課題
- カスタマーサポートのKPIである顧客満足度などの指標が蓄積できていなかった
- 展示会でのオペレーションが煩雑でアプローチまでに2週間近くかかっていた
施策
- 顧客からのフィードバックをSalesforceに即時データ連携
- 展示会でのヒアリングにAsk Oneを活用し、オペレーションを改善
結果
- 属人化されていたデータが社内で共有されデータが蓄積される
- 展示会で獲得した名刺が即時データ化され、ヒアリングをもとにした迅速なフォローアップが可能に
日本3Dプリンター株式会社は、3Dプリンターや3Dスキャナーなどの3Dデジタルツールの取り扱いを通じて、製造業をはじめとした企業が抱える課題解決を支援している企業です。
同社では、カスタマーサポートや展示会といった様々な顧客接点で「Ask One」を活用いただき、Salesforceへのシームレスなデータ連携や展示会などの業務のオペレーション改善に取り組まれています。導入に至った背景や実際の活用方法、効果などについて、 CS推進部 マネージャー 賀満田様とアプリケーションエンジニア課 マネージャー 皆川様にお話を伺いました。
※以下、敬称略
Salesforceとの柔軟な連携機能や展示会での名刺読み取り機能が導入の決め手に
Q.貴社の事業内容とご担当の業務を教えてください。
賀満田:弊社の事業内容は3Dプリンターをメインとした3D関連商材の販売および保守が主な業務になりますが、製品の提供だけではなく3Dプリンターを活用したソリューションパートナーになることを重視しています。
そのため商材を販売するだけでなく、お客様の課題を3D技術を使ってどのように解決できるかを市場命題として取り組んでいます。
私はCS推進部署のマネージャーという立場で、既存のお客様からの問い合わせに対するアフターサポートをメインに行っている部署になります。現在はより一層お客様の製品活用を促進するカスタマーサクセス業務も担当しており、我々から能動的にお客様にアプローチしていくこともおこなっています。
カスタマーサクセスが組織として正式に立ち上がったのは今期の9月で、構想自体は2年前からありました。私の部署は、修理部隊、ヘルプデスク部隊、カスタマーサクセス部隊の3つのチームがあり、それぞれの進捗管理をおこなっています。また、新しい問い合わせへの対応や、海外メーカーとのやり取り、マニュアルやメーカー資料の翻訳作業、KPI(主要業績評価指標)の設定もおこなっています。
弊社のAsk Oneの活用例としては、KPIの設定やカスタマーサポートの満足度調査の実施、定期メンテナンス時のヒアリングフォームなどがあり、現在は皆川と共に、Ask OneとSalesforceの活用構築をおこなっています。
皆川:私はアプリケーションエンジニア部門のマネージャーをしています。先ほどソリューションパートナーという話がありましたが、私たちの部署は機材のスペックを説明するだけでなく、お客様の課題に対して我々の提案がどのようにお客様の経営にインパクトを与えるかを考え、提案しています。
また、それらの業務とは別にSalesforceの管理業務も担当しており、今回のAsk Oneのサービス導入にも関わっていました。
Q.Ask Oneを導入した経緯を教えてください。
皆川:アンケートフォームという意味では以前からGoogleフォームを利用して実施はしていたのですが、回収したデータ単体での分析をするに留まっていて、そこでデータの活用が終わってしまうという課題がありました。Salesforceに入っている既存のデータとの組み合わせた管理・分析ができておらず、必要に応じてデータを掛け合わせて利用する場合もあったのですが、その都度Excelファイルが増えていくというような管理上の問題もありました。
そこから当初、Salesforceとのデータ連携が可能なアンケートツールの検討がスタートしたのですが、Ask Oneのご案内をいただいた際にAsk Oneがアンケートを実施するだけのツールではなく、マルチチャネルで活用できるフォームサービスであるということを伺い、お客様との様々な顧客接点でのデータを統合することが重要だと気が付きました。
例えば、以前は機材をお届けする際、紙を同封し返送してもらうといった方法をとっていたのですが、紙で大量のデータを管理するのは非常に扱いにくいという課題がありました。それ以外にも、販売後のお客様へのトレーニングの評価や内容についてのヒアリングなどもおこなっていましたので、様々なシーンで活用できると感じました。
最終的にAsk Oneの選定を後押ししたのが、フォーム内で名刺写真を取り込むと即時にデータ化され、展示会で獲得した名刺の情報を簡単に管理できるといった点です。
展示会には年間5〜10回ほど出展しており、以前は展示会場で紙の名刺やメモをExcelに入力し、Salesforceにリードをインポートするといった作業が発生していました。
