教育機関や学生の声をオフライン/オンラインから集め、サービス体験・品質を向上

丸善雄松堂株式会社

  • マーケティング
  • カスタマーエクスペリエンス
  • 小売・販売店
  • 課題

    • サービス向上のためにVOCを広く集める必要があったが、社外アンケートを実施するには、既存のアンケートシステムでは自社のセキュリティポリシーに合致しなかった
  • 施策

    • サービス向上のヒアリングをExcelアンケートからWebアンケートに切り替えた
    • ウェビナーのお申し込みフォームに使い、その後の事後アンケートにも活用
  • 結果

    • 対面でのヒアリング時よりも多くの顧客接点でVOCを収集することが可能に

丸善雄松堂株式会社様は、書籍・教科書販売をはじめ、教育施設の空間デザイン、運営支援など「知とまなび」に寄り添う事業を展開する会社です。情報・空間・活動を掛け合わせて「まなびのつながり」を育み、多様なまなびの機会を創出しています。

同社では、教育機関や学生に向けたウェビナーアンケートのほか、多様な用途で『CREATIVE SURVEY』を活用しています。導入の経緯や活用方法、得られている成果について、取締役経営本部長の堀場様、学術情報ソリューション事業部企画開発統括部 学生サービスセンター教科書担当部長の荒井様、アカデミック・プロセス・ソリューション事業部の菅野様にお話を伺いました。

写真左:堀場様 写真中央:菅野様 写真右:荒井様

※以下、敬称略

                   

セキュリティの高さと豊富な機能を備えている点が選んだ理由

Q:貴社の事業内容とご担当の業務を教えてください。

堀場:弊社は大学などの教育機関や官公庁、企業に書籍を提供するというところから始まり、現在は「まなび」を促進する環境づくりの支援を多様な角度から提供していく事業へと広がっています。

大きくは「まなびの場の企画・運営」「まなびのコンテンツ」「まなびの空間づくり」の3つの事業を展開しています。

「まなびのコンテンツ」では、学習者・研究者が必要とする学術情報にスムーズにアクセスできるよう、独自のコンテンツ提供やプラットフォーム開発などを行っています。そこから派生した「まなびの空間づくり」では、図書館やラーニングコモンズ、書店、交流スペースなどの空間デザイン・建築、プロデュースを展開しています。「まなびの場の企画・運営」では多様化する学習ニーズに対応する運営支援や人材サービスなどを提供しています。

学習空間の活性化を支援して人と社会に貢献するという観点から、コンテンツ提供、空間設計、オペレーションまでオールインワンで提供するというのが弊社の事業内容です。5年後、10年後にはこれらの事業で得た知見・ノウハウを活用して、教育機関以外の領域にも広げていきたいと考えています。

私は経営本部の所属で、人事・経理・ITが統合された管理部門になります。

荒井:私は学術情報ソリューション事業部企画開発統括部 学生サービスセンターの所属です。もともとは書籍の物販をしていた事業部ですが、現在は従来の「モノ売り」から「コト売り」といったような体験を提供するソリューション事業へと広がっています。主となるお客様は高等教育機関や図書館などです。

私が担当するのは教科書の領域で、2つの形のBtoCを展開しています。一つはECサイトを通じて学生に直接販売するというもの。もう一つは、大学などに学内売店を出店して学内で学生に教科書販売を行うというものです。大学などから委託を受けて、私たちが店舗を運営しています。

菅野:私が所属するのはアカデミック・プロセス・ソリューション事業部です。大学図書館やブックカフェなどの運営を支援する事業を行っている事業部で、業務委託などの形で各施設に人材を提供しています。現在は全国に2,500名以上のスタッフがいます。

昨今は自治体からの依頼も増えていて、地域住民の知育や創発を目指した新しい交流の場づくりの支援も行っています。

Q:CREATIVE SURVEYを導入した経緯と選んだ決め手を教えてください。

堀場:コロナ禍で対面営業や対面販売の機会が少なくなってきたことを受けて、顧客接点を増やすためにウェビナーをスタートしたり、サービス開発や体験向上のために顧客の声VOC(Voice of customer)を集めるという取り組みをはじめることになりました。

