顧客ロイヤリティ(心理ロイヤリティ・行動ロイヤリティ)とは|向上のポイント

商品・サービスへの愛着や信頼を表す顧客ロイヤリティは、事業領域を問わず重要となる指標の一つです。本記事では「顧客ロイヤリティとは何か」を心理ロイヤリティ・行動ロイヤリティの面から整理するとともに、代表的な指標と向上のためのステップを解説します。

顧客ロイヤリティとは 

顧客ロイヤリティとは

顧客ロイヤリティ(Loyalty)とは、顧客が企業やブランド、商品・サービスに対して抱いている愛着や信頼のことです。

混同しやすいものに「顧客満足度」があります。顧客満足度は顧客が商品・サービスなどに対し、どれくらい満足しているかを評価したものです。ただし、顧客満足度が高くても、必ずしも継続的に商品・サービスを購入するとは限らないことがわかっています。

一方、顧客ロイヤリティは愛着・思い入れ・信頼といった感情面での結びつきの強さを表している点が顧客満足度との大きな違いです。また、顧客ロイヤリティが高いユーザーは「リピート率が高い」「単価が高い」など、行動面においても良い影響を及ぼす傾向があります。

顧客ロイヤリティが重要な理由

事業を展開する上で顧客ロイヤリティが重視される理由は、大きく以下の2つです。

●継続利用による利益の向上
継続的に利用してもらうことで利益を創出するSaaSやサブスクリプションモデルのビジネスが台頭する中で、「商品・サービスを購入してもらえば終わり」という従来の考え方では事業の成長が見込めなくなっています。

マーケティングでは「5:25の法則」がよく知られています。これは、顧客の離反を5%改善すれば利益が25%改善されるというものです。顧客ロイヤリティを高めることでリピート率が改善されれば、結果的に利益の向上につながっていきます。

●顧客獲得コストの最適化
新規顧客を獲得するためのコストは既存顧客の維持に比べて5倍かかるというのが「1:5の法則」です。顧客ロイヤリティを高めることで継続利用するユーザーが増えていけば、顧客獲得コストの最適化を図りやすくなります。

心理ロイヤリティ・行動ロイヤリティとは

顧客ロイヤリティには、心理面・行動面の2つの側面があります。

心理ロイヤリティとは、企業やブランド、商品・サービスに対して抱く「愛着・信頼・思い入れ」など感情面のロイヤリティのことです。行動ロイヤリティは、実際に商品・サービスを購入したり、他者に勧めたりするなど行動面のロイヤリティをいいます。

ここで注意したいのは、心理ロイヤリティが高いほど行動ロイヤリティが高くなると考えがちですが、必ずしもそうではないことです。心理ロイヤリティと行動ロイヤリティの高さによって次の4パターンに分類され、取るべき施策も異なってきます。

●心理ロイヤリティ(高い)×行動ロイヤリティ(高い)
心理・行動ともにロイヤリティが高く、ロイヤルカスタマーといわれる真のファン層です。手厚いフォローをするなど、重点的に維持すべき顧客群です。

●心理ロイヤリティ(高い)×行動ロイヤリティ(低い)
心理ロイヤリティは高いものの、行動につながっていない層です。愛着・信頼はあるが、高額なため購入できないなどのケースがここに該当します。この層に対しては、購買行動につなげるための施策が重要になります。

●心理ロイヤリティ(低い)×行動ロイヤリティ(高い)
商品・サービスへの愛着はさほどなく、安い・便利など何らかの理由から購入しているという層です。ほかに良いものが見つかれば簡単に切り替えられてしまう可能性があるため、リピート率が高くても注意する必要があります。しっかりモニタリングして、早期に心理ロイヤリティを高めていくことが大切です。

●心理ロイヤリティ(低い)×行動ロイヤリティ(低い)
自社の商品・サービスを知らない、または他社のものを気に入っているなど、心理・行動ともにロイヤリティが低い層です。問題点を明確にして施策を検討することが必要です。

顧客ロイヤリティを向上するメリット

顧客ロイヤリティを高めることで、次のメリットが期待されます。

●LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上
LTVとは、購入・利用の開始から終了まで、顧客がどれくらいの利益をもたらしてくれたかを測る指標のことです。