リードタイムという意味では展示会終了後2週間近く時間がかかる場合もあり、人員的な負荷だけでなく、お客様へのコンタクトの遅れなどにも課題を感じていました。
Ask Oneはそれらの課題も含め解決することのできるソリューションだと感じ、導入に至りました。
賀満田:私がCS推進部に関わったのは昨年からなのですが、以前はKPIを取っておらず、お客様の満足度を測っていなかったことが課題でした。
お客様の満足度を正確に測りたいと考えており、カスタマーサポートチームのKPIをアンケートの内容を基準にするためにも、同様にAsk Oneを活用できると感じました。
カスタマーサポートや展示会といった様々なタッチポイントでAsk Oneを活用
Q.具体的なヒアリングの運用や、回答データの活用方法について教えてください。
皆川:現在CS推進部でおこなっている施策内容ですが、すでに複数施策が並行して実施されており、トレーニング後のヒアリングや、カスタマーサクセスの定期メンテナンスでお客様先に伺った後のヒアリングなどをおこなっています。
賀満田:それぞれの施策についてですが、トレーニング後のヒアリングとカスタマーサクセスのヒアリングの運用方法は同じ形になっていて、トレーニングが終わった時点で、そのトレーナー自身がお客様にその場で答えてもらう形を取っています。
トレーナーは画面に表示されるQRコードをお客様に読み取ってもらい、その場で回答していただいています。以前はiPadを使用していましたが、現在はトレーナーが携帯やパソコンでQRコードを表示し、お客様のスマートフォンで読み取ってもらう形にしています。
ヒアリングフォームはユニークに識別できるようになっていて、自動的にSalesforceの情報と紐づくようになっています。
内容は、質問に対する対応や学習量、トレーニングの役立ち度と改善点についてが主で、今後はレポートを作成し、トレーニングの担当者や製品ごとにデータを活用する予定です。
カスタマーサポートの定期メンテナンスのデータについても現在はデータを蓄積している段階で、明らかに課題があるお客様にはその都度フォローを入れていますが、今後はNPS®︎(※ネット・プロモーター・スコア)などをKPIとして設定し、評価をおこなう予定です。
皆川:実際の運用はこれからですが、製品ユーザーの登録についても3D機材に液晶ディスプレイが搭載されているので、最初に起動した時にユーザー登録用のQRコードが表示される仕様に変更し実施する予定です。
これにより、ユーザーはQRコードからヒアリングフォームに誘導され、登録いただいたお礼として3Dプリントの材料をプレゼントすることになっており、それも自動で出荷されるシステムを現在組んでいるところです。
Q.展示会での活用方法についても教えてください。
皆川:展示会では各営業担当が会社のスマートフォンからAsk Oneで作成したヒアリングフォームにアクセスし、お客様からいただいた名刺を撮影してヒアリングした内容を登録します。この情報は即時にSalesforceのリードとして登録され、展示会終了後にフォローアップとして顧客のニーズにあったメールや電話を行います。
展示会でのヒアリングフォームには、リードのランクや検討しているメーカー、担当チームを選択する項目があります。
また、お客様が現在使用している製品や導入の希望時期、予算、目的などもヒアリングしています。こうした情報は後で担当営業に引き継がれ、必要に応じて迅速なフォローアップがおこなわれます。
各営業のフォームのURLは個別に発行していて、誰が担当したかをすぐに識別できるため、担当者は自分が入力したデータに基づいてスムーズに対応することができます。
展示会終了後は、リードの所有者として割り当てられたマネージャーが自分のチームにリードを割り振る作業をおこないます。実際にはエリアと製品で自動的にチームを分けることも可能ですが、メンテナンスの手間を考慮して現在の仕組みにしています。
このプロセスにより、展示会でのリード収集とヒアリング、顧客フォローアップがスムーズにおこなえるようになっています。
また、展示会でのリード登録が非常に便利なので、日常のリード登録用フォームも作成しました。以前はお客様から名刺をもらって手入力でSalesforceにリードを登録していましたが、今は営業が写真を撮って検討メーカーを入力するだけで即時にリードが作成されるようになっています。手動での入力を減らし、効率的にデータを収集することを目指しています。データはその日のうちに読み込むことが推奨されており、従来の手動入力からの改善を図っています。
顧客データの蓄積が可能となり、展示会では業務効率が大幅に向上でAsk Oneを活用
Q.Ask Oneを導入して、どのような効果・メリットがありましたか?
