カスタマージャーニー・ペルソナ分析|リアルなペルソナを作成するポイント

マーケティングの最適化に欠かせないプロセスの一つが、ペルソナとカスタマージャーニーの作成です。しかし、せっかく作成してもターゲットの実態とかけ離れたものになっていれば効力を得られません。ここでは、ペルソナ分析の進め方とカスタマージャーニーマップの作成手順を紹介します。

ペルソナ分析の手順

ペルソナ分析の手順

ペルソナとは、あたかも実在する人物かのように、ターゲットとなる顧客像をモデル化したものです。ペルソナを作成する目的は、顧客視点から最適なマーケティング施策を展開し、成果を高めることにあります。

ペルソナ分析の手順を4つのステップに分けて見ていきましょう。

1.ペルソナの項目を設定

まずは、ペルソナの骨格を作るための項目を設定します。マーケティング施策に活用しやすくなるよう、自社の商品・サービスに関連する項目を入れることがポイントです。BtoCとBtoBでは着目すべき点が異なるため、それぞれに見ていきましょう。

BtoCの場合

BtoCの場合、消費者がターゲットとなります。属性だけでなく、ライフスタイルや価値観を含めたリアルな人物像を作れるように項目を設定する必要があります。主に、以下のような項目があります。

・基本情報(名前・年齢・性別・居住地・職業・学歴・既婚・未婚・家族構成)
・趣味
・習慣
・生活パターン
・休日の過ごし方
・人間関係や交流
・よく使う情報収集の手段(メディア、デバイスなど)
・流行感度
・金銭感覚
・理想のライフスタイルや目標
・悩みや課題

BtoBの場合

BtoBの場合は、仕事上の人格を明確にする必要があり、BtoCのペルソナとは違った項目が必要になります。主に、以下のような項目を設定していきます。

・業種
・事業規模
・所属部署
・役職
・業務上の役割と目標
・意志決定への関与
・ITリテラシーの度合い
・会社や所属部署の課題、自分自身の課題
・情報収集の手段やプロセス
・1日の仕事スケジュール

2.情報収集

次に、ステップ1で設定した項目を埋めるための情報収集を行います。ペルソナ作成では、思い込みや自社にとって都合のよい顧客像にならないよう、「事実」をもとに進めることが極めて重要です。以下のような方法を用いて、情報収集をしっかり行う必要があります。

・アンケート調査
・顧客へのインタビュー
・社内の関連部署にヒアリング
・自社サイトのデータ分析
・SNSから情報収集

3.情報分類

集めた情報を整理し、共通する特徴ごとにペルソナを分類していきます。複数のペルソナの中から、自社にとって重要なペルソナに絞り込むことがポイントです。この段階ではペルソナの情報を箇条書きの形で整理し、骨格を完成させます。

4.ペルソナにストーリーを付与

ペルソナの骨格ができたら、ストーリーを付与してペルソナの人物像をより明確にします。たとえば、「そこに至るには、どのような背景があるのか」といったエピソードや、「なぜ、その行動をとるのか」といった動機・理由をストーリー風に仕上げます。

こうした肉付けを行うことで、リアルに存在するかのような生き生きとしたペルソナが完成し、どのようなコミュニケーションや接点づくりが有効なのか、具体的なイメージを持ちやすくなります。人物像をより明瞭にする方法として、名前や写真を入れたり、その人がよく使う言葉を入れたりするのもよいでしょう。

リアルなペルソナを作成するポイント

リアルなペルソナを作成するポイント

ペルソナ作成でやってしまいがちな失敗は、自社の先入観や都合を持ち込んでしまい、実態とかけ離れた顧客像を作り上げてしまうことです。リアルなペルソナを作るためのポイントは、情報収集の量と質にあります。ポイントを具体的に見ていきましょう。

定量調査で傾向をつかむ

定量調査は、ペルソナの大まかな傾向をつかむために行います。具体的には、属性や行動特性など定量化できるものをデータとして集め、ペルソナを精査していきます。定量調査では、主に次の方法が用いられます。

アンケート調査

手軽にデータを集める方法として多く用いられているのが、アンケート調査です。データの母数を確保できるうえ、必要なデータを簡単に収集できるというメリットがあります。

自社サイトの分析

Googleアナリティクスなどの分析ツールを利用して、自社サイトを訪れるユーザーの属性や行動履歴などのデータを集めるという方法です。自社にとって重要な顧客群や行動特性を把握するのに役立ちます。

SNSの分析

SNSを利用して、ユーザーの傾向を把握するという方法もあります。SNSの分析ができる様々なツールが提供されているので、利用するのも一案です。アカウントやフォロワーの分析、ハッシュタグ分析など、様々な角度からデータを得ることができます。

