自主調査 2012年05月14日

印象が良いと2倍以上のCTRに!? -バナーデザインのクリエイティブ調査-

バナーデザインのクリエイティブ調査

今回は、複数のバナー案の比較調査の事例を紹介しながら、クリエイティブサーベイによる印象調査の「短期的なメリット」と「長期的なメリット」についてご紹介します。

調査結果の良いバナーのCTRが2倍以上! – 短期的メリット –

調査では、バナーでの使用を検討している複数の写真案の印象抽出を行い、さらにキャッチコピー案に対する支持率調査を行いました。
(※本事例は実際の調査画像をお見せすることができませんが、ご了承ください。)

海で写真を撮る男女の写真を使用した「バナーA」に対しては「行ってみたい!」「大自然を感じる!」などポジティブな意見が多かった一方で、ワインを飲んでいる男女の写真を使用した「バナーB」に対しては「女性が好きでない」「美味しそうに見えない」などネガティブなコメントが集まりました。
それぞれのユーザーが最も良いと感じるバナーを選択する形式の調査ではBのバナーに対して5倍以上の差をつけてAのバナーが支持されました。

さらに、実際に出稿されたAのバナーとBのバナーを一定期間出稿し、それぞれのCTR(クリック率)を比較した所、なんと2倍以上の差がつくという結果がでました!
この結果からも、ユーザーの印象と行動とは密接に関連している事が明らかです。
さて、このCTRが2倍になるという効果が結果としてどうなるかシュミレーションしてみたいと思います。
CVR(コンバージョン)が0.5%、コンバージョン辺りの売り上げ単価が10万円と仮定します。
下記の図は、AとBのバナーでスプリットランを行った際の出稿比率を、「A:Bで5:5」にした場合と「A:Bで8:2」にした場合を比較したシュミレーションです。

それぞれの売り上げ合計額は1500万円と1800万円となり、広告効果で300万円の差が生まれます。
大きなメディアのディスプレイバナーであれば短期間でも大きな金額が動くので、
出来る限りインプレッションを無駄にせず効果の高いものに最適化することが重要です。
印象調査の結果を基に、出稿前の段階で広告効果の予測を行うことで、
最適な広告投資を行う確率を上げることが出来ることが、クリエイティブサーベイの短期的なメリットの1つです。

ブランディング – 長期的メリット –

人によって感性が異なるのことは当然だと思うかもしれません。
しかしこれが自分の携わったサービスやプロダクトとなると人は盲目的になるものです。
実際、クリエイティブサーベイで消費者の定性意見を分析してみると、全く想定していなかった意見や観点が大量にあつまる事もあります。
例えば、下の図のように、あるユーザー(A)には好意的に捉えられていたとしても、
他の多くのユーザーがネガティブに感じていたとしたら、長期的に見ると企業自体のブランド価値の毀損などの影響も考えられます。

数字だけで判断すれば、半ば強引にクリックを誘うようなバナーであっても成果さえでれば良いという考えもあるかもしれませんが、それではユーザーがその企業にたいしてネガティブな印象を抱いてしまうリスクがあります。
ユーザーに愛され続けるブランドを築くには数値的な成果だけでなく、ユーザーの声に耳を傾けより良いコミュニケーションを築いていくことが重要なのではないでしょうか。
クリエイティブサーベイの調査でユーザーの目線を把握することが、長期的にユーザーに愛されるブランドを築いていく判断材料の1つになります。

振り返り

クリエイティブサーベイの印象調査を行うことによって、短期的には「最適な広告投資を行う確率を上げる」ことができ、長期的には「愛され続けるブランドを築く」というメリットがあります。
サービスもプロダクトもユーザーから見れば同じような機能を持ったものはたくさんあります。
その中からあなたのサービス、あなたの商品が選ばれる決め手になり得るのがデザインです。
作り手側の視点だけでなく、ユーザーがどう感じているかを把握した上でデザイン決定をすべきなのではないでしょうか。

markzineDay2011に登壇させて頂き、現状のデザイン制作プロセスの問題点や、デザインにユーザーの意見を取り入れる事のメリットについてお話させて頂いた時の資料です。よろしければ是非ご覧下さい。

お客様の印象を見える化し、求められるデザインへ。ユーザーニーズに直結したデザイン戦略とは from CREATIVE SURVEY