皆川:現在はまだデータを蓄積している段階なので、定量的な効果ははっきりと出ていませんが、以前Googleフォームで実施していた際は特定のメンバーしかデータにアクセスできなかった状況から、今ではSalesforceにすべてのデータが集約され、誰でも必要な時にアクセスできるようになった点は大きなメリットだと感じています。
賀満田:定期メンテナンス後のヒアリングについても同じくデータの蓄積を行っているフェーズですが、以前は紙でヒアリングし手入力していたので、その手間は大きく減ったと感じています。
皆川:同じく展示会でも以前は名刺を集めてメモを手書きで記録し、その後に手入力でデータをまとめていました。この作業は非常に手間がかかっていましたが、今ではSalesforceにデータ化されるようになり、作業効率が大幅に向上しました。
現場のスタッフからも好評で、リードの記録が非常に簡単になりました。紙への手書きでは情報の抜け漏れやランク表記のミスが多かったのですが、デジタル化によってそのような問題はなくなり、データの精度も向上しました。
Ask Oneを初めて展示会で使用したのは1月末ですが、商談化率は上がっています。詳細な数字はまだ把握していませんが、会期後のアポイントメントを取りやすくなったことは確かです。
Ask One導入前はお客様へのアプローチに2週間かかっていましたが、導入後は展示会終了の翌営業日からアプローチできるようになりました。
展示会終了後、ヒアリング内容に基づいて顧客に迅速なフォローができるようになったことが大きな要因であると思います。
Q.Ask Oneを使ってみた所感を教えてください。
皆川:設問の作成といった点では非常にわかりやすく、ドキュメントなどを読まなくても、直感的になっていると思います。最初私が作成していたのですが、誰でも作成できるということですぐに引き継ぐことができました。
システム的な連携の部分を組む人と設問の作成を行う人は違うので、現場の本当に欲しい質問を現場で作成できるというのは非常に良いところだと思っております。
また、Salesforceの管理者としては連携部分は非常に優れていると感じています。顧客との各タッチポイントでのアクションに対して、回答をトリガーに使ったり、特定の情報を更新したいといったものが全部Ask Oneでできてしまうので、顧客へのアクションを適切に実施するための便利なトリガーを手に入れたと感じています。
賀満田:私も使いやすいアプリケーションだと感じていますが、 加えてJavaScriptの記述できたりとカスタマイズ性もあり、弊社独自の要件がある場合でも対応ができるため、広い業務で活用できると感じています。
Q.今後、Ask Oneを使ってやってみたい施策はありますか?
皆川:カスタマーサポートも含めた全ての顧客接点でのヒアリング情報をSalesforceに蓄積できる体制を目指したいと考えています。
例えば、どのハードウェアメーカーでも有償の保守と無償の保守で分かれる部分があると思うのですが、弊社は創業当初から電話、メールサポートに関しては保守期間に関わらず永遠に受けつけるということを行っています。
それらの活動が顧客体験にどのような影響を与えているのかを以前から把握したいと考えていました。そのために製品の保守期限の情報や満足度といった情報が自動で紐付き、継続的に計測できる体制をSalesforceの運用も含め構築したいと考えています。
賀満田:私の方では現在、Ask Oneを活用して製品のユーザー登録のフォームを運用する準備をしていてるところで、他にも自社のWEBサイトなど色々なフォームがあり、それらもSalesforceに連携させて様々な顧客接点でのデータを蓄積し、業務の改善に繋げていきたいと考えています。
※ネット・プロモーター、ネット・プロモーター・システム、NPS、そして NPS 関連で使用されている顔文字は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズの登録商標です。
※ページ上の各種情報は2024年8月7日時点のものです。