BtoBマーケティングにおけるマルチチャネル戦略の必要性

BtoBマーケティングの購買プロセスは複雑化しており、意思決定までの期間が長期化する傾向にあります。そのため、さまざまなチャネルを統合的に活用してターゲットとつながり続ける「マルチチャネル戦略」の重要性が増しています。本記事では、BtoBマーケティングにおけるマルチチャネル戦略の必要性や具体的な活用方法について解説します。

マルチチャネル戦略がなぜBtoBマーケティングで必要なのか?

BtoBマーケティングにおいて、購買プロセスは複雑かつ長期化する傾向にあります。こうした背景から、マルチチャネル戦略が求められる理由について説明します。

BtoBマーケティングにおける購買行動の多様化

BtoBマーケティングの領域では、情報収集期間が長期化していることから、単一のチャネルだけでは顧客の購買意欲が醸成できないケースが増加しています。

B2Bマーケティング株式会社が株式会社ITコミュニケーションズと共同で実施した「BtoB商材の購買行動に関する実態調査レポート2023」(※1)からも、コロナ禍を通して人的営業が制限されたことから購買プロセスのオンライン化が進んでいることが伺えます。

また、株式会社wibが発表した「BtoBセールスの購買決定に関する独自調査」(※2)では、84%の決裁者が営業担当と接触する前に購買の意思決定に関わる情報に触れているという調査結果があり、このことからも単一チャネルだけでなく、複数チャネルを通じて顧客と接点を作ることが重要であることが伺えます。

このように複数チャネルでの顧客接点を大事にし、各接点において最適なコンテンツの提供をおこなうことで購買意欲を醸成し、顧客との信頼関係を構築していくことが重要なポイントになります。

顧客体験の向上と情報の最適化

オフラインイベント、セミナー、メールマーケティング、広告など複数のチャネルを活用する中で、顧客は各チャネルで一貫した情報やメッセージを求めています。

各チャネルで得た顧客データを統合し、限られた接点の中で最適なタイミングで最適な情報を提供することで、顧客接点を最大限有効的に活用することが重要です。

また、収集したデータを活用して、顧客ごとに最適化したメッセージを提供し続けることで、顧客体験の向上や企業の信頼性向上につながります。

BtoBマーケティングにおけるマルチチャネル戦略のメリット、デメリット

このように、BtoBマーケティングにおけるマルチチャネル戦略は近年需要が高まっており、多くのメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在します。それぞれを理解して最適な戦略を立てることが重要です。

マルチチャネル戦略のメリット

1:顧客リーチの拡大

複数のチャネルを通じて情報を発信することで、顧客にリーチする機会が増え、製品やサービスの認知度向上に貢献します。特にBtoBマーケティングでは、長い意思決定サイクルの間に複数の接点を持つことが重要です。

2:リードジェネレーションの強化

マルチチャネル戦略により、見込み客の情報収集をサポートし、リード獲得が促進されます。オフラインイベント、セミナー、メールマーケティング、デジタル広告などで段階的に情報を提供することで、見込み客の育成が効率的に進みます。

3:顧客体験の向上

チャネル毎に収集した顧客のデータを統合し、活用することで、顧客の行動に基づいたパーソナライズが可能となり、顧客にとって最適な体験を提供できます。

マルチチャネル戦略のデメリット

1:リソースの分散

複数のチャネルを運営・管理するためのリソース(人材、時間、コスト)が必要となり、特に中小企業にとっては負担が大きくなることがあります。

2:メッセージの一貫性を維持することが難しい

すべてのチャネルで一貫したメッセージを伝えるためには、チャネル間の連携が不可欠です。統一したブランドイメージや情報を提供するための労力がかかることが課題となります。

3:効果測定の複雑化

複数チャネルが絡むことで、各チャネルの効果を明確に測定することが難しくなります。データが分散することにより、どの施策が商談化に貢献し、受注に貢献したかを計測することが難しくなります。

BtoBマーケティングにおけるマルチチャネルの活用方法

ここでは、BtoBマーケティングで特に効果的な4つのチャネルである、オフラインイベント、セミナー、メールマーケティング、広告の具体的な活用方法について解説します。

オフラインイベント

展示会やリアルセミナーなど対面での顧客接点を作ることで、企業や製品の魅力を直接伝えることが可能です。特にオフラインイベントでは、リアルタイムでのフィードバックや疑問の解消が可能なため、顧客との信頼関係を構築しやすくなります。

セミナー

見込み顧客に対しては、セミナーを通じて専門的な情報や最新のソリューションを紹介する機会を設けます。これにより、顧客は製品理解を深め、さらなる問い合わせや商談につながる可能性が高まります。