定性調査でペルソナを具体化する

定性調査では、定量データだけでは見えない心理や思考、感情などの情報を集めます。具体的には、次のような方法があります。

ユーザーへのインタビュー

ユーザーにインタビューして、具体的な情報を集めるという方法です。ペルソナは自社にとって理想的な顧客像を設定するため、これに近いユーザーを選ぶことが大切です。グループインタビューにするというやり方もあります。

アンケート調査

アンケートは、定性情報を収集したいときにも役立ちます。自由記述式の質問項目を設定すれば、「それを選んだ理由」や「その行動をとった理由」などを明らかにすることができます。インタビューを行うための手間やコストをかけられないという場合にも便利です。

社内のヒアリング

ユーザーとの関わりが深い、社内のメンバーにヒアリングするという方法です。たとえば、営業担当やカスタマーサポート担当などが挙げられるでしょう。ユーザーへのアンケートやインタビューとは違った視点から情報収集できるので、新たな気づきを得られることもあります。

カスタマージャーニーマップの作成手順

カスタマージャーニーマップの作成手順

カスタマージャーニーマップは、ターゲットの購買行動を時系列で整理して可視化したものです。ユーザーの行動・心理を理解し、より効果的な施策を実現するために作成します。カスタマージャーニーマップにはペルソナを用います。作成手順を5つのステップに分けて見ていきます。

1.ゴール設定

まずはカスタマージャーニーマップを作成する目的を明確にし、ゴールを設定します。たとえば、「購買数を増やす」「Webサイトの流入・CVRを増やす」というように目的を具体的にすることで、注目すべきターゲットの行動・心理を絞り込むことができます。

2.ペルソナ設定

精度の高いカスタマージャーニーマップを作成する上で欠かせないのが、ペルソナの設定です。購買行動における行動や思考・感情といったペルソナ分析がしっかりできていれば、ブレのないカスタマージャーニーマップを作成することができます。

3.フレーム設定

ペルソナを設定したら、カスタマージャーニーマップのフレームを決めます。一般に多く用いられているのは、横軸に購買行動のフェーズ、縦軸に行動やタッチポイント、心理・感情、理想的な顧客体験などを置くフレームワークです。

カスタマージャーニーマップ

<横軸の例>
認知→興味関心→比較検討→購入→利用→再購入

<縦軸の例>
・具体的な行動
・タッチポイント
・思考・感情
・理想的な顧客体験
・課題

フレーム作成時は、自社のマーケティング活動に使いやすい項目を設定することがポイントです。ゼロから作成するのが難しい場合は、提供されているテンプレートを活用してみるのもよいでしょう。

<テンプレートの提供例>
Keynote
INNOVA
ferret

4.情報収集

次に、フレームを埋めるための情報収集を行います。アンケート調査や自社で所有するデータ、ユーザーインタビュー、社内ヒアリングなどを活用し、ファクト(事実に基づいたもの)を集めることが重要になります。

5.情報マッピング

集めた情報をもとに、フレームにマッピングして完成させます。実作業では、収集したファクトをもとに仮説を考えながら進めることになります。そのため、一人で作成すると見解に偏りが出てしまうことが懸念されます。

チームで話し合いながら進めたり、関連部署の意見を聞いたりしながら、精度の高いマップに仕上げられる体制で取り組むことも大切なポイントです。

カスタマージャーニーマップ作成時のポイント

カスタマージャーニーマップ作成時のポイント

カスタマージャーニーマップを作る際は、次の点に留意しておきましょう。

ペルソナごとに作成する

カスタマージャーニーマップは、ペルソナによって中身が大きく変わります。複数のペルソナを設定する場合は、ペルソナごとに作成する必要があります。

徹底した顧客視点を持つ

カスタマージャーニーマップに企業側の主観や都合が入り込むと、ユーザーのニーズに即していないものが出来上がってしまいます。作成する際は、調査で得られた事実をベースに、徹底した顧客視点を持ち続けることが大切です。

定期的に見直す

詳細にペルソナを設定したとしても、ビジネス環境は絶えず変化しているものです。カスタマージャーニーマップは一度作成したら終わりではなく、定期的な見直しと修正が必要になります。検証を繰り返しながら、常にブラッシュアップするようにしましょう。

価値観やニーズの多様化に応える精度の高いカスタマージャーニーマップを

マーケティング活動の成果を高めるには、顧客視点を深く理解し、より良い顧客体験を提供することが求められます。カスタマージャーニーマップやペルソナ分析は、今やマーケティングの最適化に欠かせないツールの一つです。価値観やニーズの多様化が進む今だからこそ、精度高く仕上げるための取り組みが重要になっています。

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