話題のソーシャルゲームですが、今回は”国内2大ソーシャルゲームプラットフォームであるグリー・モバゲーのiphoneアプリTOP画面の印象調査”の事例を紹介します。ゲーム業界に関わる人はもちろん、デザインやソーシャルゲームに関心のある方は必読です!
さて、今回アンケート調査を行ったグリーとモバゲーはソーシャルゲームプラットフォームとして国内だけでもユーザー数は3000万人を超える大変人気な2大プラットフォームです。
これだけのユーザー数がいると、デザインやブランドのような「印象面」の違いが大きな差を生みます。
アンケート作成ツール・クリエイティブサーベイを用いて行ったネットリサーチの結果、両社のイメージやアプリ画面の印象から興味深い違いが抽出されています。2大ソーシャルゲームプラットフォームであるグリー・モバゲーはユーザーからどのように見られているのか。それでは、調査の結果について解説していきます!
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・調査期間 … 2012年5月21日~5月25日(4日間)
・有効回答 … 238人(男性119人、女性119人)
・回答方法 … オンライン調査をiphone上で実施
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1:ロゴから感じるブランドイメージは?
2:グリーアプリってどう見られてる?
3:モバゲーアプリってどう見られてる?
4:グリー・モバゲーのファーストビュー比較
5:ユーザーはどちらのアプリデザインを支持するのか?
6:まとめ
上記のグラフは、グリー・モバゲーのロゴのみを表示して、ブランドの印象に関する4つの項目で、よりイメージの近い方を選択する形式で調査を行っています。
それほど大きな差は見受けられませんでしたが、全体的にややグリーの印象がよい結果となりました。
しかしソーシャルゲームプラットフォームとして重要な指標となる「面白いゲームがありそう」の項目ではモバゲーがやや多くの支持を集めており、一概にグリーの方が印象がよいとは言い切れない結果となっています。
参考までに、質問項目にも含まれている「CMを良く見かける」ですが、実際に調査を実施した2012年5月の両プラットフォームの関東地区でのCM出稿量は、グリーのCM放送秒数は23,730(総合1位)モバゲーは7,860(総合13位)とグリーの方が約3倍も多いCM出稿を行っていたことが分かります。(参考:ビデオリサーチコムハウス『テレビ広告月間動向(関東地区)』
全体的にグリーの印象が良い傾向があるのは、テレビCM出稿量が影響したのかもしれませんね。
CM接触はGREEの方が優勢にも関わらず「面白いゲームがありそう」につながっていないのは、訴求の方法や起用タレントに起因すると推測され、年代別の調査など掘り進めることによって、異なる結果が出ることも想定されます。
それぞれのプラットフォームイメージが「男性向けか?女性向けか?」という質問では興味深い結果が抽出されました。
下の表は、クリエイティブサーベイのアンケートツールで行ったスライドバー形式の質問で抽出された結果です。
バーのヒートマップは、選択が集中している箇所ほど赤く表示されます。
全体的にソーシャルゲームは「男性向け」と感じられている傾向が見受けられますが、注目していただきたいのは性別ごとの結果です。
男性の回答結果から見てみると、グリーは「男性向け」と感じられており、モバゲーはグリーに比べるとやや「女性向け」と回答したユーザーが多い傾向があります。
一方、女性のみの回答結果では、グリーは「女性向け」と回答したユーザーも一定数おり、モバゲーはかなりの割合で「男性向け」だと感じられています。
まとめると、グリーの方が男女共に「自分の性別に向けのプラットフォームだ」と感じているユーザーが多い可能性が高そうです。
それでは、次からはアプリ画面の印象調査結果です。
先程の調査結果はロゴを見て感じるブランドイメージでしたが、実際のアプリ画面はどのような印象を持たれているのでしょうか。まずはグリーから見ていきましょう。
クリエイティブサーベイのエリアマッピング機能でユーザーからの定性的なコメントのネガポジをヒートマップ化した画像が以下です。(かなり縦に長い画像ですが、お付き合いください)