LTVを向上するには、解約率を抑えて継続期間・単価・購入頻度を高めていく必要があります。心理・行動の両面で顧客ロイヤリティを高めることで、これらの指標を改善することが可能です。

●口コミ評価の向上
顧客ロイヤリティが高い顧客は、好意的な口コミを投稿したりSNSで拡散したり、積極的に他者に推薦してくれます。新規顧客の獲得につながるなど、企業にとって大きなメリットとなります。

顧客ロイヤリティの指標

顧客ロイヤリティの指標

顧客ロイヤリティを測る指標として、代表的な3つを見ていきましょう。

NPS®

NPS®(ネットプロモータースコア)は、他者への推奨度をスコア化する計測方法です。具体的には「商品・サービスを他者にどの程度勧めたいか」という質問をして、0〜10点の11段階で回答してもらいます。

0〜6点は批判者、7〜8点は中立者、9〜10点は推奨者となり、次の計算式からNPS®を算出します。

NPS®=推奨者の割合-批判者の割合

NPS®は業績への相関が強いことが明らかになっており、スコアが高いほど継続利用につながることから、顧客ロイヤリティを計測する方法としてジャンルを問わず多くの企業で用いられています。

※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そして NPS 関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。

LTV

LTVは、顧客との取引期間中に得られた利益の総額です。計算方法には幾通りかありますが、よく使われているのは以下のものです。

・LTV=平均購入単価×平均購入回数
・LTV=平均購入単価×利益率×継続期間
・LTV=年間取引額×利益率×継続期間

上記の計算式からわかる通り、LTVを向上させるには購入単価・購入回数・継続期間を高めていく必要があります。これらは行動ロイヤリティと直結するもので、顧客ロイヤリティを測る指標の一つとして重視されています。

顧客維持率

SaaSやサブスクリプションモデルで、とくに重視しなければならないのが顧客維持率です。以下の計算式で求めることができます。

顧客維持率=(期間内の総顧客数-期間内の新規顧客)÷累計顧客数

継続的に利用している顧客が多いほど、行動ロイヤリティが高い顧客が多いといえます。ただし、行動ロイヤリティが高くても心理ロイヤリティが低い場合、離反される可能性が高いことに注意が必要です。

LTVと顧客維持率においては、心理ロイヤリティも合わせて見ていくことが重要になります。

顧客ロイヤリティ向上のステップとポイント

顧客ロイヤリティ向上のステップとポイント

顧客ロイヤリティを向上させるためのステップと、留意しておきたいポイントを見ていきます。

1.顧客ロイヤリティを数値化して分析

まずはアンケート調査などで、自社の顧客ロイヤリティの現状を定量的に把握することが必要です。NPS® をはじめ、自社のKPIに合わせて必要なデータを収集します。

続いて、顧客ロイヤリティが高い層・低い層ごとにどのような要因が背景にあるのか、データを分析します。顧客ロイヤリティに大きく影響する要因を特定できれば、効果的な施策につなげることができます。

2.カスタマーエクスペリエンス(CX)を高める施策を検討

顧客ロイヤリティを向上する上で重要となるのが、カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)です。自社商品・サービスの認知から購入、アフターフォローまでの顧客接点において、どのプロセスに課題があるのかを明らかにした上で有効な施策を検討します。

課題が不明瞭という場合は、アンケートの自由記述などを用いて拾い上げるとよいでしょう。顧客ロイヤリティに大きく影響する顧客体験を特定し、優先順位を決めて改善に取り組むことが効果を高めるポイントです。

顧客体験を可視化する上では、カスタマージャーニーマップが役立ちます。顧客接点を時系列で整理でき、施策の方向性を明らかにする際に関係者間の目線を合わせやすいというメリットもあります。

3.結果を振り返り改善

施策の結果を振り返り、改善していくPDCAを回します。主観的な判断にならないよう定量調査を継続的に行い、施策の有効性を高めていくことがポイントです。

まずは自社の顧客について理解を深めよう

顧客ロイヤリティを向上させるには、自社の顧客についての理解を深めることがファーストステップです。また、顧客ロイヤリティは一度下がると取り戻すのは容易ではありません。アンケート調査などで定量・定性の両面から実態を把握し、問題点にはスピーディに対応していくことが重要です。

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