これまで社内の簡易的な調査を行うときはMicrosoft Formsを使用していたのですが、社外に向けてアンケートを実施するには弊社のセキュリティポリシーに合致しないという問題が生じました。

いくつかのアンケートシステムを検討しましたが、CREATIVE SURVEYはセキュリティ面をクリアできることに加え、設問設定など機能のバリエーションが豊富で様々なシーンで活用できそうだったことが選んだ理由です。

なかでも私が関心を持ったのは、設問に沿って当てはまる画像を選んでいくと、自分に適したタイプがわかる「診断コンテンツ」(イメージ例)を簡単に作成できることです。先々の活用範囲が広がることも見越した上で選びました。

サービス開発・向上のために様々なタッチポイントでVOCを収集

Q:現在、CREATIVE SURVEYをどのように活用していますか?

荒井:今後さらに教科書の取り扱いを広げていく上で、CREATIVE SURVEYを3つの場面で活用しています。

1つ目は、弊社が開発している教科書基幹システムの開発・運用における社内アンケートです。弊社では店舗販売とECサイトでの販売の両方を行っていますが、教科書はアイテム数が多く販売期間が短いため、効率的に管理・運用することが重要になります。そのため、システムを利用している担当者のVOCをアンケートで集め、システムの改修などに活用しています。具体的には大学の春学期・秋学期の商戦が終わった後、年2回のペースで実施し、利用体験や運用状況などをヒアリングするという使い方です。

2つ目は、学生や教員・職員を対象としたウェビナーの申込フォームと事後アンケートとしての活用です。ウェビナーはコロナ禍で訪問営業ができなくなったことをリカバーするという目的がありますが、一方で授業のやり方も変わりつつあり、電子教科書を広げていく必要性が高まっているタイミングでもありました。そのため、ウェビナーでは電子教科書の説明や弊社のサービス内容についての浸透も図っています。

具体的にいうと弊社の商品・サービスの認知度や導入意向度、ウェビナーの感想といった基本的な設問を用意しているほか、電子教科書についての課題・ニーズをヒアリングする項目も設けています。申込フォームと事後アンケートの運用モデルは汎用的に活用できますし、CREATIVE SURVEYは扱いが非常に簡単なので、現在は他の部署でも様々なフォーラムやオンライン展示会などに活用しています。

3つ目はマーケティング的な用途で学生の声を収集するという活用方法です。弊社ではECで教科書販売を行っているため、数十万単位の学生と接点を持っています。この利点を活かして学生のリアルな声や実態についてアンケートを取り、事業に反映しています。

菅野:アカデミック・プロセス・ソリューション事業部では、お客様の施設で運営に携わるスタッフの研修参加の出欠確認に用いています。メールアドレスといった個人情報の取得が必要になる際、セキュリティ面でも安心して利用できるCREATIVE SURVEYを活用しています。

Q:ウェビナーアンケートで面白い試みをされたそうですが、どのような施策だったのですか?

荒井:「リアルタイムアンケート」のことですね。ウェビナー中にCREATIVE SURVEYの集計結果グラフの画面を視聴されている方に共有しておき、その場でアンケートに回答してもらい、その結果をその場で更新し「グラフのこの部分が伸びました」というように、リアルタイムで参加者に見てもらうという方法です。

ゲスト登壇者にその場でコメントしてもらったりして、参加者も私たち運営者側も大変盛り上がりました。

Q:教科書販売に関する学生向けアンケートではどのような設問内容を設けているのでしょうか?

荒井:今の学生は、ECでしか教科書を購入したことがないというケースも非常に多くなっています。弊社のECサイトの運営にあたって私たちの思い込みがないかどうかを確認する意味で、たとえば「店舗で並んで教科書を購入することについてどう思うか」といった設問を用意しています。また、送料についての価格感度を調べたこともあります。

電子教科書については「紙から電子教科書に切り替わることについてどう思うか」という設問と、その理由についても聞いています。現在はPCやタブレットなどのデバイスを必携としている大学がほとんどですが、その利用実態についてもヒアリングしています。

訪問営業に加えアンケートでのヒアリングを実施。それをもとに営業アプローチを行い受注を獲得

Q:CREATIVE SURVEYを導入して、どのような効果・メリットがありましたか?