ヒートマップの赤い箇所にはポジティブなコメントが、青い箇所にはネガティブなコメントが多く書き込まれていることを意味しています。合計で325のコメントが抽出されました。
ぱっと見て分かることは「ガチャ・レアアイテム」などのワードは非常にネガティブイメージを持っているユーザーが多いということです。具体的に書き込まれたコメントを抜粋すると「クリックするとお金を払わされるのかもと感じる」「ガチャは信用できない」などなどです。
性別ごとに見てみると男女で興味を持つコンテンツに違いが現れています。ゲームコンテンツを紹介するエリアは男性のポジティブな反応が強く、ニュースコンテンツを紹介するエリアは女性のポジティブなコメントが多いです。
ニュースエリアは「ゲームの合間に見れる」「毎日チェックしたくなる」など、調査の前の想定をはるかに超えるポジティブな反応が見られました。毎日アクセスする価値があるか?という判断にニュースは欠かせないと考えているユーザーが多いのかもしれません。
モバゲーのアプリ画面も同様にエリアマッピング機能でユーザーのコメントをヒートマップ化しています。
こちらも縦に長い画像ですがご覧ください。
合計で295のコメントが抽出されています。
モバゲーアプリ画面に対しては分かりやすく「ガンダムロワイヤル」と「大進撃!ドラゴン騎士団」のゲームコンテンツにポジティブなコメントが集中していますね。
また、グリー同様にガチャやレアアイテムの宣伝がされている箇所はネガティブなコメントが書き込まれています。またニュースエリアも同様に女性がポジティブな反応を見せていることが分かります。
意外だったのは横浜DNAベイスターズのニュースエリアに対して男性からのネガティブなコメントが多かったことです。コメントは「野球には興味がない」という主旨のものが多く書き込まれています。
グリー・モバゲーそれぞれのアプリのファーストビューの印象を比較してみましょう。
本調査はiphone上に実際にアプリ画面を表示してコメントの書き込みを行っています。つまり実際にユーザーが見るのと同様の環境で調査を行っていますので、ファーストビューに書き込まれたコメント分析は参考になるデータといえます。
ご覧の通りグリーに比べてモバゲーの方がファーストビューエリアの印象がポジティブにまとまっています。そもそものコンテンツの違いは影響しますが、要因はそれだけではないでしょう。
印象の差を生んでいる要因として考えられるのは、デザインが訴求してるポイントの違いにありそうです。
グリーは上部「お知らせエリア」でガチャやレアアイテム獲得を押し出したデザインにしているのに対して、
モバゲーはゲームコンテンツが押し出されたデザインになっていることが分かります。
ユーザー的に興味があるのは「ゲーム」なので、ファーストビューでしっかりゲームコンテンツを訴求しているモバゲーのアプリデザインの方がポジティブなコメントが多くなっていると考えられます。
さて、これまでグリー・モバゲーの2つのアプリデザインの印象調査結果について紹介してきましたが、最終的にユーザーはどちらのアプリデザインを支持するのでしょうか?
二者択一で好きなアプリデザインを選択してもらった結果、なんと選択された数は両アプリともに119回答づつで全くの同数になりました!
これはこれで面白い結果になりましたが、性別ごとに見てみるとさらに興味深い結果になっています。
ご覧の通り、男女で支持が大きく分かれています。女性はグリー支持が66%、男性はモバゲー支持が66%です。
記事の前半で紹介したブランドの印象比較でもモバゲーは男性向けのイメージを持たれており、グリーは一定数のユーザーから女性向けのイメージを持たれていましたが、アプリデザインの支持も女性はグリー、男性はモバゲー支持という結果になりました。
ここまで紹介してきたグリー・モバゲーのアプリ印象比較調査の結果をまとめてみましょう。
◎ブランドに対する印象
◎アプリ画面に対する印象
印象調査のアンケートレポートはスライドシェアにて公開しております。無料でダウンロードが出来ますので、是非ご覧ください!!
さらに詳しい内容、ローデータ、書き込まれたコメントなどの情報についてはお問い合わせください。
クリエイティブサーベイ株式会社では、独自アンケート手法を用いて調査結果を発表しています。その他の調査結果はこちらからご覧いただけます。