.貴社の事業内容とご担当の業務を教えてください。
鈴木:弊社を含む、ネクサスRグループでは、関東エリアから、北は宮城、西は愛知・三重・滋賀といったエリアまでの10拠点で、個人のお客様の戸建て住宅におけるメンテナンスやリフォームを提供しています。
私はリフォーム事業部の管理における経営企画や、システム導入から保守運用、および得た電子データの利活用等を担当しています。
Q.貴社ではSalesforceをどのように活用しているのか教えてください。
鈴木:弊社では以前よりSalesforceを導入していましたが、利用実態は売上の集計など、ごく一部の業務負担軽減に留まっていました。具体的には、リフォーム工事の契約実績に基づいた売上集計に利用しており、それそのものはExcelのピボットテーブルで行える内容ではあるものの、Salesforceを用いて管理していました。
このようにSalesforceの利用が限定的な状況が2019年ごろまで続いていたのですが、ホールディングス化に伴い、事業を拡大させていくために蓄積したデータを有効に活用しようという議論が起こりました。当初はゼロベースで社内システムを作ろうかという話もありましたが、莫大なデータを取り扱う構造を単独で作り上げるのは難しいと判断し、元々利用していたSalesforceをより本格的に活用するために新しい環境を構築する方向で動き出しました。現在は、データ管理の面では、顧客情報をはじめ、訪問や契約、発注や原価等の実績全てをSalesforceで一元管理しています。
他方、外勤スタッフの負荷軽減の面から、プロジェクトの要の一つとして、帳票を絡めた業務改善とUI改善にも取り組みました。弊社が施工させていただいた施主様(お客様宅)に、定期的にサービススタッフが訪問し、そこで点検した内容を記す「メンテナンス報告書」という帳票があるのですが、これが紙ベースであったためにサービススタッフが記入する工数やそれをシステムに転記する工数も発生しておりました。これを全て電子化し効率的にSalesforceへデータ蓄積できる仕組みをCREATIVE SURVEY for Salesforceを活用して整えました。
Q.CREATIVE SURVEY for Salesforceの導入に至った経緯について教えてください。
鈴木:先ほどの新しいSalesforce組織の構築において、現場で伴走支援をしていただく会社を探しており、Salesforceの営業の方から紹介を受け株式会社KCS様にお願いする形になりました。
塩塚:弊社は株式会社KCSと申しまして、Salesforceの導入・活用支援を行っています。導入支援の実績は50社ほどあり、私はマネージャとしてお客様のご要望のヒアリングからプロジェクト提案、プロジェクト開始となりましたら要件定義から設計開発テストリリースまで、お客様のSalesforceの導入・活用にあたって一環した伴走支援を行っています。
山本:私は塩塚様の下でネクサス様のプロジェクト当初から参画しておりまして、今回のCREATIVE SURVEY for Salesforceの導入につきましても、Salesforceとのデータ連携に関する設定作業や、ネクサス様の運用に合わせた機能開発などに携わっております。
鈴木:KCS様に支援いただきSalesfoceの構築は進められたのですが、サービススタッフが入力することになるiPad上でのSalesforce画面UIが誰もが簡単に使えるものでない点に課題を感じていました。具体的には、Salesforceの管理画面ではラベル・項目の2列の表示を変更できなかったり、複数の回答をしたい場合にはセレクトボックス式となるなど、iPadにおけるタッチ操作のUIとマッチしない点を解消しないといけません。
そこで、Salesforce上で使える帳票ツールを検討しましたが、それらはあくまで紙ベースの帳票をそのままの見た目でSalesforceで再現ができるという、導入支援寄りのツールでした。弊社としては、そもそも現状の帳票についても改善の余地があると感じていたため、さらに入力しやすく、業務改善につながる帳票を作成したいと考え、再度ツールの検討をKCS様に依頼しました。
塩塚:鈴木様から現場で手軽に入力できるUIを優先させたいというご要望を伺い、帳票をそのまま再現するツールではなく、画面のカスタマイズ性に優れたSalesforceのアプリがないかと検索したところ、AppExchangeにCREATIVE SURVEY for Salesforceが掲載されており、お問い合わせしたという経緯になります。
鈴木:サービススタッフがiPadで操作する上で目指したかったのが、コンビニエンスストアのレジのタッチパネルでの支払い方法選択のような、誰でも使い方がすぐに分かるUIでした。
操作マニュアルがなくても直感的に認識できるようなUIにしたかったので、CREATIVE SURVEY for Salesforceの紹介を受けて、これであれば誰が見ても直感的に操作ができるUIを実現できると考えました。