メールマーケティング

メール配信は、顧客との継続的なコミュニケーション手段として有効です。セグメント化されたリストに対して個別の内容を提供することで、顧客の関心に沿ったコンテンツを提供し、購入意欲を引き出します。

広告(オンライン・オフライン)

広告は、認知度を高めたり、特定のターゲットのリード情報を収集する手段として、BtoBマーケティングでも重要な施策の一つです。オンライン広告では検索広告やSNS広告を活用し、特定の業界や職種を絞ったターゲティングが可能です。また、オフライン広告としては、タクシー広告やOOH(アウト・オブ・ホーム)広告、マス広告などを活用して認知度を向上させるプロモーションが有効です。

マルチチャネル戦略の活用例

このように複数のチャネルで顧客にアプローチしながら、収集したデータを連携し、チャネル間の情報共有を高い精度でおこなうことによって、限られた接点の中でも最適なタイミングで最適な情報を提供し、顧客体験の向上や企業の信頼性向上に取り組むことが重要です。このようなしくみが構築できれば、施策の費用対効果の向上や顧客体験の向上につながります。

最後に、マルチチャネル戦略を活用し、顧客体験を向上させている企業の事例をご紹介します。

各部門で収集したヒアリング情報を一元管理:さくらインターネット株式会社

さくらインターネット様では、顧客ニーズに基づくサービス改善を目的として、あらゆる顧客接点で顧客の声を収集してきました。しかし、利用していたさまざまなフォームツールがSalesforceなどの社内システムと連携されていなかったため、顧客情報とヒアリングデータが分断され、部署間で連携を行うためのデータの加工工数が発生していたことや、お客様のフォローアップをおこなう上でのスピード感に課題がありました。

そこでさくらインターネット様は、あらゆる顧客接点で営業機会を逃さないマルチチャネルフォーム「Ask One」(※3)を導入し、顧客情報とヒアリングデータをシームレスに接続し、データの分断を解消してデータ加工の工数削減を実現しました。回答ごとに各部署にメールやSlackを活用して通知を行うことで即時フォローを実現し、顧客ごとに最適なコンテンツを提供しています。


関連コンテンツ:https://jp.creativesurvey.com/news/20240206-2/

あらゆる顧客接点でのデータを統合管理しマーケティング施策を強化:エスリード株式会社

エスリード様では、条例の規制等で従来の営業手法での顧客獲得が難しくなりつつあり、新規顧客獲得のために展示会や学会など新しいチャネルの開拓に取り組んでいました。しかし、既存で活用していた顧客情報収集フォームでは柔軟なカスタマイズができなかったため、得られる情報が制限されていました。また、そうして獲得した情報を活用する体制が整っておらず、獲得する顧客情報の取得フローや営業の生産性の向上などに課題を抱えていました。

Ask Oneを導入することで、新規チャネルのあらゆる顧客接点で柔軟に収集したデータをSFA・MAに統合管理し、オペレーションの最適化を実現しています。また、既存顧客へのナーチャリング施策への活用や各種お申込書のデジタル化など、あらゆる顧客接点でAsk Oneの活用を進め、再現性ある施策の実行と業務全体の生産性向上を実現しています。


関連コンテンツ:https://jp.creativesurvey.com/news/20240719_eslead-askone/

自社の課題に合わせたマルチチャネル戦略の運用が重要

BtoBマーケティングで効果を最大化するには、自社の課題や顧客ニーズに応じたマルチチャネル戦略を確立することが不可欠です。顧客が利用するチャネルや購買行動は多様であり、特にBtoBビジネスでは意思決定に複数の関係者が関与するため、各チャネルで顧客との接点を設け、統一された顧客体験を提供することが重要です。これにより、ブランドの一貫性と信頼感が高まり、顧客ロイヤルティの向上が期待できます。


さらに、各チャネルで収集したデータを統合・分析し、顧客ごとにパーソナライズした情報を提供することが、マーケティング活動の効果をより一層高め、精度の高いリードジェネレーションへと繋がります。自社のビジネス目標に沿った最適なチャネル選定と、各チャネルでの統一された顧客体験の継続的な提供により、持続的な顧客関係の構築と収益の向上を実現しましょう。

参考コンテンツ

※1:B2Bマーケティング株式会社/株式会社ITコミュニケーションズ 共同調査「BtoB商材の購買行動に関する実態調査レポート2023」:https://b2b-marketing.co.jp/ebook-buying-behavior2023/

※2:株式会社wib「BtoBセールスの購買決定に関する独自調査」:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000064133.html

※3:あらゆる顧客接点で営業機会を逃さないマルチチャネルフォーム「Ask One」 :https://jp.creativesurvey.com/ask-one/

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