荒井:紙の教科書を電子化するというケースにおいて、どんな心配事や障害があるのかといったハードルを私たちは見つけなくてはなりません。コロナ禍で営業が訪問できなくなったこともありますが、そもそもこうした質問は対面では投げかけにくいですし、なかなか率直な回答を得られないことが多いものです。

CREATIVE SURVEY導入前はExcelを使ったアンケートを実施したこともあるのですが、Webアンケートの形にしたところたくさんのご意見をいただけるようになりました。これは回答者が回答しやすくなったことも要因として考えられると思います。たとえば「今の学内はこういう事情で、こんなことに困っている」「今の学生はこうだから、こんな使い方ができるといい」など、具体的な意見をいただけるようになったのは非常に大きなメリットです。さほどお付き合いがなかった先生からのコメントで新たなニーズを発見したこともありますし、今までにないリードを獲得できサービス受注につながったケースもあります。

また、幅広いお客様から意見をまんべんなく集めるというのは、訪問営業だけでは成し得ないことです。営業担当にとっても貴重な情報を得られるという意味でアンケートは重要な位置づけになっていて、実際に1回のウェビナーで複数件受注という成果を出しています。一生懸命取り組むほど可能性が広がるので、現場のモチベーション向上にもつながっています。

菅野:システム開発の知識がなくても、感覚的にアンケートを作成できる点がとても助かっています。また、以前は個人情報取得の問題があって要件の聞き取りから集計・共有までアナログな作業で対応して工数がかかっていたのですが、CREATIVE SURVEYの導入によって時間的にも作業的にも大幅に効率化できています。

Q:CREATIVE SURVEYでとくに気に入っている機能はありますか?

荒井:とくに学生向けのアンケートでは自由記述の項目を多く設けているので、CREATIVE SURVEYのワードクラウド機能を大変便利に使っています。テキストマイニングのように頻出単語を視覚的にわかりやすく表示してくれる機能ですが、たとえば「教科書」のように分析に必要のない頻出単語を外すこともできるところがすごく気に入っています。回答内容を共有する際にも伝わりやすく、大変ありがたい機能です。

Q:今後、CREATIVE SURVEYを使ってやってみたい施策はありますか?

堀場:広報やブランドの観点でいうと、お客様のお考えや指向性を伺いながら、それに合わせて「弊社ではこんなことができます」というように最適なまなびを提示するなどしてプロモーションに応用していけたらと考えています。冒頭で話した「診断コンテンツ」のような使い方をしてみたいですね。

荒井:学生とのタッチポイントを持っているのが弊社の強みですが、それをまだまだ活かしきれていないので、CREATIVE SURVEYを活用しながら実現していきたいです。

教科書販売については、普段教科書を使わない先生の場合は弊社の売上の観点ではゼロだったわけですが、アンケートのヒアリングにより「電子教科書なら使ってみようかな」と気持ちに変化が生じた時点でゼロからイチに変わったことがわかりますので、そういった意味でもアンケートを使ったヒアリングがとても重要だと思っています。

また、これまではその地域の全てのお客様を対象とするなど網羅的にウェビナーを開催してきましたが、今後はもっと細分化して「この学校のみ」「この図書館のみ」というように個々の課題にリーチしていくことも視野に入れる必要があると考えています。

今後も様々なタッチポイントにてお客様の体験やニーズを捉え、サービス向上に繋げていきたいと思っています。

社名
丸善雄松堂株式会社
事業内容
「まなびの場の企画・運営」「まなびのコンテンツ」「まなびの空間づくり」の3つの事業を展開。教科書・書籍・雑誌の販売、学術情報提供サービス、教育事業に関する経営コンサルティング、教育・交流施設の空間設計・建築工事請負、教育施設の運営代行・人材サービスなどを行う。
従業員数
単体350名・臨時職員約3,200名(2022年2月時点)

※ページ上の各種情報は2023年5月10日時点のものです。