Salesforceのデータを連動させフォームの初期値として表示。業務の効率化を実現
Q.CREATIVE SURVEY for Salesforceを活用した施策について教えてください。
鈴木:これまで紙で扱っていた帳票類を将来的に全て電子化したいと考え、施策を打ってきました。
最初は、お客様へ訪問した際のメンテナンス報告書を電子化しました。従来は手書きで書かれた帳票を、支店の事務がSalesforceに転記していたものを、訪問するサービススタッフがCREATIVE SURVEY for Salesforceで作成したフォームにiPadから入力することで、リアルタイムにSalesforce上にメンテナンス報告内容が連携される形にしました。
これによって工数を削減できたのに加えて、紙だと欄外に書いたり必要項目を書かなかったりといったケースがありましたが、必須入力や入力規則の制御ができるようになり、確実にデータを取得することができるようになりました。
メンテナンス訪問は多くの場合、定期的に繰り返し行うため、Salesforce上にデータがないお客様は新規で登録をするのに対して、2回目以降のお客様の場合はあらかじめフォーム上に前回の内容を初期値としてデフォルト表示させ、必要な部分のみを書き換えられるようKCS様に設定していただきました。
iPadでのフリック入力が苦手なスタッフも容易に入力できるように、スマートフォンでも対応可能なフォーム設計にするといった工夫もしています。
Q.フォーム上の初期値の設定は、どのようにして実現していますか?
塩塚:Salesforce上の帳票項目のデータを回答値のパラメータとしてCREATIVE SURVEY for Salesforceに渡しデータを連携しています。
山本:メンテナンス報告フォームの回答リンクや二次元バーコードはSalesforce上で生成しています。
鈴木:フォームに対応する中間オブジェクトを作成し、各設問とSalesforce上の項目の対応を定義することでデータの連携ができるというイメージで、CREATIVE SURVEY for Salesforceに回答を連携しています。
これにより、以前に入力した内容を再度入力することを避けるというUXの改善や、データの不整合を防ぐことが可能になりました。
Q.具体的なアンケートの運用や、回答データの活用方法について教えてください。
鈴木:お客様先に訪問したサービススタッフは、点検、訪問後にiPadからフォームに入力し、報告をしています。
入力された内容は、Salesforce上に蓄積され、お客様の基本情報として次回以降の訪問時に参照できるようにしています。お客様ごとに物件の特徴に合わせ、次回訪問時に営業を行う準備に役立てています。
また、例えばソーラーパネルや蓄電池を使用しているお客様という属性でSalesforce上で絞り込み、その方々を対象としたマーケティング施策・経営施策を行うといった活動につなげています。
機能が充実しているからこそ、要望を実現できた
Q.CREATIVE SURVEY for Salesforceを導入したことで、どのような効果・メリットを感じていますか?
鈴木:繰り返しになりますが、紙で生じていた不整合やフォーマット化されていない入力を制御できた点や、作業工数を削減できたという点が大きなメリットに感じています。
まだ運用を開始して半年ですが、音声入力を用いて入力を効率化させていたりと、スタッフが使いこなしている声も聞いています。
フォーム上に前回の内容を初期値として表示させ、重複する情報を入力しなくて良い運用にした点については、訪問が1年単位のためまだ2回目の訪問の実施はありませんが、いずれ体験したスタッフから喜びの声が上がると期待しています。
Q.CREATIVE SURVEY for Salesforceの機能やサポート体制はいかがでしたか?
塩塚:導入初期の支援にあたって、鈴木様のご要望を実現できなかったというところはなかったので、それほど機能が充実しているツールなのだと思います。カスタマーサクセスの担当者さんからもQAを繰り返しながら、細やかにレクチャーをしていただきました。
鈴木:ユーザーの視点でも、丁寧に対応いただけたと思っています。対応していただける方のシステムに対する理解度が高く、的確にコミュニケーションをとっていただけたと思います。一般的にはシステムに関する話はエンジニアに聞かないとわかりません、という返答が返ってくることが多いですが、クリエイティブサーベイの方は職種に関わらずシステム理解度が高かった印象です。
Q.CREATIVE SURVEY for Salesforceを用いて、今後取り組みたい施策はありますか?
鈴木:メンテナンス報告書以外においても、帳票の電子化を進めていきたいと考えています。特に、手書きが大変なものから順番に進めようと思います。
具体的には、点検結果の報告書をお客様にお渡しする必要があり、その電子化にあたっては印刷までをセットに考える必要があるので、検討していきます。
※ページ上の各種情報は2024年2月13日時点のものです。